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事業内容とビジネスモデル

当社は山形県と福島県の2拠点で林業用クレーン付原木運搬車の専業メーカーとして事業を展開しております。
今回は、当社が社員数30名程度の東北の中小企業でありながら、唯一無二の存在として全国のお客さまと商売が出来ている秘訣の一つである事業内容とビジネスモデルについてご紹介します。


事業内容

当社の事業は冒頭に述べた通り、林業用クレーン付原木運搬車を専門に製作しているトラックメーカーです。都会ではあまり見かけることはないかもしれませんが、このような丸太の積み降ろしのためのクレーン(グラップルクレーンとかローダークレーンと呼びます)が搭載され、丸太を支えるためのポール(スタンション)を取り付けたトラック及びトレーラーを製作しています。

新庄自動車製のフルトレーラー

トラック製作における役割分担

あまりトラックについて詳しくない方は「あれ、トラックっていすゞ自動車とか日野自動車とかいわゆる大手企業が作っているのではないの?」と思われる方も多いと思います。ここでまずトラック業界の構造というか役割分担を説明しておきます。

トラックは主に、車体部分(シャシー)荷台部分(ボディ)とに分かれます。シャシーは運転席部分(キャビン)と骨組み、エンジンやミッション、車軸やタイヤなどを含み、キャブ付きシャシーとも呼ばれます。ボディは荷物を積む部分のことでベースとなるシャシーの上に乗るので上物とか架装物などと呼ばれます。

トラックの構造
当社に入庫したばかりのキャブ付きシャシー

キャブ付きシャシーは大手のトラックメーカーが作り、ボディ(※なぜか業界では昔ながらの「ボデー」と表記することが多いので以下「ボデー」とします)は当社のようなボデー製作会社が製作しており、ボデー製作会社は架装メーカーとかボディービルダーとか呼ばれたりします。

トラックは働くクルマ

トラックは乗用車と異なり、モノを運ぶための働くクルマです。そのため、何をどのように運ぶのか、によってボデーが大きく変わってきます。通販などで購入した物品を玄関先まで運ぶトラックもあれば、コンビニの弁当を運ぶトラック、冷凍食品を運ぶ冷凍トラックや、クルマを運ぶトラックもあります。

それぞれの用途に応じた荷台部分が必要になってくるので、いわゆる大手のシャシメーカーは、そのすべてに対応することはできないためエンジンやミッションなどトラックのクルマとしての基本性能に関する開発・製作に注力しており、各ボデー製作会社がそれぞれ得意な架装分野に特化したりしているわけです。シャシーだけでは走ることはできても荷物を積むことはできませんので、ボデーが搭載されて初めてトラックは仕事ができるようになるのです。

原木運搬車に特化した新庄自動車

そのなかで、当社は丸太を運ぶトラック、それも丸太を積卸するためのクレーンを搭載したクレーン付原木運搬車を専門に製作しています。特化しているからこそ、様々なノウハウ、開発品や特許なども生まれ、技術面でも高い評価を頂けるようになりました。

丸太が積まれた土場にて荷積みする様子

通常、このような林業用のクレーン付トラックをユーザーが購入したいと思ったときどうすれば良いか。まずは大手のトラックメーカーの販売店(ディーラー)に行き「トラック買いたい」と伝え、ボデー屋に行っては「丸太を運ぶからこんなボデーにして」と伝え、丸太の積卸するので今後はクレーン屋に行って「クレーンを載せて」とそれぞれのプレーヤーと相談しなければなりません。ここに当社のビジネスモデルの優位性が生まれます。

トラック×ボデー×クレーンのワンストップサービス

当社の現社長である佐藤啓(さとう ひらく)は、元々、丸太を運ぶ側の運送会社を営んでいました。佐藤啓と新庄自動車との歴史については別途記事を書きたいと思いますが、元々丸太を運んでいた側の人間である現社長がたどり着いた哲学が「シャシとボデーとクレーンは一体でなければならない」という考え方です。

原木運搬車というのは、その他のトラックに比べ段違いに過酷な環境で酷使されるトラックです。丸太自体がそもそも相当の重量物である上、山林に入り、きれいに舗装された道路とは言えない場所でクレーンを使って丸太を積み、丸太を積んだ状態での走行中の安定性を備え、振動などにも耐えうる強度を保った造りにしなければなりません。

それが、シャシメーカーは丸太運びのことを詳しく知らない、ボデー屋はクレーンのことを知らない、クレーン屋はクレーンのことしか考えていない、ではそれぞれが組み合わさって完成した1台のトラックが使いづらく、十分に能力を発揮できないどころか、過酷な環境で使われるためすぐに故障してしまいます。

そのため、当社では完成された状態で最も最適なトラックとなるように、ディーラーからシャシーを自ら調達し、ボデーはスウェーデン製の特殊鉄板を材料の状態からすべて内製で製作し、クレーンも自らヨーロッパから買付けして総輸入販売元として自社で架装を行っています。これにより、品質面で圧倒的な優位性を持ったトラックを納めることができ、お客さまにとっては「新庄自動車に相談すればすべて解決する」という全国でもユニークなワンストップサービスを構築したのです。

お客さまは新庄自動車に相談するだけで原木運搬車を購入できる

ワンストップサービスが生み出す「働きがい」

このようなワンストップサービスが評価され、いまや北は北海道から南は鹿児島まで、全国にお客さまを有する原木運搬車ではオンリーワンでありナンバーワン(※当社推測)となりましたが、それらの裏では多様な職人の集団が事業を支えています。

我々はこのワンストップビジネスモデルを構築する中で「クルマ屋でもあり、鉄工所でもあり、重機屋でもある」という3つの顔を持った会社になりました。これにより普通のクルマ屋が多様な職人集団に生まれ変わったのです。

クルマ屋なので、自動車整備士もいますし、塗装屋も電気屋もいます。ボデーを製作するので溶接職人もいれば旋盤加工機やフライス盤、レーザー加工機やプレス機など金属加工も自社で出来ます。クレーンを扱うため油圧ポンプや油圧配管、油圧シリンダーなど油圧機器を扱うことが可能です。

当社で働くメンバーは、溶接のプロを目指すことも出来れば、溶接も塗装も油圧修理もできるマルチプレイヤーを目指すこともできます。そのため、仕事の幅・選択肢が広がり、それぞれのやりがいに応じた機会を提供できています。


このようにワンストップのビジネスモデルからなる競争優位性や働きがいは、お客さまにとっても中で働くメンバーにとっても、当社の大きな特徴になっていますので、色んな角度から深堀りして今後も記事にしていきたいと思いますので、気になった方は是非フォローしていただけると嬉しいです。

最後まで読んでいただき、ありがとうざいます。
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