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サンダーバードと雷鳥は同じ…、ではなかった。

 間もなく、北陸新幹線が延伸開業を果たしますね。その一方で、区間が短縮されたりする列車があるのもまた事実。今回は、そのことに関連するちょっとしたお話です。是非最後までご覧ください。

1.サンダーバードという特急。

 大阪と金沢(1往復は大阪〜和倉温泉間)を結ぶ、青きJRの看板特急の1つ。最速便は途中新大阪駅・京都駅・福井駅のみの停車で、所要時間は2時間31分(2023年時点)。表定速度は実に時速106kmに達する、全国でも屈指の俊足特急です。

 北陸新幹線金沢開業前は、多数の便が富山駅まで運行していた他、更に魚津駅まで足を伸ばす便もあったそうです。

特急サンダーバードに使用される、683系電車。写真は2001年に導入された0番台。

2.雷鳥からサンダーバードへ。

 今でこそ有名特急となったサンダーバードですが、かつて同区間には雷鳥という名称の特急が走っていました。日本では主に日本アルプスに生息する、国の特別天然記念物であるニホンライチョウにちなんでこの名称が付けられました。

雷鳥の特急名の由来、特別天然記念物・ニホンライチョウ。写真は夏羽のオス。

 今から29年前の1995年=平成7年からは、雷鳥に使用されていた旧国鉄型車両の置き換えが開始。当時新型車両だった681系が投入されましたが、それを使用した列車はスーパー雷鳥(サンダーバード)と呼ばれ、その2年後には単にサンダーバードという名称になりました。

旧国鉄時代に登場した、489系。姉妹型の485系同様、雷鳥で使用されたことがあった他、晩年には臨時のサンダーバードで運用されたこともありました。

 21世紀に入ってからは、681系の発展型である683系による、特急雷鳥の置き換えが進み、2011年=平成23年に特急雷鳥はサンダーバードに完全に置き換わりました。

特急雷鳥を完全に置き換えた、683系4000番台。

3.何故サンダーバードという名称が誕生したのか?

 特急雷鳥の名を過去のものとした、サンダーバード。そもそもどうしてあの名称が…?、と思う方もいるかもしれません。青きJRの公式説明だと、ネイティブ・アメリカンの神話に登場する、雷雨を起こす伝説の鳥、サンダーバードが有する力強さやスピード感が由来です。

 一方で、単に雷鳥の『雷』と『鳥』を英語で直訳した結果だともいわれます。それ故か、ライチョウ=英語でサンダーバードと思い込みやすく、私も実際そうでした。
 では、本当は英語ではどう呼ぶのかというと、Ptarmigan(ターミガン)とかGrouse(グラウス)です。初めてこのことを知った時、驚いたのは今では良い経験の1つです。

サンダーバードのエンブレム(リニューアル後)。確かに、ライチョウのあの丸っこさとは似ても似つかぬフォルムです。

 そして、日本語のライチョウの呼称の由来は、雷の時等天候の悪い時に出てくるからだとか、霊が宿る高山を住処とするため、霊の鳥が鈍ってライチョウといわれるようになった等諸説ありますが、雷と全くの無縁…、というわけではなさそうです。

日本では高山の鳥ですが、北極圏やその近くでは標高の低い場所にも現れます。写真は最北の亜種、スバールバルライチョウです。


 雷鳥とサンダーバード。片や実在、片や想像上でありながら、日本と北米それぞれの土地にて、両者とも人々と浅からぬ関わりを持ってきた。そして、雷とも何らかの関連を有する。そう考えると、個人的には中々に感慨深いものがあります。

4.まとめ。

 サンダーバードによって消滅させられた雷鳥ですが、サンダーバードも時の流れには勝てず、縮小への道を辿ってきました。
 一方で、本物の雷鳥も、国内では姿を消すかもしれない崖っぷちの状況に立たされています。特急と同じ運命を辿るのか、それとも生き残れるのか。それは私たち1人1人の手に委ねられています。

全国の何箇所かの動物園では、ニホンライチョウの飼育下繁殖に力を入れています。写真は那須どうぶつ王国の展示個体。

 話が逸れてしまいましたが、大阪・京都から福井・金沢まで一本で行くことができるのも残り僅か。お時間があれば、北陸特急での旅を楽しんでみてはどうでしょうか。

大阪から金沢まで乗り換えなしで到達できる日々も、残りわずかです。

 今回は以上とさせていただきます。最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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