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絶対わかる「OPS」

OPSとは、野球における指標の一つです。今や野球ファンの必須アプリとも言える「スポナビ野球速報」でも手軽に調べることができ、まだあまりテレビ中継で紹介されることはありませんが、間違いなく浸透してきている指標といえましょう。しかし、そんなOPSについて、正直知らない、知ってるつもりだけど詳しく説明はできない、そんな方も多いのではないでしょうか。でも大丈夫です。これを読めば、説明できるようになります。

OPSとは

OPSの正体

皆さん、こういう明らかにアルファベットの頭文字を取ってそうな単語って、なんの頭文字なのか気になりませんか?このOPSは「On-base Plus Slugging」の略です。いやなんやねんそれはと思われるかもしれませんが、「On-base」が出塁率のことで、「Slugging」が長打率のことです。そしてそれらを「Plus」、つまり足し合わせたものがOPSだよというわけです。要するに、出塁率と長打率を理解すれば、OPSを攻略できるのです!!

OPS攻略①:出塁率

まずは、出塁率を理解していきましょう。と言っても、こちらは単純です。名前の通り、打者が出塁する確率を表しています。
野球で打者が出塁する手段と言えば、もちろんヒット(安打)があって、あとはフォアボール(四球)とデッドボール(死球)があります。ここで「あれ?相手のエラーとか振り逃げで出塁することもあるよね?」と思ったあなた。鋭いです。確かにそのパターンもあるのですが、それは打者の結果としてはあくまで凡打や三振として処理される(その結果の後に相手がミスをしただけ)ので、それにより出塁率が上がることはありません。さらにここで「打撃妨害とかもあるよね」と思ったあなた。野球に詳しすぎる!しかし、打撃妨害はそもそも打数にカウントされないので、出塁率への影響はありません。ということで、打者の出塁として計上されるのは安打四球死球の3種類ということになります。
結局、出塁率というものは、打者が出塁する確率という認識で問題ありません。

出塁率の計算式(覚えなくても問題ないよ!)
(安打+四球+死球)÷(打数+(四球+死球)+犠飛)
※「打席」で割らない理由:「打席」にはカウントされるが「打数」にはカウントされないもの(犠打、打撃妨害など)を除くため
※「犠飛」を加える理由:「犠飛」は打数には含まれないものの、あくまで凡打であって出塁はしていないため

OPS攻略②:長打率

続いては、長打率です。面倒くさいのはこちらで、そもそも名前がミスリードすぎます。長打率が何か結論から言うと、打者が1打席立った時に平均でどれだけ塁を稼げるかです。長打を打つ確率ではありません。打率は安打を打つ確率、出塁率は出塁する確率なのに。ややこしいですね。なので、性質からいうと、こいつの名前は本来「塁打率」とでも呼んだ方が正しいと思いますね。

で、その「塁を稼ぐ」とは何かという話をしていきます。まず、野球には塁が4つあります。そして塁を4つ踏めば得点になります。当たり前に思えることかもしれませんが、これが大事なので頭に入れてこの先読んでみてください。
4つの塁があって4つ踏めば得点となる、これすなわち塁を多く踏めれば踏めるほど、塁を多く稼げれば稼げるほど得点に近づけるというわけです。つまり、単打より二塁打、二塁打より三塁打、三塁打より本塁打の方が価値があり、それらを一括りに「ヒット」として扱う打率と違い、価値に差をつけたものが長打率ということになってきます。
したがって、長打率が高い打者=塁を多く稼げる打者ということになり、それだけ得点に近づける力がある打者と言えます。そして、長打率の最大値は、野球で1打席に稼げる塁の最大値が4(=本塁打)なので4.000となります。打率や出塁率は単なる確率で最大値は1.000なので、ここが大きく異なるポイントですね。
まとめとしては、長打率は打者が1打席あたりいくつ塁を稼げるかを表した指標で、高ければ高いほど得点に近づける力があると認識すればOKだと思います。

長打率の計算式(覚えなくても問題ないよ!)
塁打数÷打数
※塁打数=(単打数×1)+(二塁打数×2)+(三塁打数×3)+(本塁打数×4)

OPS完全攻略

改めて、OPSとは出塁率と長打率の足し算で求められる指標です。そして、出塁率は打者が塁に出る確率、長打率は打者が稼ぐ塁の数の平均値です。つまり、OPSとは、打者がどれだけ塁に出られてどれだけ塁を多く進めるかを表した指標と捉えるとよいと思います。野球は塁に出て塁を進んで最終的に4つ踏めれば得点ですから、OPSは得点との相関が高いというのもある意味当然なのです。
古来から重視されてきた打率では、出塁の手段を全て含むことができていませんし、稼いだ塁の数関係なく全てヒットと一括りにしてしまうため、OPSよりは得点との相関が落ちてしまうのです。

打率って意味ないの?

ここまで読んできた皆さんに、OPSの内容と得点との相関が高いという有用性は伝わったかと思います。では、打率にはもうあまり意味がないのか?いや、僕はそれは違うと思います。なぜなら、打率を上げることがOPSを上げることに繋がるからです。
どういうことかと言うと、打率を上げれば当然出塁する確率も上がりますし、また長打率もヒットを打つ前提の話なので、打率が上がれば上がるほど長打率も伸びます。すなわち、ある程度打率を残していれば、高確率である程度のOPSにはなってくるということです。
確かに、打率が低くても出塁率が高い選手や長打率が高い選手はいますし、その結果として打率が低くても高いOPSを残す選手はいます。しかし、あくまでそういう選手もいる、そういう選手も評価するためのOPSというだけであって、打率が高いに越したことはないのです。要するに、OPSは得点との相関という面ではより有用ですが、打率が意味ないかというとそれはまた別問題です。

出塁率と長打率に関する余談

これは完全に余談なので、読み飛ばしてもらってもかまいません。
出塁率は、四死球という、いわば相手が与えたものが含まれています。つまり、極端な話、全打席相手にぶつけられれば出塁率は10割です。したがって、他力で数値を向上させることが可能です。
一方で長打率は、あくまでヒットを打たないと.000です。ヒットを打った上でどれだけ塁を稼げているかの指標なので。したがって、自分の力で上げていかなければなりません。
つまり、二軍成績など、成績の推測や今後の活躍の予測に使いたいのであれば、より選手単体の実力が見れるという意味で出塁率より長打率の方が参考になると思っています。

まとめ

以上がOPSに関する説明です。絶対わかる!と豪語しましたが、説明しようと思うとけっこう難しいもので、皆さんに本当にわかってもらえたか自信はありません。でも、少しはわかってもらえたはずと思っていますし、実際そうであれば僕はすごく嬉しいです。野球は確率のスポーツとも言われ、あらゆる指標、数字が出てきます。それらに着目してみるのも野球の楽しみ方だと思います。しかし、それが全てではないのも野球の楽しみ方です。皆さんがこういった数字の存在を知ることで、少しでも野球の楽しさが深まれば、僕としてはこれ以上嬉しいことはありません。
長い文章となりましたが、ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます。ぜひ、感想もお待ちしています!今後の参考にしたいと思っていますので!


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