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米国ベイエリアで準備が進むロボタクシー サービス

 最近ベイエリアでも自動運転サービスの商用化が進み始めました。先月 (2021年9月末) カリフォルニア州車両管理局 (DMV) が Cruise社(GM) と Waymo社(Google) に有料自動運転サービスの許可を発行しています。ただし商用で人を乗せるサービスを提供するにはさらにカリフォルニア州公益事業委員会 (CPUC) の許可も得る必要があるため、両社共に現時点では有料自動運転サービスで物品のデリバリーはできますが、人を乗せる有料自動運転サービスをカリフォルニア州で提供にはもう少々時間がかかりそうです。

 シリコンバレーの自動運転技術開発ベンチャー Cruise社が得た許可は「Driverless Deployment Permit」で、フロントシートにドライバーがいない状態で有料サービスを提供できるもの。Chevy社の Boltベースの車両をサンフランシスコを中心に展開する予定。

 一方 Waymo社が今回得た許可は「Drivered Deployment Permit」で、こちらはフロントシートに安全確保のためのドライバーがいる前提で有料で自動運転サービスを提供できるもの。Waymo社はすでに 2021年8月下旬から限定した利用者向けに Jaguar I-PACE車両を使ったロボタクシー サービス「Waymo One Trusted Tester」プログラムをサンフランシスコ市内で 24時間利用なサービスとして開始しており、このサービスの利用を希望する人は Waymo Oneアプリをスマフォにダウンロードしてプログラムへの参加申し込みを行います。同車両には Autonomous Specialistと呼ばれるセーフティ ドライバーがフロントシートに乗っており、運行状況の監視と安全確保を行います。

 有料自動運転サービスという意味では、すでに昨年12月にシリコンバレーのベンチャー Nuro社がカリフォルニア州車両管理局 (DMV) から商用自動運転サービス第1号として許可を得ています。Nuro社は昨年12月に自動運転トラックのサンフランシスコのベンチャー Ike社を買収しており、自動運転サービスの対象を拡大しています。

 ベイエリア以外では Walmart社が Lyft社や独フォルクスワーゲン社、Ford社が出資するピッツバーグの自動運転技術開発ベンチャー Augo AI社と Ford社が共同で自律走行車による商用配送サービスをテキサス州オースティン市やフロリダ州マイアミ市、ワシントンD.C.などで開始する準備を進めています。Walmartの利用者はネットで食料品などを注文し、Argo AI社のクラウド サービスが顧客への配送スケジュールを作成、自律走行車で配送するというもの。また Argo AI社は今後 Lyft社の配車サービスに 1,000台以上の自動運転者を展開する計画も発表しています。オースティン市やマイアミ市では現在すでに試験運用が開始されていますので、これらの都市にお住まいの方はすでに Walmart社の自動運転車による配送サービスを体験されているかも知れません。

 商用サービスという意味では米国では長距離トラック輸送において実用化が進んでいます。北米大陸は 3つの時間帯にまたがる広い国土を持っており、長距離トラックの運用はドライバーの大きな負担となっているのに加え、高齢化とドライバー不足が深刻化しています。そこで FedExは現在試験的にテキサス州のダラス-ヒューストン間の 500マイル (凡そ 800km) のルートに自動運転技術開発ベンチャー Aurora社の自動運転技術を搭載した大型車両メーカー Paccar社のトラックの運用を開始する計画を発表しています。トラックにはバックアップとしてドライバーが乗り込みますが基本的に自動運転で都市間を走行します。Aurora社はバックアップないしセーフティ ドライバーが乗り込むことなく拠点間の運送を行う自動運転配送事業の立ち上げを目指しており、今回の FedEx及び Paccar社との提携はその目標に向けた大きな一歩と言えます。
また上記 Wyamo社はテキサス州ダラス市郊外に自動運転トラックのハブを建設中で、既に J.B. Hunt社などの運送会社の貨物を自動運転トラックで運んでいます。

 カリフォルニア州における自動運転車に一般客を乗せる商用サービスを開始するまでには DMVや CPUCなどのいくつもの許可をクリアしなければなりませんが、商用サービス前のセーフティ ドライバーが同乗する CPUCの自動運転車乗客試験プログラムの許可を受けているのは今回ご紹介した Cruise社や Waymo社に加え、AutoX社、Deeproute社、Pony.ai社、Voyage社、Zoox社です。皆さんが次回ベイエリアにいらっしゃる頃にはこれらのロボタクシー サービスを体験できそうです。

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