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伊豆天城山でハイキング-25

《2024年明けましておめでとうございます》

昨年もたくさんの記事を読ませていただき、笑って学んで考えて、そして多くの皆様に私の記事を読んでいただき、充実した年となりました。
今年はずっとやりたかった新しいことにチャレンジしようと思います。
旅行記もどんどん更新していきたいと思いますので、宜しくお願い致します。



13時半、短い昼食を終えて歩き始めるとららから一言。

「残りの所要時間、90分じゃなくて120分だったよ」

「えっ?」

地図に掲載されていたポイントごとの所要時間をちゃんと足して算出したつもりだったけど、もう一度確認してみよう。

45分、55分、20分・・・・・・合計は?

ゲッ?

120分。

一体、何を、どう、間違えたのか?

ちょっとは時間に余裕があると思ったけど、実際は全然ないじゃんっ!

「計算、間違えちゃったね。ならもっと早く歩かないと」

そうとわかれば平坦で歩きやすいこの道はスタスタ進むに限る。


「きゅうけーい」

後ろからささの声が聞こえてきた。

「どうして止まるの?」

「水飲みたい」

「ここは平坦な道だから歩きながら飲んで」

ちょっと鬼発言だけどもしここで止まったら、水を飲むだけではなく一息ついて「はぁ」って時間も設けられてしまう。
それにこんなこと思いたくもないし口には決して出せないけど、ささの歩くスピードが原因で時間を多くロスしているんだよ。
だから疲れることのない平たんな道で休憩なんて今は考えられません。

時間がないのは彼女も承知だ。
振り返るとそそくさとお水を飲んでいた。

ご協力、ありがとうございます。


道は下りへと変わり、木でできた梯子が出てくるようになった。それは直角に設置されていて、段差は広く、段踏み板は斜めに傾いている。

怖いっ。

ここは急いで渡る場所じゃない。こういう場所で時間が費やせるように今まで速足で歩いてきたんだ。安全に下ろうじゃないか。

手に握られていたスティックを一旦閉まって、足場を確認しながらゆっくり下って行く。

「梯子が急だからスティックは閉じた方がいいよ」

万三郎岳山頂へと向かう岩場では一人先に進んでたぁに注意されたこともあり、今では皆との距離を気にしながら歩いているから最後列のささにも声が届き、皆、スティックを片付けた。

空いた手で梯子をしっかりと握り、不安定な踏み台に足を置いて着実に下ると繰り返せば、地面に足が触れる。


安全に階段を下りた先は岩場だった。小さな岩が重なるところは滑りやすく、大きな岩場では足場に困る。こけやすい私は危険な個所では最初からお尻をついてズリズリ進む。

「のん、ささたちを先に行かせて」

たぁ隊長からの指示があり、ささ家族を先に行かせる。

私の後ろに少し間隔を空けてたぁが歩き、その間に誰もいない。

本来、私とたぁのあるべきハイキングスタイルになったことで、やっとたぁも落ち着いて歩けるようになった。


岩場の後は平坦な土道も出てくるけど、再び梯子が出てきたり、岩場に戻ったり、道が細かったりと険しい状況が続いていることに変わりはない。それでも時間は刻々となくなって行く。

残り90分だと思ったら、120分だった。その上、私たちは所要時間よりも多くの時間をかけながら山頂に辿り着いたから、120分でゴールへと辿り着くことはないだろう。

そう思うと今はまだ明るいけど、うかうかのんびりなんて歩いていられない。だって万三郎岳はコースの半分より手前に位置していたんだから。

明るいうちに山を下りたい一心で、足を止めることなど考えられず、ただただ前進していると一度は姿を消した紅葉が再び、私たちを囲み始めた。

ホッとする。

ここまで来ると道は土道へと変わった。たまに岩がゴロついていたり、険しい場所もあるけど「どうやって進めばいいんだ?」と頭を悩ますことはなくなった。


冬も近いせいか、森のアイドル、キノコの姿は少ない。それでも寒さに強そうなサルノコシカケタイプは木にびっしりと育っている。

この先は目立ったポイントなどはなく、ただ山間を進んで行くだけ。たまに話をしながらも、足は止まることなく忙しくなく動ている。



主な登場人物:
私-のん、夫-たぁ、
姉-ささ、姉の夫-れん
姪っ子-らら、甥っ子-ぼう



これまでのお話



【無空真実よりお知らせ】

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

12月25日にAmazon Kindleより二冊の電子書籍を出版いたしました。

長年にわたり心の深い場所に重たいしこりがあり、一時は「もう真から笑うことはできないんじゃないか」と思ったほど。
だけど日々の生活や旅行を通じ、一筋の光が現れてちょっとずつ自分を取り戻し続け、今回の旅は私に人生の節目を与えてくれた。

神話の土地から届くエネルギーを通して、私は一体、何を体験できて、何を知れるんだろう。

準備は整った、さぁ旅にでよう。

人生を模索しながら生きている二人の旅をどうぞお楽しみください。


来週は渡航の為、更新をお休みします。




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