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#トキ体験 を創る 2021.12.26

#トキ体験 とは「その時・その場でしか味わえない盛り上がりを楽しみたい」という欲求を満たす体験のことを表した言葉です。これまでトキ体験を構成する要素を様々な側面から考察してきました。

・時間
・空間
・一体感
・距離感
・安心感
・平等感
・組織の人格
・個人の人格
・所属欲求
・自己超越欲求
・時間という言葉
・雑踏と潜在意識
・TPO
・感動体験
・体験のCtoC
・コストとトキ体験
・パッシブなトキ体験
・エンゲージメント
・非同期コミュニティ
・心理的機能と体験設計

トキ体験の連続考察noteはマガジン化していますので、ご参照ください。

今回は「プロセスとトキ体験」について考察します。

トキ体験の検証

以前の投稿で、人間の「利他」的な欲求としてマズローが提唱した「自己超越欲求」について触れました。

「自己超越欲求」とは目的達成だけを純粋に追い求め、これまで自分に向いていたベクトルが周囲にも向くようになり、自分もしくは自分が所属するコミュニティが掲げた目標に向けてひたむきに努力をしている状態

マズローの自己実現理論では根源的(生理的)なレベルから多層的な欲求の充足を経て、最終的には「人のため」に自分が貢献を行いたいという欲求段階に至ると説明されています。

また以前の他の投稿においても、そのトキ体験(例えばイベント)に至るまで(事前)と事後の「フォローアップ」が参加者の「熱量」を上げるために重要であるということも何度か述べてきました。

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そこでトキ体験の「その時・その場でしか味わえない盛り上がりを楽しむ」を更に検証するために、

「その時・その場でしか味わえない」を
その時・その場以外も味わえる」へ

「(自分が)盛り上がりを楽しむ」欲求を
(自分以外も)盛り上がりを楽める」欲求へ

と拡大した場合に成立するのか、その影響を

「プロセス」(前後の体験設計)
「利他的欲求」(自己超越欲求)

の観点から考察してみました。

プロセスエコノミー

プロセスエコノミーとは、完成品(アウトプット)ではなくその制作過程(プロセス)を売るという概念で、けんすう氏のnote尾原和啓氏の著書で詳しく説明されています。

この半年、ネットかいわいで徐々に注目が高まっていたキーワードにあげられるのが「プロセスエコノミー」だ。昨年11月、起業家のけんすう氏が自身の「note(ノート)」で「『プロセス・エコノミー』が来そうな予感です」と記事を書いたことで話題となった。
「プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる」も発売前から注目を集めている
今年7月には、「アフターデジタル」などの著書で有名な尾原和啓氏が「プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる」(幻冬舎)という書籍を執筆。予約販売を開始したタイミングでなんといきなりアマゾンの書籍ランキングの1位を獲得してしまった。「プロセスエコノミー」への注目度の高さが分かる。
めちゃくちゃ面白い。価値の源泉が「アウトプット」から「プロセス」に移行する。全ビジネスパーソンにとって必読です!
山口周
プロセスエコノミーは"道"を極める日本人にとって大チャンス!
けんすう(古川健介)
プロダクトはプロセスのメディアになる
一橋大学教授楠木建

書籍「プロセスエコノミー」において、以下のような記述があります。

「人のために」という欲望
プロセスエコノミーを回すエンジンとなるものは「利他の心」です。自分の私利私欲のためには共感は生まれません。誰かを喜ばせるビジョンのもとにみんなで助け合い、協力しあって進んでいくのです。
もはや完成形で差をつけるのってしんどい。そんなこと感じたことはありませんか?このような人もモノも埋もれる時代の新しい稼ぎ方が、プロセス自体を売る「プロセスエコノミー」です。
なぜなら、プロセスはコピーできないからです。

そこでこの「プロセス」と「利他心」をトキ体験の解釈を拡大した場合を考えてみます。

トキ体験の拡大解釈

(1)「その時・その場でしか味わえない」を「その時・その場以外も味わえる」へ
今までの解釈の場合「その時・その場でしか味わえない」は、単に「限定された機会」における「(普段とは違う)特別な体験」という表層的なものでした。しかし「プロセス」と「利他心」を適用した場合は、

