BtoBコンテンツマーケティングのQ&A

2019年6月4日、大阪で開催された「MarkeZine Day 2019 Summer Kansai」。特別講演「BtoBコンテンツマーケの疑問を解消!精鋭3社が明かす成果につながるテクニック」に、ベイジの枌谷さん、才流の栗原さんとともに登壇させてもらいました。セッションでは、会場からの質問を匿名で集められるサービス「sli.do」を通して、31もの質問が寄せられました。当日は時間の関係ですべてにはお答えできませんでしたので、この機会にすべてお答えしたいと思います。

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Q1:コンテンツ制作を社外に依頼する場合に気をつけること、グリップを握っておくべきポイントはありますか?

A1:レギュレーションと営業資料を外注先と共有しておくと、その後の手間が大幅に削減できます。レギュレーションは、自社のミッションやビジョン、顧客属性などをもとに細かく作成した方がよいでしょう。NG表現や漢字・ひらがなの使い方も記載しておくと丁寧です。

Q2:コンテンツマーケティング施策の結果を、すぐにビジネス(売上)に直結させるのは難しいと思うのですが、結果が出るまでの時間軸はどのように考えればいいのでしょうか? 社内への説明の仕方など、教えてほしいです。

A2:少なくとも1年間はどっしりと腰を据えて、良質なコンテンツを配信し続けるべきです。2~3カ月程度では認知の獲得には至りませんし、ましてやコンバージョンの獲得は困難です。オウンドメディアによっては数値の推移を公開しているところもありますので、社内提案の際に引用するのも一つの手だと感じます。

Q3:コンテンツマーケティングの重要性を社内認知させ、そこへの予算組みとコンテンツ作りに要する時間をもらう為のプロセスにアドバイスはありますか?

A3:いきなり大きな予算組みをしてしまうと風当たりが強くなります。まずは小さく始めるのがオススメです。重要性を認知させるためには、ROIを独自に計算してみたり、コンテンツマーケティングによってCV以外にも「資産(アセット)」を得られることを説明しましょう(社風によっては理解を得ることが難しいケースもありますが…)。

Q4:BtoBのコンテンツマーケティングとBtoCのコンテンツマーケティングの違いは何でしょうか?

A4:最大の違いは、ペルソナの人数です。BtoBの場合、担当者、決済権者、使用者の3人設定する必要があるケースも多くなります。また、コンテンツに到達した時点で、ニーズが顕在化している点も、BtoCとの違いでしょう。個人的には、BtoBの方がコンテンツマーケティングの成果が上がりやすいと感じています。

Q5:何より続けることが重要だと考えていますが、何らかの成果がないとやる方も周囲もつらいと思います。 皆が納得するKPIってなんでしょうか?

A5:KPIについてかつて同じ質問を海外カンファレンスでスピーカーの方にしたことがあるのですが、「君のペルソナ次第だよ」との回答でした。まさにその通り。ぐうの音も出ませんでした。ただしBtoBに関して言えば、資料ダウンロード数などのKPIを設定しやすいので、この辺りは数字として見えるかと思います。逆にPV数がKPIだと目標を見失ってしまうリスクもありますね。

Q6:これから運営体制を整えていきたいのですが、メンバーとしてはどのような人が適任なのでしょうか。

A6:コンテンツマーケターというかコアメンバーにはフットワークが軽いジェネラリスト(※スペシャリストではない)が必要だと感じます。コンテンツマーケティングは総合格闘技的な側面もあり、かつ外部との繋がりが重要な部分も大きいので。

Q7:良質なコンテンツを生み出し続ける為のコツはありますか?

A7:安易に外注に頼らないことだと感じます。制作プロダクションと組む場合も、内製と組み合わせたり、企画を主導したりといったコミットメントは必須です。また、原稿執筆の基礎が身についているライターを雇用してしまうことも、一つの手です。米国では大企業を中心に、ジャーナリズム業界から雇用することが一般化しつつあります。

Q8:ウェブ制作会社のデザイナーです。 多くの業種のクライアントさんがおり、各クライアントのサイト内でコンテンツマーケを考えたいのですが、 よく知らない業界の中でクライアントのターゲットが求めているコンテンツがわからないこともあります。 その場合、どういうコンテンツを作れば良いか、どのようにヒントを得ますか?

