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vol.6 AKBと「影響力の武器」

社会学者ロバート・B・チャルディーニが書いた『影響力の武器』という本があります。チャルディーニはとても騙されやすい人間でした。あまりに自分がカモになってしまうので、どうして人間は詐欺だと分かっていながらカモられてしまうのか研究しました。その技術を『影響力の武器』のなかで紹介しています。

読みすすめているうちに、“騙されていると分かっていながら、ついアイドルにお金をつぎこんでしまう”まさにヲタクのことが書かれていました。この本の中で紹介されている心理学の考えはマーケティングでよく使われますが、AKBを始めとしたアイドルが、意識的/無意識的にやっていることでもあるので紹介します。

返報性の原理

返報性の原理とは「なにかしてもらったらお返しをしなくてはいけない」と思う人間の普遍的な心理のことです。

AKBの握手会は、CDを購入すると参加できるのですが、握手会でアイドルにいい対応(容姿を褒められる、優しくされる)をされると、「こんなにいい子なんだから、この子を応援しよう」という気持ちが芽生えます。そして応援しているうちに、だんだん「この子は俺が支えなければならない」という感情に変化します。それがCDの大量購入、俗にいうAKB商法のベースになってるんですね。これはうまく返報性の原理を使っています。小さな貸し(握手)で、大きな見返り(CD購入)を求めるのです。

権威

人は権威に弱い生き物です。肩書きにこだわってしまうのも、その影響です。AKBは"日本一のアイドルグループ"という権威を利用しながら、そこまで可愛くない子でも可愛いと思わせることができます。

希少性

AKBをdisるつもりはないですが、AKBにいる子は一般的な女優やモデルに比べて可愛い子が多いとは言えません。むしろ渋谷歩いてる子の100人に1人くらいはAKBより可愛かったりします。ではなぜAKBは可愛いと思われるのでしょうか。それはAKBが可愛いからではなく、AKBのメンバーは日本に300人くらいしかいないからです。人間は希少なものには価値があると、無条件に思い込むように出来ています。

好意

これはAKBの中でも神対応と言われている柏木由紀や、須田亜香里を考えてみるといいでしょう。彼女たちは、ファンに好意を持たせることができます。人は自分に似ている人に好意を抱くようにできているので、海外のスーパーモデルより、クラスで3番目くらいの子に好意を抱きやすいのです。

社会的証明

日本人は流行に流されやすい民族であると言われることが多いです。「みんながやっていることには無条件で従ってしまう」これが社会的証明です。AKBは毎日メディアを飾ったり、オリコン1位を連発することによって"AKBは流行っている"という印象を国民に与えました。その結果、実力とはおおよそ関係なく、AKBは世の中に対して影響力があるグループである、ということを世に知らしめることに成功しました。こうなってくると、多くの人は「これだけ人気があるなら、いいに違いない」と考えます。

コントラスト効果

私の場合だと、キャバクラで1万円を支払うことには躊躇しますが、1枚1,000円の握手券を10枚買うことには抵抗がありません。商売の基本ですね。

勝者の呪い

勝者の呪いとはオークション、AKBでいうところの総選挙が近いかもしれません。オークションでは落札しないといけないので、相手が妥当だと思っている値段より高い値段を提示する必要があります。つまり結果的に勝者が損をしてしまうという現象のことです。

人間の欲望のMAXは他人と競争しているときです。自分が価値があると思い込んでいるメンバーを○○よりも上にしたい。競争しているとき人は、平時よりも、その子に価値があると錯覚します。

コミットメントと一貫性

これは「いちど決めたことは取り消せない」ということです。

一度この子を応援すると決めた以上、途中で推しメンを変えることには抵抗があります。なぜなら推しメンを決めたのは他ならぬ自分であり、推しメンを変えるということは、つまり自分の選択が間違ってたことを自ら証明することになるからです。これを自分の意思で実行することには、心理的負担が伴います。

だからオタクはムキになって、他のグループを貶めたり、聞いてもないのに自分の推しメンの良さを語りだすのです(いいことですね)



つらつらとそれっぽいことを書きましたが、騙されてると分かっていながら騙されるのってメチャクチャ楽しいんですよね。だからオタクをやめられないのです。あ~早く結婚して~(ハナホジ)



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