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トントン、ガチャ。部屋に入ると「Voicy」

今回のマーケティングトレースはVoicyです。

私もヘビーリスナーとして毎日拝聴しております。
徒歩で移動中は基本的にVoicyを聞いているので、1日1時間近くは触れているコンテンツです。
そう考えると、1コンテンツでの接触時間はVoicyが最大になります。
今日はそんな大好きVoicyをマーケティングトレースすることにしました。

まずはVoicyのサービスから説明します。

商品情報

・著名人を始め、専門家やビジネスマンなどが経験や知識を音声収録して配信しているサービス
・「今日を彩るボイスメディア」として就職活動の情報、ニュース、ビジネスマンや起業家の考え方など配信している

なぜVoicyが選ばれるのか

・ためになる情報が溢れており、音声であるため移動中でもインプットが可能である
・編集されてそぎ落とされた情報ではなく、生の声でそのままの情報を伝えているため「目の前で話してくれている先輩」のような感覚になる


多量な情報社会でいかに効率よく情報収集できるかが問われている昨今において、徒歩中もインプットできるのはVoicyの最大の強み。
さらにこだわりとして、パーソナリティのページに入ると「トントン、ガチャ」というドアを叩いてドアノブを回す音が、まるでその人の部屋に入っているような感覚になること。
音声であることを活かして、あたかも目の前にその人がいて直接耳元にささやいているようになるため、インプットの質が違ってくる。
私の利用方法として、普段は接することができないビジネスマンや起業家の経験や考え方を仮想の先輩としてアドバイスをもらっているつもりで利用しています。

さらにVoicyの凄いところは、リスナーの平均聴取時間が1日約44分であること。
1メディアで40分も接触時間があるのはかなりの数値。
博報堂が調査した2019年のメディア接触時間は過去最高の411.6分/週。

Voicyが1日44分聴取されているため、44分/日×7日=308分/週となる。
あくまでメディア接触時間の平均から換算しているので、目安でしかないが半分以上の時間をVoicyで消費していることになる。
もちろん有益な情報が多いとこともVoicyが聴かれる要素ではあるが、自分から目で追うわけではなく、自然と耳に入ってくる人間の声のためユーザーに負担が少ない。
情報が溢れているので目で追うのだけでも現代人は疲弊しているのだ。

そんなVoicyですが、株式会社Voicyが運営しています。
CEOの緒方憲太郎さんは元公認会計士で国内外のビジネスに精通している方です。
さらにCTOの窪田雄司さんを始め、その畑の各プロフェッショナルが多くいらっしゃいます。
ただ、その方たちがVoicyというプロダクトを愛して、その可能性を信じているところが会社としての強みであるのではないかと推測しています。
実際に現場を見たわけではなく、社内メンバーのインタビュー情報やゲスト出演去られていた際のお言葉から推測すると、「うちの××は〇〇だからダメなんだ」という一般的に多くの現場で語られる自社プロダクトに対する考え方より、「うちのVoicyは〇〇だから△△してもっとよくしよう」という思考になっているのではないかと考えられます。

さらに、Twitter上でVoicyに対しての不満をユーザーが投稿していたら、即座に原因を追究して改善に移すスピーカー感。
特にCEOの緒方さんが自ら動いてユーザーの投稿、さらにはパーソナリティのオファーをされていました。
このスピーカー感こそVoicyを作り出しているのか。

ただのヘビーリスナーとして、Voicyが好きすぎて前段が長くなりましたが、ここからマーケティングトレースしてまいります。
まずは企業をもっと知るために3C分析と4P分析から。


3C分析

Customer【市場・顧客】
 ・ビジネスパーソン、就活生をメインに広がっている
Competitor【競合】
 ・Webメディア、YouTubeなどの配信サービス
Company【自社】
 ・国内最大の音声放送のプラットフォーム
 ・国内外のビジネスに精通したCEOの緒方さんを筆頭に集まるプロフェッショナル集団
 ・社内メンバーが全員自社プロダクトを愛して「より良いサービス」を作るために日々アイディアを出しあっている

4P分析

Product【商品】
 ・音声メディア「Voicy」の配信
  ✓著名なライター、起業家、ビジネスマン、ニュース、趣味嗜好などのジャンルを配信
 ・音声体験のデザインやコンサルティング
  ✓やろうと思えば誰でも配信ができる音声インフラの構築
  ✓音声で情報のプラットフォームを立ち上げる
Price【価格】
 ・リスナーは無料で聴取可能
 ・チャンネル開設費は有料 ※10万~
Place【流通】
 ・インフルエンサーから一般層へと拡大
 ・一般層から徐々に拡散
Promotion【広告】
 ・パーソナリティのSNSを中心に徐々に拡大
 ・資金調達のニュースによるサービスの認知

