「AKB終わったよね」「今は乃木坂だよね」

最近色んな所で聞かれるわけですが、ここらへんの細かい事情については割りと誤解されている部分が多いと思っています。

１．AKBの凋落ははじまってるのか

CDの売上は落ちています。が、どのアーティストでもピークアウトの法則は通じるので、AKBが11年目ということを考えると、ヘビロテ、恋チュン前くらいの数字に戻ったと考えるのが妥当でしょう。ちなみにAKBの投票券付きCDは平均して累計160万〜190万枚ですが、通常時でも110万〜130万枚です。乃木坂は最新シングルが累計80万で最高記録となっています。

２．乃木坂の躍進

少しでもTVや雑誌を見ている人であれば、今のアイドルシーンの１角に乃木坂がいるのは間違いないかと思います。異例のスピードでCDの売上を伸ばし、ライブ動員も絶好調。乃木坂は今年５年目。AKBで言えばヘビロテが出た頃とかぶるので、進捗率でいうとAKBと同じくらいとも言えます。

３．AKBのCDセールスが奮わないわけ

これは端的に言ってしまえば、初期の中心メンバーが抜けた所が大きいと思います。加えて、メンバーの握手会に対するモチベーションが猛烈に落ちています。

次世代を担うメンバー（主に12期〜15期）は、AKBの売上が絶好調だった時に加入しています。つまり本人たちは努力せずとも、握手会が盛況という状態を経験してしまっています。これがAKBにとって大変に不幸な状況を生んでいます。

さらにAKB本体（ファンの間では本店と呼ばれる）メンバーは８０人前後と増加しましたが、握手会人気メンバーはほぼ固定されます。握手会に行くと分かりますが、長蛇の列が並ぶレーンと、そうじゃない過疎レーンの格差は歴然です。

この状況、１０代の女の子にとっては現実を見せられている感じで、中々酷だなと思います。（１時間に１０００人並ぶ列もあれば、５人しか来ない列もある）

この格差が、メンバーの握手会に対するモチベーションを激減させています。

スマホをいじるメンバー、宿題を始めるメンバー、メンバー同士でおしゃべり等など、まるで学級崩壊の様相を呈しているのが、今のAKBの握手現場です。もちろん人気メンバーはなぜ自分が人気があるのかを理解しているので、握手会の対応も丁寧です。

人気あるものはますます人気が出ていき、人気がないメンバーはますます負のループにはまっていく。教育係としてのたかみなの役割は大きかったと推察できます。

４．乃木坂が人気の原因

これは３つあります。

①ビジュアル

乃木坂のビジュアルは一般受けします。ダンス・歌よりも、顔立ち・体型を優先して選抜されており、アイドルっぽくない出で立ちが、AKBの対のイメージと重なって、今までアイドルファンじゃなかった人にも受け入れやすくなっています。

②楽曲・アートワーク

楽曲・アートワークにも力を入れており、従来のメタ的なアイドル像から、クリエイティブな雰囲気を生み出すことに注力しているため、AKBに反応しなかった層にも受けています。

③握手

乃木坂の人気の源泉は活動当初から握手会でした。とにかく握手会の対応がどのグループよりも丁寧。別名ハンドキャバクラと呼ばれるくらいで、AKBから流れてきた層はもとより、新規のファンの心もこれでがっちり掴んでいます。

５．AKBと乃木坂の違い

AKBと乃木坂の違いは、ヴィジュアルや楽曲の違いで語れることが多いですが、一番の違いは「先輩の存在」です。

AKBは現在、完全なる体育会系のピラミッド構造を築いているので、後輩は先輩の影響を受けます。誰とは言いませんが、握手会を適当にこなしても、TVで活躍する先輩を見れば、若いメンバーが易きに流れるのは必至です。

乃木坂は現在２期生までしかいませんし、実質活動しているのは１期生のみで、先輩がいません。なので基本的にどのメンバーにも握手会は一生懸命やらなくちゃいけないんだという意識がありますし、それは当然握手にも反映されます。

ちなみにAKBチーム８はAKB本体と切り離され、先輩のいない状態で活動をしています。チーム８もまた、握手会の調子がいいことを考えれば想像がつきます。

長くなったので結論に入りますが、AKBが出てきた当初より、世間のアイドルに対する態度は軟化しており、乃木坂を受け入れられる土壌が出来ていた。AKBが勝手に落ちぶれていく間に、乃木坂は大躍進を遂げた。とは言え、乃木坂も安泰というわけではなく、お茶の間まで名前と顔が浸透しているのは生駒白石だけであり、彼女たちが卒業した後の「顔」がいない。（これはAKBも同じ問題）

乃木坂の所属事務所であるSMEは元々音楽事務所の出自であり、タレントマネジメントが不得手。メンバーにトークスキルはなく教育もできてないので、バラ売りが難しい。AKBのメンバーが曲がりにもTVに出てる理由は、みんな所属事務所がバラバラで、タレント事務所に所属しているから。

モデルもアイドルも年齢が来たら終わりなので、芸能界に残っていくとなると、女優かタレントしかありません。

結局本人がどうやって芸能界に残りたいか、むしろ本当に残りたいのかという話になってくるので、ここらで筆を置きます。