A8:まずヒアリングおよびキーワードツール活用によって、質的・量的データを集めます。これにより「ファクト」としてのターゲットのニーズを抽出することができます。もしヒアリングがどうしても難しい場合、Yahoo!知恵袋などの掲示板をのぞいてみましょう。多数のヒントが眠っていますよ。

Q9:コンテンツマーケティングで成功している企業を具体的に教えて下さい。

A9:以前、コンテンツマーケティングラボの三友直樹編集長に教えてもらったのですが、「半田」の材料の開発・製造を行う「Indium Corporation」の取り組みは、成功事例と言えるのではないでしょうか。エンジニアを中心とする社内のスタッフらがコンテンツを制作した上で、「顔出し」で記事を発信。オウンドメディア開設から数カ月後には、四半期当たりの問い合わせ数がなんと約600%増加したといいます。この事例については、商材が適度にニッチであること、コンテンツの品質が高かったこと(悩み解決に寄与した)、社内の理解が得られたことの3点が、成功の要因だと思います。

Q10:各社がコンテンツマーケティングに取り組み出している昨今、その中でも自社を選んで見てもらう為のコツはありますか? もしくは、コンテンツ作りをする上で、大切にしないといけない考え方はありますか?

A10:他社から一度目を離してみましょう。大事なのはあなたの顧客のはずです。同業者であっても他社と全く同じ顧客なはずはありません。真摯に顧客と向き合うことこそ、コンテンツマーケティングに最も必要なことだと感じます。

Q11:社内にリソースが足りず、質の高いコンテンツを出し続けるのは難しい状況です。 コンテンツマーケは継続的に取り組まなければ意味がないのでしょうか。

A11:「オウンドメディア」の中でやるのであれば、月あたりの投稿本数を減らしてでも無理なく継続させるべきです。難しいのであればコンテンツマーケティングを諦めましょう。ただし、商材自体の差別化ができており、 BtoBや単価の高い商材の場合は別です。質の高いコンテンツを制作する必要はありますが、サイト内で態度変容を促していくことは可能だと思います。

Q12:マーケティング部門と営業部門の壁。KPIなどを揃えても一体感が生まれず苦しんでいます。(足の引っ張り合いになってしまう)皆さんであればどのように解決されるでしょうか。

A12:結果を出すしかないと思います。数字がついてくれば社内の理解も高まるからです。おそらく、コンテンツマーケティングによって獲得したリードを営業部門に受け渡すことを想定されていると思いますので、中期的には協力体制を構築する必要がありますよね。数字を出した後はトップダウンでやるべきなのでしょう。こうした絵を描くことが難しい場合、コンテンツマーケティングは諦めた方がいいのかもしれません…。

Q13:コンテンツ経由での流入はある程度稼げるようになったのですが、売上になかなか繋がらず上司のコンテンツマーケティングへの評価が上がりません。 どのようにPDCAを回せば、売上に繋がっていくのでしょうか。

A13:カスタマージャーニーの設計が不十分な可能性があります。トラフィックが伸びても、CVが獲得できなければ意味がありませんよね。ダウンロードコンテンツなどをうまく活用した導線設計を心がけましょう。認知の獲得を目的としたコンテンツは十分そろっているかと思いますので、態度変容を促すようなコンテンツも今後必要となってくるはずです。

Q14:施策を実行する際に、成果の創出は必須の企業が多いかと思いますが、コンテンツの成果(KPI)はどのように測定すれば良いでしょうか?

A14:BtoBに関して言えば、PVやUUなどはKPIに設定する必要はないかと思います。むしろコンテンツ企画においてミスリードに繋がりかねません。特定のページへの遷数、ダウンロードコンテンツのダウンロード数、特定キーワードの検索順位数など、CVに近づいていける項目にすべきです。

Q15:BtoB企業向けに、営業活動のデジタル支援をご提案しています。コンテンツマーケは着手しやすく提案もしやすいのですが、本格的に行うとなると、SFAやMAとの連携が必要となり、スピードアップが難しいと感じています。デジマが充実していない顧客企業へのサービス展開について、アドバイスがあればお願いします。

A15:規模の小さな企業にとっては、月額10万円のMAツールでも負担は大きいもの。確かに、コンテンツマーケティングによって膨大なリードが獲得でき、その後セールスチームに受け渡す必要がある場合は、MAやSFAがあると便利です。しかしながら、そうでない場合は、まずMAやSFAに頼らずにやってみるもの一つの手です。キーワードツールなどのミニツールはさすがに外せませんが、それでも適切な設計をすれば結果に繋げることは可能だと思います。

Q16:現場と決裁権を持つ層とのギャップ。 現場ではいくら理解されてることでも、決裁権を持つ層に理解されないが故に予算が下りないことも。ここは説得を努力するしかないのでしょうか?

