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リヒテル プロコフィエフ

綾部(以降あ):この盤は音圧高いからボリュームさげておいたほうがいいですよ。

若木(以降わ):はい。

あ:今日は佐藤泰一さんの話からしようと思ってます。

わ:お願いします。

あ:佐藤泰一さんのところに遊びにいっている回数って僕がダントツ多かったと思うんですよね。僕はサラリーマン時代から営業内勤っていう職柄もあって、そういう忖度するのが得意なタイプなんです。マスコミ業界のサラリーマン時代に培ったプレゼントを用意する時に、佐藤さんの奥さんがどうやら虎屋の羊羹が好きだということがわかったんですね。佐藤さんのお宅に伺う時はとにかく虎屋の一番立派なやつを買ってもっていくと、佐藤さんが天井を杖でガンガンとたたいて、奥さんが二階から降りてくる。「ほら、お前のだ」と言ってその羊羹をわたすんです。
 そういうやりとりがずっと続いているうちに、「綾部、コレクター仲間はいないのか」というんです。それで「ぼくは年上の仲間いっぱいいますよ」って言ったら、「おれはイカリングを作るのが得意だから、イカリングを食べに来い」って。それでぼくより、六つ上のコレクターと、一回り上のコレクターと、三人で行ったんです。そしたら凄いオードブルをだしてくれて、結構おなかいっぱいになってしまったんです。するとこんどはホワイトソースのシチューがありえない量でてきたんです。肉とかもういっぱいはいってるんです。そこで、それを全部食べきるべきかどうか、ということですね。ぼくは全部食べきったけど、残りのふたりは、食べきれなかったんです。さすがにこれでイカリングはないだろうね、っていう話をしていたら、そのあとメザシが3本ずつでてきて、佐藤さんは「おれは二本でいい」っていうんです。さすがにもうおなかいっぱいで、メザシを食べた後おいとましようと思ったら、「まてまて、これからが本番だ」って。なんとひとりひとり500gくらいのステーキがでたんです。

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