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#トキ体験 を創る 2021.12.31

#トキ体験 とは「その時・その場でしか味わえない盛り上がりを楽しみたい」という欲求を満たす体験のことを表した言葉です。これまでトキ体験を構成する要素を様々な側面から考察してきました。

トキ体験の考察
・コミュニケーション
・時間:長さ(尺)
・時間:曜日・時間帯
・時間:申込タイミング
・空間
・一体感
・距離感
・安心感
・平等感
・組織の人格
・個人の人格
・所属欲求
・自己超越欲求
・時間という言葉
・雑踏と潜在意識
・TPO
・感動体験
・体験のCtoC
・コストとトキ体験
・パッシブなトキ体験
・エンゲージメント
・非同期コミュニティ
・心理的機能と体験設計
・プロセスとトキ体験
・オーナーレス社会とトキ体験
・CX(顧客体験/経験価値)とトキ体験
・非金銭的報酬とトキ体験
・共感とトキ体験

トキ体験の連続考察noteはマガジン化していますので、ご参照ください。

最終回は「体験革命」について考察します。

人類の進化と「認知革命」

イスラエル人歴史学者・哲学者、ユヴァル・ノア・ハラリのベストセラー「サピエンス全史」では、人類は「虚構」や「妄想」を生み出したことで、「認知革命」が起き、弱肉強食の世界で食物連鎖の頂点に立ち文明を築くことができたと説明されています。

人類の頭のなかにある「虚構」が、文明の礎であるとはどういうことでしょうか。このことについて、わかりやすく解説している記事がありました。

この本で挙げられているのは、プジョーという会社の例です。実体としてここに本があるということとは異なり、プジョーという会社は実体として存在しているわけではありません。どういうことかというと、その会社でさまざまな人が働いていて、株式の売買がなされていますが、株式に関する法律や、法人格を有する法人という存在などは、全て私たちのつくり出した物語、すなわち虚構だということです。

ネガティブな意味合いで使われることの多い「虚構」「妄想」ですが、本noteで考察してきた「体験」という概念もまた、人々の頭のなかにあり「実体」ではない、という意味では「虚構」かもしれません。自分ではない他者とのコミュニケーションにおける「ストーリー(テリング)」でもあり「ナラティブ」とも言える概念でもあります。

会社という存在やプジョーという自動車の名前などは、実体としてそこにあるものではありません。それは、その存在を了解しているという、心の中で持っている信念で、そうした虚構がみんなで共有されているから、会社という組織や国家という組織が存在できているのです。

「虚構が共有されるから、組織や国家がある」

この「心の中の存在」こそ、大型動物が存在する弱肉強食の世界において人類という動物が生き残れる理由だということが言えます。

またこの解説記事では、

認知心理学的には「三項関係の理解の共有」といえる

ともあります。この三項関係と虚構としての「体験」について、考えてみます。

三項関係とは

三項関係とは、「自己」と「他者」と(対面の二者間の空間以外にある)「もの」の三者間における関係のことを意味する言葉です。

三項関係とは、「自己」と「他者」と(対面の二者間の空間以外にある)「もの」の三者間の関係を指す。自己と他者または自己とものとの2者間の閉じられた関係を指す二項関係と対比される。

この三項関係とは、

一般的に、生後約9か月以後のヒトの発達過程における特徴を指す

ときに用いられる概念です。

二項関係では、乳児は物体を操作している時に近くに人がいてもそちらに注意は向かず(自己=乳児、他者=親、物体=おもちゃ)、

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人と関わりあっている時は近くに物体があってもそちらに注意が向きません。

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一方、三項関係では、乳児は物体を意識するだけでなく、同時に大人がその物体に注意を向けていることを意識するようになります。

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この時期に乳児は、他者を意図を持った行為者と見做し、模倣や他者理解の発達を示すとしています。そして以後は、それまでのように他者から学ぶというだけでなく、他者を通して学ぶようになるとされています。例えば、

大人のある物体への反応を見て、その物体に対しての評価を学習する

ようになる。また、三項関係は言語の獲得においても重要であるとされています。

この三項関係は、同じように人類の「虚構」としての「体験」においても、非常に重要な概念ではないかと考えました。つまり、トキ体験という「虚構」における「共感」を通じて、その事象に対しての評価を行うと言い換えることができるのではないかと。

