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フィオドロワ スクリャービン

二つの夜想曲

綾部(以降あ):いかにも夜想曲という感じでしょ。

若木(以降わ):そうですね。

あ:夜想曲の定義とか概念ってあんまりピンとこないと思うんだけど、月を眺めて聴く音楽みたいな、そんなかんじですかね。

わ:以前にもノクターンの話しましたよね。

あ:そうなんです。ショパンのときですね。ぼくのとても好きな演奏家のバーバラ・ヘッセ・ブコウスカっていう人がノクターン全曲録音してるんですけど、そのときにもいってるんですが、一般的にノクターンというとショパンが有名なんだけど、実は夜想曲、ノクターンの概念はロシアに縁もゆかりもあるんです。

わ:そうなんですね。

あ:ロシアには有名な四大教師がいるけど、彼らを遡ってどんどん上にいったときに、いちばん最初の古い起源ってほとんどピアノの起源につながってくるんです。ロシアピアニズムのルーツの一番最初にいるのが、モーツァルト派っていうのと、クレメンティ派っていうのがいて、クレメンティの一番弟子のものすごい上手いアイルランド系の少年がロシアに置き去りにされるんです。そしてそのジョン・フィールドっていう人が作ったスタイルがノクターンなんです。

わ:そうなんですね。

あ:ジョン・フィールドがノクターンというジャンルをつくったということなんです。

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