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若木信吾の「つかずはなれず」写真講座

写真家の若木信吾です。 写真に関するあれこれです。写真家たちのインタビューや、ちょっとした技術的なこと、僕の周辺で起こっていること、それらについて考えていることなど、ざっくばらん… もっと読む
¥400 / 月
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記事一覧

マガジン停止のお知らせ

みなさま、
長きに渡りマガジン購読をしていただきありがとうございました。
今月で一旦マガジンを廃刊させていただき、休暇をいただき次の準備に入らせていただきます。
今後記事一本ごとの販売も予定しております。
引つづきご贔屓いただけますよう、何卒よろしくお願いします。

若木信吾

Creative Problems

Creative Problems

 大学の写真学科の1、2年生の必須授業の科目に「Creative Problems」というものがあった。内容はスライドプロジェクターで映し出されたさまざまな有名写真家たちの作品を見て、それらのコンセプトや撮影方法などの話を聞いたり、フォントや同じ写真を組み合わせてパターンを作るなどデザインの練習のようなものをしたり、それらはvisual arts制作の原点を探るような授業で、写真の歴史や技術とはず

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Youngtree Annual いよいよ発刊

Youngtree Annual いよいよ発刊

「年に一冊」写真集を作るという企画、つまるところテーマは「自分の時間の記録」ということだろう。会社がAnnual Reportを出すように僕も年間報告作ることにした。その第一号目ができて、3月から発売する。タイトルはYoungtree Annual 。内容は2022年の一年間の間に個人的に撮影に行ったものを記事形式にしている。年鑑だから2022年度版とするのがいいのかもしれないが、もうすでに202

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再び京都

再び京都

 京都にひとりで行く機会というのが数年に一回あるかないかという感じなのに、去年のブライアンイーノ展から半年のうちにまた来れたのも何かの縁かもしれない。京都駅にひとりで降りる度に毎回初めて来た場所のように感じる。都市の駅は常に変わっていくからなのか、多すぎる店や人々をなるべく見ないように目的に向かってしまう。今回の目的は「ディクショナリー」の1月号で特集されたウサギ年カレンダーで参加させてもらったの

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Youngtree Annual 制作中

Youngtree Annual 制作中

 あっという間に12月に入ってしまって今年も終わりに近づこうとしているが、僕自身もあと数ヶ月で51歳を終える。コロナ禍のせいにはしたくないが、50を超えてもあまりこれといって変わり映えしないというか、体の老化の始まりを感じる以外改めて大きな変化を遂げることもまだない。50歳になったからといって急に何かが変わることではないのはこの一年10ヶ月くらいでよくわかったから、やはり自分の意思で少しずつやって

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撮らなくてもいいこともある

撮らなくてもいいこともある

 夕方からは、毎月のクラッシック音楽をテーマにした番組のラジオ収録で、一緒にやっている友人の綾部さんと2ヶ月ぶりに会った。毎月一度この収録時間で音楽をかけている間、色々と雑談を楽しむのだ。月一回ともなると話すこともいっぱいありすぎて、逆に何事もいつも通りだということに落ち着きやすい。しかし今日はたまたま僕が映画を撮りたい欲がまた盛り上がってきたという話を彼にした。ある原作がとても気に入っていて、ぜ

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ルシアン・フロイド

ルシアン・フロイド

 先日読んだニューヨーカーにルシアン・フロイドの記事が書かれていた。
イギリスの画家ルシアン・フロイドがまだ生きている時に、ある事業家が偶然手に入れたフロイドの未完成作をオークションサイトに出したところ、それを見たフロイド本人が、事業家が手に入れた何倍もの値段で買い戻そうと電話をかけてきた。しかしその事業家はそのオファーを断ってしまった。フロイドが88歳で亡くなったあと、これまでのフロイドの絵の値

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写真家と場所

写真家と場所

 葉山の美術館での展示に合わせてアレック・ソスが来日した折、青山のTwelve Booksでブックサイン会がおこなわれた。後藤繁雄さんからお誘いいただき、その日は動画の編集で近くにいたので、編集室を抜け出していくことにした。アレック・ソスとは数年前、浜松市美術館の展示のための「写真家の撮影現場とポートレート」プロジェクトを進めている時、運良く来日のタイミングが重なりインタビューと撮影をさせてもらっ

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祖父の故郷の川を辿る

祖父の故郷の川を辿る

 明治42年に祖父が生まれてから100年以上が経つ。祖父は2004年に94歳で亡くなったが、その後も僕は彼のオマージュ的映画を制作したり、お葬式の写真集を出したりして、祖父の姿形、しいてはそこから得られるスピリットを自分の中に生き続けさせようとしている。亡くなってから18年経っても年に数回は夢の中に出てくるし、その夢から覚めた時は一瞬まだ祖父が生きていた頃の自分のようで、場所や時間がよくわからなく

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アラン・ローマックス・アーカイヴ

アラン・ローマックス・アーカイヴ

「トーテム Song for home」という台湾ミュージシャンのドキュメンタリー映画を撮ってもうかれこれ10年以上経つが、写真家としてドキュメンタリー映像を撮るのはとても自然な流れだと今でも思っている。それが写真ではなくて動画だという理由は音楽が絡んでいる場合が多い。いずれにしても被写体が生の強さに溢れている時、写真であれ、動画であれ撮らずにはいられない。

 ミュージシャンが曲を演奏する姿は

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スティーブンショアのモダンインスタンスModern Instances

スティーブンショアのモダンインスタンスModern Instances

「ためになるものへの警告」と僕は読む
 スティーブン・ショアは写真家としてはもう巨匠なのだが、アメリカの今の若い人たちにとっては大学の先生の一人だと思っている人もいるかもしれない。僕ら写真集好きにとっては、もうこれまでの素晴らしい写真集の数々でも圧倒されてきたのに、未だ精力的に撮影を続けている憧れの写真家のひとりだ。最新刊の写真とエッセイの組み合わされた「Modern Instance」というタイ

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自分が撮った写真の中に何が隠されているのか

自分が撮った写真の中に何が隠されているのか

 今年に入ってVoicyを始めた。自分の日々の仕事や日常を話していることが多い。頻度が高いため、これで大丈夫なのかとか、(自分もリスナーも)飽きてしまわないかと早くも心配になっている。まだ30回くらいしか放送していない。このnoteを月一と考えるとVoicyはかなり多い。しゃべりはノリでなんとか乗り切ろうとしているからやれているのだろう。noteとVoicyでは用途が違うような気がする。noteは

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積水ハウス住宅展示場での展示

積水ハウス住宅展示場での展示

 Note編集部さんから「写真家にnoteが役立つ3つの理由」の記事でオススメいただいた、イオンモール浜松市野店での展示の記事「ショッピングモールで写真展」をお読みいただきありがとうございます。去年自分の中でも一番やってみて面白さと可能性がある展示だと思いました。

 そして今年もまた新しい展示のチャレンジの機会をいただきました。昨年、住宅展示場の商談ルームに飾る写真をご購入いただいた積水ハウス浜

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