他者の共感(反応)を見て、その事象を評価し、
「共感」という「共通言語」の価値観を共有する

これが「トキ体験」の「本質」なのではないか、と考えました。具体的にイベントの「主催者」「参加者」そのときの「体験」に置き換えてみます。

体験の三項関係

これまでのイベントは、あくまで主催者が参加者に「コンテンツ」または「体験」などを一方的に「提供」するという、一方向の関係にとどまっていました。

多くの主催者が、二項関係で企画し、準備し、実施してきました。そして「アンケートの回収率が...」と嘆いてきたわけです。

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次のステップとして、参加者の「体験」つまり盛り上がりや熱量の創出を目的として、時間、空間、ファシリテーション、(参加側)ワーク、アフターケアなどを行い参加者からの「反応」を引き出すこと自体は可能です。これに長けた主催者やコミュニティリーダーなども多く見られるようになってきました。

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しかし、それではまだ「単発」「限定」「ローカル」なレベルでの体験設計と、その創出に成功したに過ぎません。

最終的には体験が「三項関係」の媒体となり、

・主催者が参加者を通じて体験価値を評価できる
・参加者も主催者を通じた体験を自分のものとできる

ことが理想ではないでしょうか。

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【主催者】
参加者にこんなに喜んでもらえた。自分たちの考えたことが単なる自己満足(例:ボェ〜)ではなく、きちんと参加者に伝わったことがわかる。それを感じ取れることの「体験」もまた、自分たちの喜びだ。参加者もいつか自分たちを手伝ってくれる「パートナー」になれるといいな。
【参加者】
主催者がこんなに自分たちのために考えてくれたのか。この体験を実現するために尽力してくれたことに価値(対価)を感じる。単なる「客」の立場を超えて、主催者は「体験」を提供してくれる「パートナー」だと思えた。

このパートナーだと思える「関係性」、つまり人類の生み出した共同体「コミュニティ」こそが、人類進化の要因「虚構=心の中の存在」の「認知革命」ではないでしょうか。

虚構がみんなで共有されているから、会社という組織や国家という組織が存在できている

これをコミュニティとして言い換えれば、

目的がみんなで共有されているから、パートナーとのコミュニティが存在している

ということになります。

では、その体験は単に「面白かった」「楽しかった」だけでいいのでしょうか。確かにそれだけでも「誰かに伝えたい」「話さずにはいられない」となれば、ひとりでに「体験」が「口コミ」になって人づたいに伝播していくこともあるでしょう。

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しかし、それではまた「モノ」→「コト」への価値変化の流れを促進しただけに過ぎません。

その体験が特別で、感動的で、予想を越えて、次の「行動」と「革命」を促すような「エンジン」にはなり得ません。

行動の革命

「トキ体験」とは、その場の誰もが「誰かに伝えたい」「話さずにはいられない」だけではなく「誰かにも行動させたい」「行動を起こす側になりたい」という具体的な「行動」の「革命」を起こすような体験の創出を目指す「ムーブメント」なのです。

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そしてその社会活動、「ムーブメント」は、多くの人を巻き込んで社会の変革を起こす「エンジン」となり得ます。トキ体験が「自己」に作用し、「他者」に作用し、そして「社会」に作用するエンジンになるのです。

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トキ体験によって作用を受けた、

・「自己」は「他者」への作用を
・「自己」は「社会」への作用を
・「他者」は「自己」への作用を
・「他者」は「社会」への作用を
・「社会」は「自己」への作用を
・「社会」は「他者」への作用を

と、三位一体のエンジンとなって「行動」と「革命」を起こします。

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体験革命

このトキ体験を原動力(=エンジン)とする人々の行動を促すムーブメントを、認知革命になぞらえ「体験革命」と名付けることにしました。

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人類の進化に必要だった「認知」の革命から、その次の「体験」の革命へ。

人びとの心を動かし
行動を起こす革命を
それが「体験革命」

人は誰でも誰かのために行動したい
誰でも人の役に立って満たされたい

そこに莫大な資金も
場も人も要りません

ただ、その「体験」をどう考えるか。
「体験」が何かの行動につながるか。

あらゆる人にとって
「体験革命」が人類が次に進むための
「エンジン」となり得ることを願って

31日間の旅路はいったんここで終わります。
今度は読んでくれたあなたと行動する番です。

「体験革命」で社会を良くしていきましょう。
ありがとうございました。

「トキ体験を創る」
-終-

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