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シガーロス Agaetis Byrjun 20周年アニバーサリーのレコード

自分には勘違いしてたところがあって、グリーンランドという国はデンマークに属するヨーロッパだから白人の住む土地だと思っていたんだけど、映画「北の果ての小さな村で」を観ていたら、村の住人の全員が日本人みたいな顔をしていて少し驚いてしまった。

気になってWikipediaを調べてみたら、グリーンランドの人口は56,483人(日本の5倍の国土なのに!)で、隠れ切支丹で有名な島、天草の77,107人よりも少ない。グリーンランドは元々はデンマークの植民地だったところで現在はいちおう独自の自治権を持つ自立した国にはなってはいるが、実際にはデンマークと同等の立場でデンマーク王国を構成している国のひとつである。しかし距離的にも文化的にもデンマークからは離れているので独立を求める声は多い。そして人口の大部分を占めるのがエスキモー系のイヌイットで、グリーンランドの人口5万6千人のうちの4万1千人が新モンゴロイド系の先住民族である。

グリーンランドの名前の由来は、ノルウェー出身の海賊、赤毛のエイリーク(950年-1003年)が先にアイスランドを発見し、アイスランドと命名したが、その名称故に入植希望者が現れず、そこで彼はグリーンランドを発見したとき、この地に入植希望者が多数現れることを願い「緑の島」と名付けた。

映画はデンマークで8代続く農家の家系のひとり息子が農家を継ぐか、それとも家を出て新しい世界に飛び出すか、人生の岐路に直面しながらとりあえずグリーンランドにデンマーク語を教える講師となって、80人しかいない村で村人との交流を描くヒューマンドラマである。

ストーリーは単純で、80人しかいない村はとても閉鎖的で、グリーンランド語を話せない主人公は村人たちと交流を持てず孤独になる。大人になってもアザラシを取るくらいしか仕事のないここの子供たちからは授業で無視され、彼らの親からはこの地に何しに来たのかと怪訝な顔で見られる。壊れても遠い町から部品を取り寄せないと修理できない故障したヒーティングシステムは家の中を氷点下にし、想像を絶する厳しい気候は彼を疲弊させる。

映像はどこまでも美しく、監督が収めた雄大なフィヨルド、オーロラ、しろくまの親子、カヌーの横を泳ぐ鯨たちは一瞬CGで作られた偽物かと思うくらいこの映画の見どころだ。

そして主人公と村人が少しずつ打ち解けてきたころ、オーロラを見ながら村人が尋ねる。「お前の国にオーロラはあるか」。主人公は「ない」と答える。すると村人は言う。「お前の国は退屈だな」。ふたりは微笑む。

僕なんかはオーロラを見たらそら感動するとは思うんだけど、もし子供のころからオーロラを見ていたらそれが普通になってしまって大人になったら特に感動もしなくなりそうなもんだけど、でも映画館のひとつもないこの小さな村の、村の外の世界を誰も見たことのない社会では、オーロラは映画のスクリーンのようにそこの人たちにはなくてはならない楽しみのひとつなのだろう。アイスランドに近いイメージを持っていたグリーンランドだけど、実際は寒いところにいるインディアンという感じで、そのプリミティブな文化を残す彼らの生活と自然の美しさはきっと監督が撮らなくてはならないと居ても立っても居られなくなった光景なんでしょうね。ちなみに主人公も村人も実際の村の住人で、主人公は今でもそこでデンマーク語の講師をしているそうです。

さて、今日のおススメのレコードはアイスランドのバンド、Sigaur Rosのセカンドアルバム、Agaetis Byrjunの20周年アニバーサリーモデルです。

メロディから音の響きまでかなり洗練されたアルバムで、僕はグリーンランドもこういう都会的なイメージがあったんだけど、グリーンランドはどっちかというと安東ウメ子のようなアイヌのほうが近いのかな。シガーロスのアルバムを聞いてると、アイスランドは実際は首都のレイキャビクでも人口が12万人ほどしかいない田舎なのに、よくこんな都会的なサウンドを出せるなと思った。このレコードはアルバムの20周年アニバーサリー限定モデルで、レコードに針を落としては何回も何回も聞いています。

このレコードも買って良かった。

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