Shin Itagaki|板垣晋

工学部卒の美術作家。絵を描いたり、立体物を作ったりしています。制作物への多面的な理解の…

Shin Itagaki|板垣晋

工学部卒の美術作家。絵を描いたり、立体物を作ったりしています。制作物への多面的な理解のため、分野関係なく文章を描きます。流体や構造物が好きです。

最近の記事

片道1時間の雪山頂上まで。

毎週末になると山を登っていた時期がある。山形の庄内地方という、市街地ながら自然豊かな所に住んでいた頃の話。 登山道はたくさんの人が踏み固め獣道のように、麓の登山口から山頂まで続く。1年の大半は眩しい緑色が生い茂る森の中、乾いた茶色い地面を辿る。しかし冬になると雪が積もり、あたりは一面真っ白になる。冬季登山ともなると人も少なく、誰1人の足跡もついていない登山道を進んでいく。それが最高に気持ち良い。 雪はよく音を吸う。映画館の壁際に立った時のように、音が消える。聞こえるのは自

    • 文章が生まれてから書かれてきた文章を、本の冊数に置き換えるとどれくらいかの概算

      文章が生まれてから書かれてきた文章を、本の冊数に置き換えるとどれくらいか、大まかな計算。 まず文章とは何かを仮定。ここでは意味を持った単語の羅列と考え、商人の売買記録や、小学校などの生徒の板書も含めることにします。 紀元前6千年紀前あたりに文章のような文字の列が出来てきた(wikipedia)との事なので、そこから学校教育が始まったとされる古代ギリシャ、スパルタの紀元前7世紀ころまでの約6000年間と、それ以降から現在までの約2000年間で分け、それぞれの人口と文章を書く

      • コールドリーディング術を使いこなす弁当屋のおばちゃん

        ときどきお昼にお弁当を買いに行きます。ちょうど歩いて行ける距離に屋台村があって、よくある和食系から、中華、タイ料理などバラエティー豊かで楽しい所です。 そんな中の、ひとつの店舗のおばちゃんのお話。(上の写真は参考画像、たぶんどこかのアジアのおばちゃんです。) そもそもコールドリーディングとは? コールド・リーディング(Cold reading)とは話術の一つ。外観を観察したり何気ない会話を交わしたりするだけで相手のことを言い当て、相手に「わたしはあなたよりもあなたのことを

        • 「感覚」についての主観的な記述

          「感覚」とは一体何だろうか。 美術とかやってる人は感覚的だから、少しのヘマは笑って許されるところがあると感じる(ちゃっかりそのイメージに頼ることが多々ある)。この場合の「感覚」とは、直感・言語による思考がない状態を指す印象を持つ。つまり感覚とは理屈がないということだろうか。確かに楽しい、悲しいなどの感覚は具体的な画像が浮かぶというより、肉体的・内臓的な感覚を伴う。実体のないそれに内側から支配されるような状態になり、私たち人間を良くも悪くも振り回している。 この間、たまたま

        片道1時間の雪山頂上まで。

          海外アーティスト・イン・レジデンスの探し方、応募、費用について

          初めまして。美術作家の板垣と申します。 2019年7月の1ヶ月間、ハンガリーのザラエゲルセグという街でアーティスト・イン・レジデンスに参加してきました。 どんな事をやってきたかをまとめて頂いたので、よろしければこちらをご覧ください。 https://www.fuji-gs.jp/residence 「アーティスト・イン・レジデンス」とは、様々な分野の芸術制作を行う作家を一定期間ある土地に呼び、そこに滞在しながら作品の制作を行う事業全般を言います。 そしてこれは世界各地の団

          海外アーティスト・イン・レジデンスの探し方、応募、費用について