ありそうでなかった声のメディアとしてすでに日本では最大のプラットフォーム化されています。
パーソナリティは著名人が多く、SNSで告知をするだけで多くの人にVoicyそのものが伝わります。

SWOT分析

Strengeths【強み】
 ①音声放送のプラットフォーム構築
 ②リスナーの趣味嗜好、視聴の時間帯の可視化による分析
 ③良いことは即座に取り入れようとする改善のスピード力
Weaknesses【弱み】
 ①事業持久力
 ②常人ではない情熱的社長をいい方向へコントロールできるかの畳人力
Opportunities【機会】
 ①AIスピーカーなどIoTが進むにつれて音声から作り出される価値の浸透
 ②Web広告から音声メディアの需要の広がり
Therats【脅威】
 ①実現する方向性に関してメンバー間で乖離が発生することにより事業のスピード感が落ちる可能性
 ②多大な顧客情報を持つプラットフォームがそのデータを元に音声に特化したサービスを設計

クロスSWOT分析

強み×機会:積極戦略=①③×①②
 ・従来通りのWeb広告の音声版として機能させず、あくまで音声メディアとして独自の地位を確立させる
  ✓これまでのWebが行ってきた押し売り広告では音声メディア自体が嫌われてブランド価値を低下させる可能性がある
  ✓あくまでも音声メディアとして、リスナーが求めているから提供するという立ち位置は変えない
強み×機会:積極戦略=②③×①②
 ・その人の趣味嗜好にあったチャンネルを提供するサービスを開始
  ex)お笑いが好きなビジネスマン”であれば桂三四郎さんのチャンネルをおススメにする。その際におすすめ理由は「お笑い好きなあなたにはこちらのチャンネルをおすすめ。相手に伝える力を趣味のお笑いを通して学ぶことができます」みたいな情報を付け加える。

強み×脅威:段階的戦略=
①③×①
 ・これまでにない新しく形がないものは先が見えづらいため、常に目指す方向性はメンバーと共有して同じ方向を見ておく
 ・熱量が高いあまり、我を忘れて熱中するメンバーの体調面でのメンテナンス機会を用意しておく
強み×脅威:段階的戦略=②×②
 ・音声メディアとしてリスナーのデータを取得している企業としてはVoicyが世界でもトップレベルであるため、変に動画やWebに寄せないコンテンツを構築していく
 ・toB向けにチャンネル開設を拡大させていく
  ✓リスナーは知りたい情報しかアクセスしないため、押し売りではないブランド価値は維持したままで実行できる
  ✓企業側は視聴数やフォロー数などにより、企業そのものに対してリアルなデータとファン作りを行うことができる
  ex)就活人気企業の人事担当者の集い
  ex)サイボウズの働き方チャンネル

弱み×機会:差別化戦略=①×①②
 ・資金調達、著名人によるパーソナリティ拡大により、Voicyがユーザーにとってなくてはないものになるように継続させる
 ・音声メディアとしての特徴を生かした様々なジャンルのパーソナリティを獲得する
  ex)プロスポーツ選手のプレーではなく精神的な考え方やプロフェッショナル思考などを一般層やアスリートに向けて配信する
    ※現状の配信ジャンルから拡大させる

弱み×脅威:専守防衛・撤退=①②×①
 ・メンバーがVoicyで何を実現させたいかを共有し、事業戦略とどの部分が関連付いているのかを認識させるために、経営層とメンバー間でのコミュニケーションを積極的に行う
 ex)社内イベントの開催、社外イベントの参加
弱み×脅威:専守防衛・撤退=①②×①②
 ・事業売却により事業は継続して行える環境にする

5Forces分析


もし、自分が企業のCMOだったら、、、

プロダクト開発とプロモーション戦略の2つの視点から、もしCMOだったらの施策を考えました。

【プロダクト開発】
・蓄積されたデータを元に誰がどの時間で聴取しているのかを可視化して、リスナーが求めるタイミングで最適な放送を提供するシステムを構築する
・リスナーの趣味や嗜好などを元にVoicyがおススメするパーソナリティを紹介する
・採用媒体とコラボレーションして、現場の人の声が直接聞ける情報を提供するサービスを開始する

【プロモーション】

・Voicyを聴きながら仕事や家事ができるような生活をデザインできることをWebを通して広めていく
・Webメディア、動画、書籍等でVoicyでどのような世界が実現できるかの未来を見せる広げ方を行う
・ブランドを傷つけるため下手に広告を打たない
 ※Webメディアと音声メディア双方の得意領域を有効活用させる

今後、2~3年後にVoicyがどのような形で世の中にインパクトを与えているか物凄く興味があります。
自社プロダクトを愛することができるって、本当に素晴らしい。

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