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地球まるごとカバーする通信サービス開始へのカウントダウン

 最近人工衛星を使った通信サービス ビジネスから目が離せません。皆さんも SpaceX社の低地球軌道(LEO) 衛星を使った  Starlinkブロードバンド サービスに関するニュースを目にすることが多くなってきたのではないでしょうか。8月上旬には軌道上の Starlink衛星の数は 3,000機を超え、絶賛打ち上げ中といった感じです。
 SpaceX社のブロードバンド サービスも気にはなりますが、最近は人工衛星を 5Gの基地局として地上のスマートフォンに通信サービスを提供する動きも活発になってきました。数年前にこの話を聞いた時には夢物語のように思いましたが最近は様々な解決策が出てきており、数年以内にサービスインする勢いです。
例えばテキサス州ミッドランド市に本社を構える米AST SpaceMobile社は今年5月に、携帯電話対応ブロードバンド衛星群の試作衛星 ”BlueWalker 3” から米国内でサービスを試験的に提供するライセンスを FCCから獲得したことを発表しています。BlueWalker 3 は 8x8m2のフェーズドアレイ アンテナを軌道上で展開することで、低地球軌道(LEO) から地上の 2G、4G、5G の携帯電話に接続するもので、2023年に SpaceX から打ち上げが予定されています。

AST SpaceMobile社 BlueWalker 3。Source: https://ast-science.com/

携帯電話ビジネス老舗の瑞Ericsson や米Qualcomm も今年 7月に仏Thalesと低地球周回軌道(LEO) 衛星による 5Gネットワーク構築 (5G NTN, 5G Non-Terrestrial Networks) に向けた計画を発表し、5Gネットワークによる世界規模での広帯域通信サービスの提供を目指しています。
計画は移動通信の標準化団体 3GPPが今年3月に承認した仕様に基づいて進められ、フランスの宇宙空間エミュレーション環境での試験から着手するそうです。

また衛星通信事業者の米Iridium Communicationsも、同社の技術をスマートフォンで実現するための開発契約の締結を今年 7月に発表しています。
ライバルであるシリコンバレーの衛星携帯電話サービス会社 GLobalstar社は iPhoneと衛星を接続して緊急サービスを提供するために Apple社と協力している模様。
そういえば、NASAは Artemis Lunar Exploration Program において Nokia と月面での 5Gネットワークの活用の検討を進めているそうで、地球外でも 5G技術が無線通信のデファクトになるかもしれません。

 人工衛星を使った通信サービスはスマートフォン向けだけでなく、IoT通信でも活用が進んでいます。米EchoStar社の子会社である EchoStar Mobile Limited社は欧州の衛星を利用した LoRa IoTサービスのアーリー アダプタープログラムを今年 5月に開始しました。このプログラムでは、輸送・物流、農業、石油・ガス、公共事業といった分野で衛星を利用した接続ソリューションを試用することが可能で、すでに 1万台以上のデバイスがトライアルを行っていて、EchoStar Mobile社はヨーロッパで数百万台のデバイスに拡大することを計画しています。
EchoStar Mobile社は EchoStar XX I静止衛星(GEO) のSバンド周波数帯を IoT機器に組み込む LoRa 対応モジュールを提供していて、このモジュールは Semtech LR1120 チップセットを搭載、地上波 ISMバンドの LoRaWANネットワークに対応しているそうです。

 以前は衛星通信用の端末が必要でしたが、スマートフォンをはじめ地上で一般的に利用されている機器が国や地域の違いに関係なく通信できる時代がすぐそこまで来ています!

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