見出し画像

広島安佐北BIG5。

 皆さん、おはこんばんにちは。突然ですが、BIG5という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。今回は、その言葉に関するお話です。

1.BIG5とは何か。

 今からおよそ100年近く前、アフリカ大陸では狩猟旅行、即ちサファリがよく行われていました。サファリでのターゲットにされる数々の動物たちの中でも、特に倒しにくい大物とされる5種の動物こそBIG5なのです。

大型のウシ、アフリカスイギュウ。人間が殺傷された事例は多々あるそうです。

 サファリが狩猟から、野生動物の観察へと変わった今日では、観察における主役級の動物という意味になっています。

過去も今も、ライオンはアフリカの大地を訪れる人たちの心を色々な意味で捉え続けています。

2.安佐動物公園とは。

 所謂BIG5な動物5種全てを見ることができる、安佐動物公園という動物園が広島市の北部、安佐北区にあります。広島駅からは公共交通機関使用でおよそ1時間ほどかかります。

 山間部にあるため豊かな自然に囲まれていて、昨年は園内に野生のクマが出没したほどです。

西園に繋がるゲート。昨年には一時期封鎖されたことがあります。

 日本ではここでしか見られないマルミミゾウをはじめ、オオサンショウウオやグランドシマウマ等の飼育で知られています。

マルミミゾウのオス、ダイ。
オオサンショウウオ。安佐は国内の動物園界における、繁殖の中心的存在です。
グランドシマウマ。群れでの飼育を長年続けています。

3.5種を順番にご紹介。

 ここからは、安佐にいる5種のBIG5な動物たちをざっくりと語っていきます。

3-A.ライオン。

 アフリカのサバンナの生態系の頂点にして、百獣の王・ライオン。減少し続ける野生下とは裏腹に、国内での個体数は飽和状態にあります。安佐では現在、3頭が暮らしています。

オスのリク。他にもメス2頭がいます。

3-B.ヒョウ。

 身を隠すのが上手いハンター、ヒョウ。種としてはアフリカのみならず、アジアにも生息していて、安佐にいるのは最北の亜種、アムールヒョウです。

メスのスク。王子動物園の出身です。

 アムールヒョウは極東ロシアとその近辺に分布する亜種で、アフリカのヒョウよりも多少大型です。推定生息頭数は残り100頭前後。まさに風前の灯です。

3-C.アフリカスイギュウ。

 バッファローとも呼ばれる黒き闘神、アフリカスイギュウ。群れを成して暮らしていて、時にはライオンをも圧倒するほどのパワーと気性の激しさの持ち主です。現時点では、母娘2頭が暮らしています。

メスのハルカ。群馬サファリパークの出身です。

 少し前までは、IUCNのRLでは低懸念=LCでしたが、最近は1つ上の近危急種=NTになっています。危機が少しずつ忍び寄っています。

メスのコサック。ハルカの娘です。

3-D.クロサイ。

 アフリカには2種類のサイがいますが、安佐にいるのはクロサイの亜種、ヒガシクロサイ。シロサイと比較して、より神経質で攻撃的な一面があります。

現時点では、母のサキと娘のニコとの2頭生活。個体判別はできてません、すみません。

 安佐では過去に幾度となく繁殖に成功していて、安佐にルーツを持つ個体は国内外に多数存在しています。

入園ゲート手前のクロサイのモニュメントのモデルは、かつて安佐の地で多数の子供たちを残した偉大なる母・ハナです。

3-E.サバンナゾウ。

 現生の陸棲哺乳類の中で最大の体躯を誇る、サバンナゾウ。
 安佐では現在、タカという名の1頭のオスがいますが、今や本種のオス自体が国内では数少ないという意味でも、国内で生まれ育ったという意味でも貴重な1頭です。

タカ。1991年=平成3年に、姫路セントラルパークで生まれ育ちました。

 安佐のゾウとしては、タカの他にも2頭がいますが、最近サバンナゾウとは別の種とされているマルミミゾウです。マルミミゾウについては、後々語ろうと思っているところです。

サバンナゾウのタカ(左)と、マルミミゾウのメイ(メス。右)。アフリカに棲む2種のゾウをいっぺんに見られるのは超貴重なことです。

4.まとめ。

 BIG5と呼ばれる彼等をも含む、数多くの大型動物たちの存在。それはまさにサバンナの豊かさの象徴といえます。

 しかし、野生下での現状は、どの種も決して安泰とはいえません。高値で売れる、象牙や犀角等を目当てとした密猟。人口増加に伴う、土地の乱開発。生息適地が狭まったことによる、人間との衝突の激化と、害獣としての駆除。挙げたらきりがありません。

ヒガシクロサイ。犀角は人間の爪や髪に似て、ケラチンでできています。
大きくて賢くて強いサバンナゾウは、1世紀足らずのうちに半数以下にまで減ってしまいました。

 彼等を守り抜き、サバンナの生態系を次の世代へと受け継がせることができるのか。そのためには知識をつけたり関心を高めたりすることが不可欠ですが、動物園はその入り口であり続けて欲しいと願うばかりです。

分布域の広いヒョウですが、アフリカでもアジアでも危機的状況が続いています。

 広島の地を訪れる機会があるならば、BIG5な動物たちに注目してみては如何でしょうか。きっと良いひと時になるかもしれませんよ。

 今回は以上です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?