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「ゆで太郎」から学んだお客様視点の真髄

今回はみんな大好き「ゆで太郎」をトレースしたのでご紹介します。

自分は長崎県出身ですが、18歳で上京して仕事の都合で27歳の時に福岡に移住し、さらに今年の2月に東京に戻ってきました。

その福岡にいた時の話です。

福岡をはじめ、九州には僕の大好きな蕎麦チェーン店がありません。

東京でよくお世話になっていた蕎麦チェーン店の皆様
↓ ↓ ↓

ゆで太郎
名代 富士そば
箱根そば
小諸そば
そじ坊
北前そば高田屋
いわもとQ
嵯峨谷...など

福岡にはほとんどありません。

そもそも福岡は蕎麦の文化は皆無に等しく、うどん派が圧倒的多数です。

県内にも地元のチェーン店や有名店が多数点在し、飲みの後はラーメンというより、うどんを食べる人も一定多数います。

そんな途方にくれる中、ダメ元で調べてみたら、西日本で唯一の「ゆで太郎」がなんと前の職場の近くにありました。

今でも思い出します。
その時の感動を。

遠く離れた故郷を思い出すひと時。
濃いつゆを飲み干すと食事が終わる寂しさでゆっくと喉を通す。

※九州出身です

そして、今年2月に上京し、つい先日、東京にあるゆで太郎に行きました。

相変わらずウマい。

なぜ、こんなにもゆで太郎に引き込まれるのか。

そこで調べてみると、ゆで太郎の「お客様視点」に驚愕しました。

なので今回は、みんな大好きゆで太郎をご紹介します。

まずはゆで太郎から学んだことがこちら。

・データ(ファクト)と勘の仕切り
・お客様視点で競合を見ておかないと誤った戦略になる
・お客様に選ばれる理由を創造する

これらは3点はどういった点で感じたのかを洗い出していきます。

会社概要

会社名:株式会社ゆで太郎システム
代表者:池田智昭
設立:2004年8月
資本金:5,000万円
従業員数:140名 ※パート・アルバイト:675名 ※2020年1月時点
店舗数:207店舗
売上:82億9,100万円

他社の蕎麦チェーン店と店舗数を比較してみます。

ゆで太郎:207
サガミ:133
富士そば:128
そじ坊:120店
小諸そば:64
箱根そば:45

ゆで太郎が圧倒的な店舗数。
実はゆで太郎は日本最大の蕎麦チェーン店だったんです。

ただし、店舗数だけではないゆで太郎のすごさ。

そのすごさを紐解くために4P分析から見たゆで太郎をご紹介していきます。

商品へのこだわり

麺へのこだわり
・店舗内で毎日2~3回製麺してその日に使用
・その日の気温や湿度によって混ぜる水の量を変化
・通常はそば粉を40%前後だが、ゆで太郎は驚異の55%
・麺の長さは37センチで統一

つゆのこだわり
・90分に1度作り変えて常に一番良い状態で提供
※1日平均12回はつゆを作り変える
・かえしはゆで太郎の特性

注目は麺の長さを現在の「37センチ」に統一させた背景。
もともとは「47センチ」だったそうですが、お客様を見ると食べずらそうにしていたので37センチで統一させたそうです。

これもお客様視点で、常にお客様を見ているかこその気付き。

これだけ商品にこだわっている理由は、「お客様に選ばれるためには、お客様が期待している以上のものを出さないといけない」からこそ。

一見、非効率で利益率も改善できそうに見えますが、「お客様から選ばれるお店」にするためには、お客様視点に立って、他のお店と比較したときに自店がいかに優れてて、選ぶポイントがあるかどうかを徹底追及しています。

商品価格

これほど商品にこだわっているのに「かけそば」は340円!
天そばも揚げたてを提供して600円とかなりリーズナブルです。

立地へのこだわり

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※Google Map

こちらは五反田の本店の周辺にある店舗です。
そばチェーン店は駅チカにあるイメージですが、ゆで太郎は駅から歩いて10~15分くらいの場所にあります。
一見、立地的に競合の駅チカにある飲食店に対して劣勢に見えます。

