365日のお話 12/6

12/6 音の日

あるところに歌うたいの旅人がいました。

歌うたいの旅人は風の向くまま、気の向くまま、街から街へと旅をしていました。

歌うたいの旅人は不思議な力を持っていました。音と音を混ぜることができるのです。

ピカザーバシャヒュンドンポンリン
ガサペラリンヒョイチュンパンキン

色んな音が混ざった音に合わせて旅人は歌います。それがなんとも面白くてみんな旅人にお金を渡すのでした。

その歌と音は、混ぜ方と、順番と、そのときによってすべてが違うので、そのときにしかできないものになります。

旅人がもうひとつ不思議な力を持っていて、その音を残しておく玉がつくれるのでした。
だから旅人がいなくなった後も、みんなその玉から音をきくと、旅人のことを思い出します。

でも旅人が残せるのは、音だけでした。
歌は残すことができなかったのです。

ゴーメラパチヒュンシューチッタン
ラントコロンドスカタベリパキ

街の人は残せないものに価値はないと言いました
街の人は残せるものに価値はないと言いました。

旅人は、そのときにしか生まれない音をたくさんたくさんつくりました。
そして、そのときにしか歌えない歌をたくさんたくさん歌いました。

そうしてまた、風の向くまま、気の向くまま、旅を続けるのでした。

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