No.27 カロリーメイト 「Mate篇」

https://www.youtube.com/watch?v=l1wlB9G-Tns


[企業・商材について]

手軽に食べられる栄養食品。1983年の発売以来、30年以上販売し続けている。栄養食品の中でトップクラスの歴史を持つロングセラー商品。


[ターゲット]

10代以上の男女。主なターゲットは、受験生や、ゆっくりと食事を取る時間がない社会人。


[企画の思考プロセス]

ロングセラー商品なので、受け手にとっての真新しさはなく、特徴も広く認知されている。メリットを伝えて購入を誘うのではなく、カロリーメイトの好意度が上がるCMにする。

商品名にある「Mate」は、「仲間」という意味。商品名と関連付けたい。

苦楽を共にした仲間が励ましあって、奮起している映像にする。さらに、長い歴史を持つカロリーメイトだからこそできる表現として、登場人物の関係性に歴史を感じさせる。

具体的には、学生時代の野球部の先輩と後輩が、社会人になって同じ会社で働き、同じような悩みを抱えている姿を描く。長い時間を共にした仲間なので、本音で語り合うことができる。飾らない言葉で語り合うからこそ、受け手の共感を得ることができる。


[CMの仕掛けを簡潔に言うと]

長い時間を共にした仲間(Mate)である先輩と後輩が本音で語り合う映像を見せることで、受け手の共感を得る。


[演出のポイント]

■BGMが世界観に浸りやすい。

BGMの音色が、甲子園の出場校紹介のBGMと似ている。「高校野球」と「郷愁」を感じさせ、世界観に浸りやすくなっている。また、終盤までシンプルなBGMだが、河川敷を歩くカットから盛り上がっていくので、受け手の気分を盛り上げる。


■町を俯瞰している映像が良い。

町を俯瞰しているカットが、良い映像になっている。このカットまでは、先輩と後輩が悩みを語り合い、悶々とした気持ちになっている。その後の河川敷を歩く場面では、悶々とした気持ちを晴らし、奮起し始める。受け手にも登場人物と同じような気持ちになってもらいたいので、町を俯瞰しているカットでは、気持ちが晴れやかになりやすい映像が必要。海が見えるので、見る人の心を落ち着かせる効果がある。また、画面中央には2羽の鳥が羽ばたいており、登場人物2人の心情を連想させる。


■河川敷を歩くカットでは、関係性の良さが感じられる。

河川敷を歩くカットでは、後輩役の野村周平さんが先輩役の柄本佑さんを見つめていて、慕っている感じが出ている。その後、柄本さんが野村さんを見た後に豪快に笑う。関係性の良さが感じられ、リアリティのある映像になっている。実際、このCMの前に2人は共演しており、仲も良いらしい。それが映像に表れている。


■コピーや商品名が白になっている。

「見せてやれ、底力。」のコピーや、商品名の色が白になっている。仮に、イメージカラーである黄色だと、読みやすい分、主張が強くなってしまう。「見せてやれ」という命令形の言葉なので、主張し過ぎると、印象が悪くなる。白で読みにくい分、謙虚さが感じられ、好感を持たれやすくなっている。


[自分がクリエイターだったら]

■高校球児も同じキャストであることを早めに伝える。

ブラシで掃除をするカットと、レーキで土をならすカットは、もっとカメラを人物に近づけて2人の顔を見せる。理由は、「社会人と同じキャストで、特殊メイクを施して高校球児を演じていること」を早い段階で伝えるため。CMはそもそも興味を持って見られるものではないので、受け手が気になる面白みは、できるだけ早い段階で伝えたい。

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