イタリアのたび01_2のコピー

『実物を見る』。現役美大生がボッティチェリを見て感じた、3つのこと。

どうも、しんぐーです。

誰もが一度は教科書で目にしたことがあるであろう、ボッティチェリの『春(プリマヴェーラ)』。
2019年9月、イタリアでこの歴史的な絵に対面した時、私は息を飲みました。

正直、写真と実物が変わらないような作品も世の中にはある。自分の視点の未熟さもあるのでしょうが、圧倒的な違いを感じる作品はそれほど多くないように感じます。


今回は私が『春』を例に挙げ、どうして感動したのか、そして『本物』に対面する意味性を考えていきます。

これを読むことによって、
・実際に体験する良さがわかる。
・写真と実物の差がわかる。

ウフィツィ美術館について

・フィレンツェにあるルネサンス絵画で有名な美術館。
・2,500点もの展示品を収蔵
・古代ローマ時代の彫刻からイタリアルネサンスの巨匠たちの作品が収蔵されている。

私はゆっくりじっくり見るタイプなのですが、全部見るのに5~6時間くらいかかってしまうくらいボリュームがありました。人も多いので平日の朝とかが狙い目かもしれません。

(ちなみにカラバッジョもすごい迫力でした。衝撃が忘れられない…)

フィレンツェに行くなら見逃せない場所でしょう。建物の荘厳さも相まって、超絶ラグジュアリーな気分になれます(しんぐー比)。


『春(プリマヴェーラ)』について、一番写真と本物の違いを感じた点

1、オーガンジーのふんわり感
2、画面の細かな表情
3、色味・描写の繊細さ

それぞれ解説していきます。

1、オーガンジーのふんわり感
薄く空気の中に溶け込んでしまいそうな質感を感じました。
感覚的な話になってしまうので人それぞれ感じ方は違いますが、
テンペラ特有の薄く重ねていくことによる、『層』が空間性を生み出すのだと考えました。

2、画面の細かな表情
これは写真では確実にわからないでしょう。
花の部分がわずかに盛り上がっていたり、葉のきわが黄色く色づいている感じ。
写真で見ていた時よりそれらがより鮮明にわかります。
本当に細かなディテールが作品の完成度や価値を大きく変えるのだと痛感しました。

3、色味・描写の繊細さ
見えるか見えないかのほんの些細な変化。
例えばオーガンジーの肌に重なっている部分の色味。

アカデミックな絵画の多くは非常に精巧に描かれています。
2年前、兵庫県立美術館で大エルミタージュ美術館展でコレクションをみた時も、アカデミックな絵画の繊細かつ力強い表現に驚きました。
サテンの美しさ、真珠の透明感、頰の柔らかさまでつたわって来そうでドキドキしました。ただ、たくさん並んでいると目が慣れてしまい、初めの頃は感じていた写実の素晴らしさについての感動はなくなっていきます。
その中で、人の目を引くためには、写実性以上の付加価値をつけていかなければなりません。
ボッティチェリの場合、遠近法や画面上の辻褄といった写実性よりも
その物語性や世界観の確立がそれに値するのではないでしょうか。

世界に一つしかない感動

近年はインターネットが普及し、写真が普及して、誰もが自分の体験を気軽に共有することができます。また、誰かの経験を視覚的に理解することも可能です。

しかし、細かな部分はわかりません。大きな感動は、実際に体験した人でないと得られない。

写真を見て、本を読んで、私たちは色々な擬似体験ができるようになりました。
これからVRが発達すれば、家にいながら海外を旅する日が来ます。
行動のきっかけに繋げられるのなら、それはいいことでしょう。
擬似体験して感動したなら、ぜひ行ってみるべきだと思います。
画面越しでは感じられない、素晴らしい世界が広がっているはずですから。

(休憩に食べたタルト。ウエイトレスさんが忙しそうすぎてなかなか長居していました。)

【おまけ】
お土産に名画のクリアファイルでも買って帰ろうかな、と思ったのですが、売っていませんでした。クリアファイルに作品を印刷する文化は日本だけなのかしら。

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