「その時・その場で【同じプロセスを経た利他的な人と】しか味わえない」

となり、その体験の価値は飛躍的に向上します。これこそ、

「トキ体験のコミュニティ」

と言えるでしょう。その場に集った隣の見知らぬ人も、自分と同じようにプロセスを経て、その人もまた利他の心でここにいる。そうだとしたら、コミュニケーションにおける「前提条件」が合致していることによる心理的安全性も働き、体験の価値が向上することは明らかです。

(2)「(自分が)盛り上がりを楽しむ」欲求を「(自分以外も)盛り上がりを楽める」欲求へ
この場合、2通りの(トキ体験の)被体験者の行動が考えられます。ひとつは、参加者の立場としてです。自分も盛り上がりを楽しみ、他の参加者も盛り上がりを楽しめるような行いをするといった例です。

参加者と参加者
・初めての会場でトイレの場所を他人に教える
・ワークショップ等で協力的な態度をとる
・自発的に懇親会の片付けを手伝う

などが考えられます。もうひとつは、提供者(主催・企画者)としての立場です。

提供者と参加者
・事前に趣旨・ゴール等を参加者と共有する
・着席の方法や進行について丁寧に説明する
・ひとりぼっちの人に話しかける

このように、トキ体験を「その時・その場でしか味わえない」狭い範囲で定義するよりも、

「プロセス」(前後の体験設計)
「利他的欲求」(自己超越欲求)

の観点を適用して拡大したほうが、その体験の価値は向上することが明らかになりました。体験の設計には、

・商材/サービスの属性
・対象者の属性や段階
・マーケティング戦略
・長期的な視野

などの考慮も必要ですが、少なくとも「プロセスエコノミー」の概念を適用した「時間軸」を「共感」する「トキ体験創出」マーケティングには効果が高いと言えるでしょう。

これを更に裏付けることができる事象を、思い浮かべました。

駅などの一時店舗の通りがかり
「今日で店じまいセール」商法

です。これは単に時間を限定して閉店を想起させ、人間の心理を「操作」して買わせているに過ぎません。家に帰ってきて「ちょっと惑わされたけど、安かったからいいや」と、「その時・その場で【同じプロセスを経てきた利他的な人と】しか味わえない特別な体験」とは全く異なります。よく幼児向けにモノの大切さを教えるために〇〇ちゃんと人格を与えて呼んだりしますが、セールで買って放置されているその品物はきっとしまわれた場所で泣いています。

・割引
・閉店セール
・ポイントカード
・即効性を狙ったマーケティング施策

などは、家で眠るその偽物ブランド商品のようなものです。同じように体験の提供者側、例えばイベント主催者に置き換えて考えてみても

・SNS広告
・集客だけが目的の告知
・「その時・その場だけ」の企画

で結果の数値だけを重要視することは避けるべきであると考えます。具体的には、

・登録者数
・参加者数
・視聴維持率(リアルタイム)

だけを指標(KPI)にするのではなく、

・アンケート回答率
・NPS(以前のnote参照)
・総再生回数(アーカイブを含む)

などコミュニティの育成を「プロセス」として「タイムライン」で俯瞰していくような視点を持つことが望ましいと言えるでしょう。

人が参加するもしないも
人が満足するもしないも
すべてには「理由」があり
主催者がもつ「視点」次第
結果を導く「理由」づくりが必要

ということを念頭においたイベントの体験設計が求められています。

体験をプロセスで考える

これが主催・企画者と参加者の双方とが「盛り上がる」イベントの成功の鍵を握っている、そう考えています。

イベンターたち のトークイベント

オンライン/オフラインイベントの
・今年はどうだったのか?
・来年はどうなるのか?
・形態は?
・課題は?
・解決策は?

について、12/28 20:00〜「オンラインイベント」を行います。

【トークイベント】コミュニティ放送部#7 (2021/12/28 20:00〜)

コミュニティのオンラインイベントが多く開催される中で「コミュニティの枠を超えて」イベントノウハウを共有しているコミュニティです!

「体験」の未来を一緒に考えましょう!

おわり

(次回 #トキ体験 を創る 2021.12.27)

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