A16:すぐに結果が出るものでもありませんし、「マーケティング=刈り取り型の施策」だと思っている方々には、理解してもらうのは難しいかもしれませんね。経験則ですが、組織の上層部がコンテンツマーケティングについてある程度理解を示していない場合、そもそも取り組みを始めること自体が難しいと思います。たとえ頑張って説得して渋々納得してもらったとしても、平和な環境で取り組むことができず、その空気は読者にも伝わってしまうでしょう。「空気感」は思いのほか重要なのです。

Q17:コンテンツマーケティングに取り組む前に注意するべきことはなんですか?

A17:そもそも商材が適しているか。運用体制は整っているか。

Q18:コンテンツを周知するためのSNSの活用は、btobでは難しいでしょうか?

A18:この記事によると、米国では、SNSを通したB2Bコンテンツマーケティングがここ一年で61%増加したそうです。記事では意思決定者にSNSでリーチすべきと主張していますが、直接リーチできるチャネルという意味ではSNSは貴重です。例えばFacebookであっても、ペルソナによってはまだまだ有用です。

Q19:関西ではイラチ(せっかち)なマネジメント層が多く、「コンテンツマーケティングに取り組め」という割に短期の成功を求める傾向にあります。 B2Bでまず手をつけるべきコンテンツマーケティングの題材があれば、教えてください。そもそもマネジメントのイラチな性格を変えることから、という話かと思いますが、そこをなんとか。

A19:おっしゃるように、短期の成功が難しいのがコンテンツマーケティング。CVを獲得するまでは「戦略に基づいて企画すればコンテンツ一つ一つがストックとなる」ことを理解してもらうほかにありません。それでもどうしても取り組みたいというのであれば、オウンドメディアを立ち上げるのではなく、まずはサイト内にコンテンツを配していくやり方はいかがでしょうか。

製品紹介に事例紹介、ダウンロードコンテンツ。こうしたコンテンツを、可能な範囲でカスタマージャーニーマップを描いてマッピングし、計測してみる。成果が上がってきたらコンテンツにより予算をかけたり、場合によってはオウンドメディアを立ち上げるなどの展開が考えられるかと思います。ちなみに、私は「コンテンツマーケティング=オウンドメディア」とは考えておらず、負担の大きいオウンドメディアは条件が整った場合のみ立ち上げるべきだとの立場です。

Q20:あえてコンテンツマーケティングが廃れるとしたら、どんな未来がやってきたときと考えますか?

A20:「コンテンツマーケティング」という単語は廃れるかもしれませんが、概念自体が廃れること当面ないと思います。そもそもコンテンツマーケティングで語られるペルソナやカスタマージャーニーマップは、一般的なマーケティングのフレームですし、コンテンツの発生しないマーケティングは存在しません。人々の認識が「コンテンツマーケティング=マーケティング」となった時、「コンテンツマーケティング」という単語自体は使われなくなるのでしょう。

Q21:KPIの最適な設定はどんなことがベストでしょうか?

A21:ファクトに基づいたペルソナ設定とカスタマージャーニーマップの作成を行い、CVに近づける、かつ説得力のあるものとすべきです。具体的な項目はペルソナ次第だと思います。

Q22:BtoBマーケティングにおいてSNS活用のメリットはありますか?

A22:意思決定者にもリーチできる。コミュニティー構築に寄与する。

Q23:いま最も注目しているコンテンツは何ですか?

A23:個人的にはインフォグラフィックコンテンツインタラクティブコンテンツを活用したストーリーテリングに注目しています。いわゆる「ビジュアルストーリーテリング」です。日本に浸透するのはまだ先でしょうが。

Q24:BtoB企業のコンテンツマーケティングのコンテンツは、正直どれも同じように見えてしまいます。SEOなど意識すべき共通点はあると思いますが、独自性を出すにはどうすればいいのでしょうか?

