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自分の直感を信じる。家系ラーメン店で修行をした店主がつくる麻婆麺のお店―――「からひげ」上平さん

南口から新作方面へ歩くこと3分。ロゴがこちらのお店が、麻婆麺のお店「からひげ」さんです。今回は店主の上平さんに、麻婆麺やお店づくりのこだわり、武蔵新城についてお伺いしました。

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上平博文さん
高校卒業後、食品会社に就職。18歳のときに食べた家系ラーメンに衝撃を受け、ラーメン屋を志す。21歳で食品会社をやめ、「修行までにやりたい仕事をやろう」と車やジーンズのお店などを転々とした後、25歳で家系ラーメン店で修行を始める。そこから13年後(2007年)のときに元住吉にてっぺん家、2019年に「からひげ」をオープン。

自分のオリジナルのものを残したい。“ビビっ” ときた麻辣醤との出会い

―――コピーに「ピリッ、とろっ、麻婆。」を書いてありますが、まさにそのとおりで、他ではあまり食べたことのない味でした。

上平さん「うちで使っている麻辣醤は、他とちょっと違うんです。四川花椒を中心に10数種類の香辛料を絶妙に調合することで、激辛ではなくピリッとした痺れと辛味と旨味を生み出しているんですよね。

―――他にはあまりない麻辣醤と出会えたのがすごいですね。

「てっぺん家で働いているときに知り合いが持ってきてくれたものをアレンジしました。なので、本当に偶然ですね。

そのときにちょうど『自分のオリジナルのメニューを残したい』って思っていたんです。てっぺん家で出している『家系ラーメン』はとても繊細なので同じ味をつくるのが難しい。だから、何かを残すために、他の人がつくってもあまりぶれない味を出せるものをつくりたい、と。そのあと色々食べたりしたけど、この麻辣醤と同じ味はなくて、この麻辣醤を使って麻婆麺のお店をやりたいなと思いました。」

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―――偶然!

「本当にね。食べた瞬間に『うわ、これだ!』ってビビッときたんですよ。『なんとなくこういうことやりたいな』って考えたり行動したりしてると、福を引き寄せる、そういうのがあるなと思いますね。

―――他に使われている材料はどのようなこだわりがあるのでしょうか。

「豆腐は越路屋さんの豆腐を使っています。保存料が入ってなかったり、大豆も国産を使ったり、昔ながらの作り方とかそういうこだわりとこの豆腐の味が好きで。麺はてっぺん家でも使っている自家製麺。中太麺ですね。家系はひとつの粉だけでつくられているんですけど、ここのはそれに色々ブレンドされています。」

スタッフの方の声を取り入れ、現在のラインナップに

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名物の麻婆豆腐・茄子麺に加えて、ハーフセットやお子様用、サイドメニューも

―――メニューが幅広いなという印象を受けたのですが、最初からこのメニューのラインナップだったんですか?

「いや、実は最初、麺だけやろうと思ってたんだけど、てっぺん家の店長に丼もやったほうがいいよって言われて、オープンしたら、最初は丼がめちゃくちゃ多かったんですよ(笑)麻婆麺っていうのがあんまり知られてなかったんじゃないですかね。今は7〜8割のお客様が麺を頼みます。ちなみに、茄子麺は他にはあまりないそうです。

あとは、家族でも来やすいように、色々メニューを増やしました。女性スタッフに言われてハーフのセットをつくり、もともと辛さもひとつしかなかったんだけど、辛くてむせちゃう方もいたので、辛さを選べるようにしたり。

豆乳のメニューは、野菜で取ったスープと豆腐屋さんで注文した豆乳をブレンドしてつくました。まぜそばは、前に働いていたスタッフの方がまかないでつくっていたのが美味しかったので、それをみんなでああしよう、こうしようと考えてメニューにしたりとか。」

―――店舗スタッフの方の意見が反映されているんですね。

「『お客さんがまた来たいと思うようなお店にしよう』というのはよく言いますし、あとはやっぱり楽しくやってくれと。とにかく仕事は楽しくやろうというのが僕の口癖なんです。それで色々アイデアを出してくれるんじゃないかなと。

―――ちなみに、超細かいんですけど、麺にもごはんをつけてるのは、やっぱり両方食べたいっていう人が多かったんですか?

