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【ミックスダウン編】エレキギター

クリーン系からクランチ、ディストーション系まで多彩な音が出るエレキギターのトラックはどのように処理すればよいのか、パターン別に解説します。

エレキギター全般について

エレキギターの帯域の特性として、ほとんど低域も高域もありません。実際にギターの個性を決める帯域は2KHz付近にあり、最低域は重視した場合でも200Hz程度が限界です。EQで調整する場合には、主にこの範囲内で行います。ローパス処理まで行う必要はありませんが、不要な低域はハイパスフィルターで予め切り捨ててしまいましょう。

バッキング(クランチ、ディストーション)

歪んだギターのトラックの特性を理解すれば、ミックスダウンで必要なトラック処理は見えてきます。歪めば歪むほど音量は安定し、帯域も狭くなります。波形を見れば分かるとおり、おおよそクランチと呼ばれる程度の歪みでも、ほとんど安定していると言えるでしょう。すなわち、よほどの理由がない限りは音量系を操作する必要はありません。
定番のミックスとして、左右に歪んだギターを配置する方法があります。編曲段階から、このような音像を意識して作られることも珍しくありません。左右に配置する場合は、ミックス中に時々左右を入れ替えて、音量や帯域のバランスを確認しましょう。

バッキング(クリーン系)

歪みがほとんどないクリーン系は音量が安定しません。また、奏法によって帯域も不安定になる場合もありますが、前述のとおり狭い帯域内でのことですから、音量の安定にはコンプレッサーだけで充分です。

クリーン系ギターのコンプレッサー参考値
レシオ:2.5:1 前後
アタック: 最速
リリース: 150ms 前後

上記設定で、コンプレッサーが効きっぱなしになる程度にすれば、ストロークからリフまで対応できます。コンプレッサー感が残らない程度でも充分に安定します。クリーンであるがゆえに倍音が少なく、EQはほとんど効きません。基本的にはレコーディングされた音で完成しています。

ギターソロ(歪みあり)

ロック系の楽曲ではボーカルに代わるほど重要なギターソロですが、やはり帯域の狭さから、それほど多くの手段がありません。歪んでいれば音量系の操作は不要です。歪みによりEQも効きますので、バッキングトラックより少々高域をブーストしたり、テンポディレイなどで主役感を出すのも効果的です。バッキングトラックも歪んでいる場合、ディレイの効果が現れにくいので、ディレイ音もかなりの音量が必要となります。

ギターソロ(クリーン系)

クリーン系のギターソロは、まずは音量を安定させ、楽曲に合わせてその後の処理を考えます。クリーンでソロが入る場合はバッキングもうるさくないことが多いので、少々のディレイでも効果が現れますし、バラードなどのスローテンポの楽曲であればリバーブなども使えます。

エレキギターのトラックは楽曲中に多数存在することもありますが、それぞれの音の個性を理解すれば何トラックのミックスでも対応できます。帯域が狭い分、ミックスダウンで出来ることは限られているのでセンスが問われます。

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