A24:まず、他社と比較する必要はないと思います。顧客と真摯に向きあい、不安や悩みを解決するコンテンツとは何かを突き詰めれば、結果、オリジナリティーのあるコンテンツが生まれるはずです。コンテンツ企画やコンテンツ制作のテクニックについては、ジャーナリズム業界に学ぶことができます。

Q25:企業毎の事業規模や予算などに応じて打てる施策や導入するツールなどを取捨選択する必要があると思います。 この様な場面において、どの様な判断基準を元に選択していけば良いかなどはありますでしょうか。 特に予算が少ない中小企業レベルでの意見があれば頂きたいです。

A25:人的リソースと予算には限界があります。したがって、ツールについては身の丈に合った選択をすべきです。

例えば、米国では「Marketing Stack」という考え方があります。ブロックを積み上げるように、戦略に基づいて必要なツールを選んでいくというもので、私はよく「遊戯王」などのカードゲームにおけるデッキ構築に例えます。少し横道にそれますが、現状把握については、XMind(マインドマップ作成ツール)で使用ツールとその目的、月額利用料などをまとめておくといいでしょう。そうすることで大局的にツールの利用状況が理解できます。

新規のツールや施策を検討する場合は、カスタマージャーニーマップにマッピングしてみるといいでしょう。「認知」「情報収集」「比較検討」「コンバージョン」のそれぞれのフェーズで、足りていない部分があれば、それを施策やリソースでカバーできないかを検討します。日本企業でよくありがちなのですが、予算ありき、ツール導入ありきのツール選定です。課題があって初めてソリューションとしてのツールが活躍することを、どうぞお忘れなく。

Q26:リブランディングとしてのコンテンツマーケティングを行ってます。 普段よく感じるのが、決済者(おじさん)の感性とターゲット層(特に若い女性)の感性はまるで違うのに、前者の視点での意見になってしまいがちです。 それを徐々に改善していった事例はありますか?

A26:「ファクト」を集める作業がおろそかになり、決裁権者の「なんとなくこうだろう」という意見が通ってしまうのが日本企業。質的・量的データを収集し、それにもとづいて設計していけば、こうしたことにはならないと思います。もし、ファクトがそろっているのに決裁権者が異を唱えたのであれば、そのコンテンツマーケティングは確実に失敗するでしょう。

Q27:コンテンツマーケティングはオウンドメディア(ブログ)やSNSのイメージがありますが、その根っこにある考え方は何でしょうか?

A27:オウンドメディアはあくまで媒体というかコンテンツの置き場所の一つ。「オウンドメディア=コンテンツマーケティング」ではありません。適切な情報を、適切な人に、適切なタイミングで届ける。これがコンテンツマーケティングの基本的な考え方です。

Q28:コンテンツのネタについて、ターゲットを捉える手法としてはやはりインタビューになるのでしょうか。そのほかリソースが限定される場合に有効な手法があれば教えてください。

A28:ペルソナ設定においてヒアリングはもちろん欠かせません。同時に、キーワードツールを活用したり、Yahoo!知恵袋などの掲示板を確認することもお忘れなく。顕在化したニーズ(不安や悩み)を把握することができ、結果、ペルソナ設定の精度が高まります。

Q29:SEOコンテンツの限界というのを詳しく聞かせて欲しいです!

A29:コストを極限まで下げ、機械的に作られた質の低いSEOコンテンツは、もう意味がないと思います。顧客の不安や悩みを解決するようなコンテンツをそろえていけば、結果、検索順位が上がると経験則から感じています。

Q30:コンテンツ外注していました。 今後、内製化するにあたって最初におさえておいた方がいいポイントなどはありますか?

A30:必ずしも外注が悪というわけではなく、リソースが足りないのであれば、ハンドリングしつつ「パートナー」として外注先と共同作業していくのはアリだと思います。ご質問にある内製化するにあたってのポイントですが、コンテンツの品質確保は必須です。商材を愛してくれている、もしくは会社のミッション・ビジョンに共感してくれているライターを雇ってしまうのが早いと思います。

Q31:コンテンツマーケティングに経営者はどこまでコミットすべきか。

A31:手を動かしてもらう必要は必ずしもありませんが、精神的なコミットメントは必須です。社内外から横槍が入った時に守れるのは経営者だけですから。

【追記】
毎週水曜発行のクマベイスメルマガ内に、Q&Aコーナーを設けております。そちらでもコンテンツマーケティング関連の質問に答えてますので、ご興味のあられる方は登録の方よろしくお願いいたします。

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