「全部僕がほしいからです(笑)自分だったら、麺だけじゃなくて絶対ごはんほしいよなって。」

―――なるほど(笑)他にメニューや味のこだわりなどがあれば教えてください。

うーん、そうだな、シンプルに自分がうまい思うものをお客さんに食べてもらうこと、かな。俺は自分を信じてるから、俺がうまいと思うものだったら、みんなもうまいと思う、と信じています。それで、お客さんが喜んでくれれば俺もうれしい、それだけですね。」

店内やホームページ、ロゴに込められたこだわり

―――ホームページ、ロゴや店内も丁寧につくられているなと思っていました。

「ホームページって、お客さんにとってお店の最初の入り口じゃないですか。行ったことがないお店を初めて知るところなので、ちゃんとしたものをつくっておけば、イメージしやすく行ってみたいなと思ってもらえるじゃないかなって。てっぺん家をオープンした当時はホームページの制作代がけっこう高かったんですけど、大事だと思っているのでケチらずにやろうと。」

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―――てっぺん家さんのほうは、アンケートを全部ホームページ上に載せてていますよね。

アンケートを書いてくれたら、そこに書いてもらった住所に餃子無料券を送るんですよ。今はハガキにしているけど、昔はひとつひとつ封筒に手紙と餃子券を入れて出していました。あとは、年に1~2回ハガキで暑中見舞いとお年玉として餃子券をつけたハガキを、毎年1,500枚くらい送ってますね。今年はまだ未定ですが。

ただ、アンケートは昔はけっこうマメにそれは載せてたんですけど、今は少し止めていて、キリがないんですよ、すごい量で(笑)」

―――そうですよね(笑)。大変。

でも、やっぱり、お客さんとのつながりや信頼は大切だと思っていて。うちを好きで通ってくれるお客さんがいるということは、自分がつくってるものが評価されてるっていうことだから、それだけでうれしいし、知り合いの人を連れてきてくれるのもうれしいですね。

おかげさまで、常連の方は毎日誰かしら来ます。うちの従業員みたいな人もいて、一緒にまかない食べたりとかしてます(笑)最近は、初めての人とかも多くなってきたかな。」

―――あと、唐辛子のロゴ、可愛いですよね。

「ロゴはね、辛いものをつくるヒゲのおじさんのイメージ。つまり自分ですね(笑)あの『からひげ』っていう四角は、豆腐なんですよ。で、あのヒゲは茄子になってるの、豆腐と茄子で、唐辛子。あと、これいいでしょ?唐辛子型のライト。光るんですよ。」

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――――私もいいなぁと思って、さっき写真撮ってました(笑)このお店の壁は塗られたんですか?

「いや、最初からあったの。このイタリアンピンクみたいなのが大好きなんですよ。薄くもなく、濃くもなく。実は俺のかばんもこの色なんだよね(かばんを取り出す)」

個人店がこんなに頑張っているまちってなかなかない

―――新城のここの物件はどのように見つけられたんですか?

「最初は東横線沿線でずっと探してたんだけど、なかなか見つからなくて、ここの物件がちょうど居抜きであって。僕、駅の人口とかも何も調べなかったんですよ(笑)パッと見て、金額、家賃見ていくら、徒歩何分、で中を見て、このへん一周ぐるっと回って。僕は別に霊感とか持ってないですけど、なんかこう、あるんですよね、自分にポーンって『あっ、ここだったらいけそうだな』っていう、自分なりの変な自信。

―――麻辣醤と同じで本当に直感だったんですね。

「そうそう。新城にはその前にちょっと来たことあったけど、全然土地勘はなくて、個人店が多いっていうのを少し聞いてたくらい。ここやりながら、いいまちだなって思うようになりましたね。個人店が続いていて、みんなが頑張ってるっていうのもすごいなと感動したし、こんなに個人店が多いまちってそんなにない。本当に好きですね。

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「あとは、昔から住んでる人が多くて、結びつきも深いですよね。今は日吉に住んでるけど、住んでみたいなって思いますね。でも、住んだら飲みに行きすぎちゃって、身体を壊すかもしれない(笑)」

編集後記

この取材の2週間前に初めてお店にお邪魔をしました。実は、私、あんまり辛いものが得意じゃなく、ビビりながら一口・・・「これは!おいしい!!!」とさくさくといただきました(笑)辛さは控えめにしました。辛いものを食べるとそのあと数時間口の中に残ったりするものの、からひげさんの麻婆麺は食べ終わった後にも残らなくて、びっくり。なので、辛さが苦手な方もぜひ控えめからチャレンジしてみてください!

インタビューをお伺いして、上平さんが一貫して言っていたのが「自分の直感と好きを信じること」。いまのお店ふたつのスタートとなる、家系ラーメンも麻辣醤も『もうこれだと思ったんだよね!』とお話しされていたのが印象的でした。

ぜひ上平さんが衝撃を受けた麻辣醤でつくられた麻婆麺を食べにからひげへ!オンラインショップでも購入できますので、気になる方はぜひ見てみてください。

からひげ
アクセス:武蔵新城駅南口から徒歩3分
住所:神奈川県川崎市高津区新作6丁目9−41
営業時間や期間限定メニューなどはTwitterより
ホームページ:http://karahige.com/


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