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春秋時代の幕開け

 紀元前1046年、西方の周が東方の殷を滅ぼす。ここに周王朝の統治が始まった。周王朝は東方支配の拠点として成周(後の洛邑)を築き、黄河、淮水沿いに親族、功臣を配置しながら版図を拡大していった。
だが、紀元前771年、幽王と対立した外戚諸侯国の申が犬戎とともに王都の宗周(鎬京)を襲撃、幽王を殺害、携王を擁立した。一方、これに反対した東方の諸侯は洛邑において平王を擁立する。こうして開始された東西の内戦は、最終的に東方連合が擁立する平王の勝利に終わるのである。

ところで、リヴァイアサンという怪物をご存知だろうか。旧約聖書に描かれる海の怪物である。
イングランドのホッブスは「万人の万人に対する闘争」、すなわち個人が完全に自由な自然状態となった時、人と人とは互いに命をつけ狙う狼でしかないと唱えた。それゆえに「リヴァイアサン」という恐怖のもとに統制されなければならないと言うのである。
個人が完全に自由な状態となった時、人と人との闘争が宿命づけられているならば、国家間の関係も同様である。17世紀、人々を統制する恐怖の集合体として正当化された国家=リヴァイアサンは、しかしまた別のリヴァイアサンとの闘争を開始する、万人の万人に対する闘争は国家対国家の闘争と化していた。

ふたたび紀元前に戻ると、東西分裂の危機を乗り越えた周は、しかし蓋を開けてみると、代償としてかつての王都である鎬京と、それ以上に大切なものを失っていた。リヴァイアサンとしての役割である。

※ヘッダー画像:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%82%B5%E3%83%B3_(%E3%83%9B%E3%83%83%E3%83%96%E3%82%BA)#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB%3ALeviathan_by_Thomas_Hobbes.jpg

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