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伊豆天城山でハイキング-02

これまでのお話

雨のせいでシルバーウイークに行き損ねてしまった日光白根山。11月へと変更になったハイキング旅ではそこに行けばいいと思ったけど姉の意見は違った。

「ららがバーベキューしたいって言っているんだよね」

おいおいおいおい、ちょっと待って。

「バーベキューってハイキング終わってからするんでしょ」

「そう」

「11月って日が暮れたらもう寒いよ。そんな中、バーベキューしたくないよ」

「そうそうそう」

れんが私の意見に強く同意する声が電話口から聞こえてきた。姉はスマホで話す時、スピーカーを利用するため周りにいる人の耳に私たちの会話は届く。

「そうだよね。ちょっと考えてみる」


数日後、連絡が来た。

「天城山か宝登山はどうかな」

おー、白根山とは全然違う場所が選ばれた。

「どうしてここを選んだの」

「バーベキューが出来る場所をと思って」

ふぅ、この前の会話覚えてる?

あなたが子供思いの優しい母親だって知っているよ。だけど私の意見はどうなった?

とりあえずバーベキューのことは置いておいてハイキングという目線で考えてみよう。

埼玉県秩父郡長瀞町に位置する宝登山には以前訪れたことがある。緑豊かな長瀞アルプスを経由して歩いても3時間半ほどで終わってしまうから、二泊三日かけて行くような場所ではない。


次に天城山について調べてみると様々なコースがあり、所要時間も5時間以上の長いコースが多く初心者向けのコースもあるようだ。

「宝登山は日帰り向きの山だから行くなら天城山がいいな。だけど標高差が結構あって、ロープウェイはないし、道も険しそうだけど大丈夫?」

「大丈夫でしょ」

最近、登山に目覚めた姉の返答は軽い。まぁ、本人が大丈夫と言うなら大丈夫なんでしょ。

「なら天城山にするか」

「うん」

「前も言ったけど暗くて寒い中、バーベキューしたくないよ。とりあえずやりたいからって予定に組んでおいて『やっぱり寒かったね』は嫌だよ」

「そうだよね」

「そうそうそうそう」

今日もれんの声が私に賛成を示してくれている。

「わかった。ららにそう伝えておく」

今回こそ本当になしでいいんだね、なしで。


山が決定した後は宿探しだ。車を持たない私たちはいつも公共交通機関を気にしながら選ぶけど、今回は「何処に行くにも車」な姉家族と一緒なのでその点は心配無用。
とりあえず姉ばかりに任しておくのも申し訳ないと宿を探してみると、伊豆高原周辺の宿はバーベキューに適したペット可な施設ばかりが目がつく。

バーベキューありきで探された場所でバーベキューをやらずにハイキングだけ楽しむのって、もしかしたら本末転倒?

「周辺の宿泊施設ってバーベキューが出来るところが多いんだね。私たちの希望でバーベキューはなしってことになったけど、ららの希望でバーベキューが出来る場所探したのにバーベキューしないとなると元も子もないんじゃないの。今回は家族だけで行ってきたら」

「天城山はテレビで紹介されていていいと思って選んだの。バーベキューのために選んだ場所じゃないから。それにららがやりたいのバーベキューだと思っていたけど本当は焚き火だった」

あぁ。確かに最近はキャンプが流行っていて焚き火を見ながら団らんがメディアで取り上げられることが多いよね。

「ららはやりたいことを挙げるけど自分で予定組まないし、場所も探さないし、費用も含めて全部親任せは社会人としてどうなのよ。友達もたくさんいるんだから、焚火したいなら友達と行って楽しんできないよ」

スピーカーからららの声が聞こえてくるから、彼女は傍にいるはずだ。友達ととなれば彼女だって自分で行動するはずだし、経験を積ませるためにもちょっと突き放してみることは大事だろう。年の離れた大人になんでもやってもらうよりかは同世代同士、力を合わせてやり遂げた方がいい思い出になるはずだよ。

「じゃぁ、バーベキューとか考えないで宿を探すよ」

「うん」


10月11日からGOTOから全国旅行支援に名称が変わったあの夢のようなサービスが再開する。私たちが住む東京は他の都道府県よりも遅れて再開するらしい。

サービスを受けるには再開してから申し込んだ方がいいのかな。

じゃらんで確認してみると再開前に申し込んだ予約も再開後に支援サービスを受けられるように変更が可能だと言う。

なんて、嬉しいことなんでしょうっ💛

だけど避暑地である伊豆周辺は別荘地のせいか宿泊費が高くて一泊一人数万当たり前。支援を受けられたとしても・・・・・・

目的はハイキングで夕方以降から朝までしか過ごさない宿にそんな高い値段、払ってられるかっ!

はぁ、どこかにいい場所ないかな。

その後も姉と連絡を取り続け、大まかな旅程が決まった。
初日は宿へと向かい、翌日に天城山ハイキングを楽しみ、最終日に姉家族お勧めの河津七滝(かわづななだる)に行く予定。彼女の希望はハイキングコースから近い宿で二泊したいとのこと。ならば最初にハイキングコースを決めないと。
いろいろあるコースの中、初心者向きのコースを調べてみると天城高原駐車場を発着地とするシャクナゲコースが良さそうだ。一般的な所要時間として4時間半とあるけど別のサイトだと6時間とも書かれていた。

「私もこのコースがいいと思っていたんだよね」

姉も同意見となれば、天城高原駐車場に行きやすい宿を探すだけだね。

いろいろと候補を上げていくと二人部屋があっても三人一部屋が不可な宿もあったようで、駐車場から車で20分ほどのノースインが選ばれた。

値段もお手頃で温泉もあって、さらにシェフが伊豆と北海道の食材を使った食事が自慢らしい。

二人の意見はまとまったものの、後にささ家族会議にかけられ「全国旅行支援のクーポンを多くもらうために二つの宿を利用したい」ということになったらしい。

そこで二日目は伊豆高原近くの別の宿が選ばれた。

いつもは二人で旅する私たち。たぁはほとんど意見を出さないから私一人で調べまくって最終確認だけ取れば旅程は決まる。だけどプラス3人足されると知識もアイディアも考え方も多様化するからそう簡単にはいかないものだね。

人をまとめるって大変。

たかが二家族計6人ですらこんなに揉めるんだから、一億二千万人以上をまとめる国の政府って大変だろうなぁ。


お話の登場人物:
私-のん、夫-たぁ、
姉-ささ、姉の夫-れん
姪っ子-らら、甥っ子-ぼう


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無空真実の旅行記をご覧いただき、ありがとうございます。
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先週はウィルス性風邪をもらってしまい、更新できずにおりました。コロナやインフル、風邪などいろいろと流行しておりますので皆さまもどうぞお体にご留意ください。


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