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2021.6.24.thu. いまごろ浮上した畳屋さんとソロバンをめぐるミステリー。

うちの畳を入れてくれた近所の畳屋さん。古い畳をひっくり返したときに、墨で書かれていた文字を見て、「親父が入れた畳だ」とちょっと驚いた感じで言っていた。自分の親がやった仕事を、ずっとあとになってからふいに目にするというのは、どんな気分なのだろう。

しかし、その畳がいつ入れられたものなのか、親父さんはとうに亡くなっているし、畳屋さんだってだいぶ年季が入ってるし。何十年って前の畳だったのかもな。それで、私が来た6年前に畳替えをしたのだが、手際のいいことったら。タンタンタンって足で入れ込んだりして、ひとりであっという間に納めてしまった。

うちは古いだけあってあちこち歪んでいるのだが、新しい畳は微妙な出っ張りのあるところもぴったりはまっていて、いい仕事してるねえ、と惚れ惚れしたものだ。大工の棟梁もいいけど、畳屋さんもかっこいいなー。

その畳屋さんが、どうやら私が古いものが好きらしいと思ったみたいで、「娘が使ったやつだけど、うちにあっても使わないからあげるよ」って、古いソロバンを持ってきてくれた。5つ珠で、これじゃあ使えないやと思ったが、せっかくのご厚意なのでありがたくいただいた。

昨年暮れにやった蚤の市で、友だちが欲しいと言ってくれて、よかったーと思ったら、ばらして珠だけ使うのだとか。まあ役に立つのだから無駄に眠っているよりいいはずだけど。ただ、そのソロバンをひっくり返すと「六ノ二 名前」と、子どもがじぶんでやったような下手な字が彫られていて、それがちょっと気になっていた。

畳屋さんは私より10歳くらい上らしい。とすると娘さんはどう考えても私よりは10歳以上若いはず。その娘さんが使ったソロバンなら、もうちょっと新しくてもいいはずだ。それに、5つ珠ということはないよな(4つ珠が一般的)。えっ? じゃああの畳屋さん、ほんとはいくつなのよ? っていうか、畳屋さんの年齢にしたって5つ珠のソロバンなんて使わないよ。まあ、商人のうちだと使ったりするかもしれないけど。

もらったときは何も考えずにずいぶん古いソロバンだなと思ったのだが、もしかしたら、「うちのお袋が娘のころに使ってたやつ」と言ってたのかも。それなら一応納得できる。もうそれで納得することにする。


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