駅周辺ではない理由は、都心部は特に家賃を抑ええないと、ゆったりした店内にして、且つ蕎麦を打つスペースが確保できないそうです。

ただし、一見すると劣勢に思われるかもしれませんが、「お客様視点」になると意外とそうではないかもしれません。

なぜかというと、例えば駅から徒歩10~15分というのがポイント。

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ゆで太郎が狙っているのはこのあたりのビジネスマン。 ※緑塗箇所
彼らからすると、ゆで太郎は徒歩5分圏内になります。
ランチもそうですが、夕食でも安くてウマいなら、立ち寄ってみようかという理由付けになります。

さらに、蕎麦はラーメンやパスタに比べると糖質も抑えられて糖質制限でダイエットにも最適です。

なので、から10~15分離れているから劣勢かと思われるかもしれませんが意外とそうではありません。

もちろん、駅チカではないのでその分の機会損失も多いですが、リカバリーできる範囲内で店舗の立地を工夫しているように思われます。

調べれば調べるほど、お客様がゆで太郎を選ぶポイントがあふれ出てきました。

だからこそ、ゆで太郎がブレずに貫き通していることは、お客様に選んでいただいた時に「期待を超えられる味」を常に提供できるか。


商品プロモーション

ゆで太郎では毎月新商品を出しているそうです。
売上が悪いものから入れ替え戦で、定番商品も例外ではなく来月生き残れるか売上に左右されます。

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新商品を開発だけでもプロモーションになり、少し尖った商品を出せは集客に繋がります。
売上が悪かったら来月は辞めればいい。

さらに日替わりでお得な商品も展開。

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いたるところにお客様が来店する理由を作り出す仕掛けが施されています。

よく、マーケティングの本質はプロモーションだけではなく、商品そのものが優れているか。
商品自体が良くないとリピートしてもらえなえません。

それを実現しているゆで太郎。

いったい、どんな経営方針なのか。
企業としてのゆで太郎システムを調べてみました。

経営理念

ゆで太郎システムの経営理念がこちら。


私たちゆで太郎システムの従業員は、飲食店のプロとして、お客様に驚きと満足を提供します。


「おいしいおそばをできるだけ安く、気持ちよく召し上がっていただく」という意味、日本そばを、日常食としてお召し上がりいただきたいという想いから。

なんども繰り返しますが、どこまでもお客様視点。

だからこそブレない。

全店舗、全社員が同じ方向を向いていける。

社是が「三方良し」です。

売り手良し
企業に適正な利益が得られ、そこに働く従業員が幸せになれる

買い手良し
お客様が美味しくて、安くて、気持ちよくて、おなか一杯、本当に幸せ

世間良し
その企業が世間(地域・国など)からあってよかった、必要と思われる


自社とお客様ではなく、世間様も視野に入れる。

全てのバランスが整っているから今の地位を確立できています。

まとめ

ゆで太郎から学んだことは以下3つ。

①データ(ファクト)と勘の仕切り
②お客様視点で競合を見ておかないと誤った戦略になる
③お客様に選ばれる理由を創造する

①データ(ファクト)と勘の仕切り

こちらは商品開発のところです。
毎月の売上(ファクト)から入れ替え戦で新しい商品(勘)を展開。

データと勘を上手くおり重ねていました。

②お客様視点で競合を見ておかないと誤った戦略になる

ゆで太郎が見ているのは競合他社の蕎麦チェーン店ではなく、周囲の飲食店。

競合の蕎麦チェーン店がこうやっているから自社はこうしようではなく、周囲の他のお店に行かずゆで太郎にご来店いただくにはどうすればいいかを考え抜いている。

「お客様が比較対象にする=競合」と定義しておかないと、自社内で認識している競合でズレが生じてしまえば戦略を大きく誤ってしまう。

ここは戦略を考える上での要注意ポイント。


③お客様に選ばれる理由を創造する

商品へのこだわりやプロモーション、立地条件や店内の広さなど、お客様が来店する理由を「美味しいから」だけにはしない。
いつ、どんなタイミングで、なぜご来店いただいたのかを把握できる範囲で洗い出して施策を打ち出す。

戦略に無駄がなくて研ぎ澄まされています。


お近くの方はぜひ。


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