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BOOKS─書籍紹介

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建築・都市・まちづくりにまつわる書籍の新刊・近刊を紹介していきます(本記事は雑誌連載コーナー「BOOKS」の転載記事となります).週2回更新予定.また,本アカウント以外の紹介記事… もっと読む
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#建築

検証・平成建築史【日経BP社】

内藤廣+日経アーキテクチュア 著 B5判/320頁/3,200円+税 内藤廣が語る未来への提言。 バブル崩壊後の30年間で、建築に何が起こったのか。内藤廣氏をナビゲーターとして「平成」の災害・事件・建築デザインを検証します。 建築家の内藤廣氏を迎え,平成31年間の総括を試みる本書. 2度の大震災や,新国立競技場問題などを通じて(よくも悪くも)社会から注目を浴び,建築が社会との付き合い方を見直す時代だった,と言及される.また,情報化による設計ツールの変化で複雑な処理が

歴史の建設 アメリカ近代建築論壇とラスキン受容【東京大学出版会】

江本弘 著 A5判/400頁/6,000円+税 19世紀から20世紀前半のアメリカ建築界がみせた「ジョン・ラスキン」という問題への異常な執着とは何か.アメリカ建築の出自と伝統を問う熾烈な派闘争のなか,ラスキンの思想がどのように参照され,批判され,忘却され,評価されたのかを綿密に追跡することを通して,近代建築史成立の根幹を描き出した画期的論考. 『建築の七燈』や『ヴェネツィアの石』などを著した建築理論家ジョン・ラスキン.本書はラスキン自体ではなく,19世紀から20世紀前

未来のコミューン──家,家族,共存のかたち【インスクリプト 】

四六判/320頁/3,200円+税 独自の回路から放つ新たな社会思想! 新たな共同性へ。家=人間と社会を調停する器、はいかに可能か。歴史を貫く共存の条件を探り、時空間を踏破して摑まれた経験知からその先のヴィジョンへと至る渾身の思考。 民俗学者・柳田国男が描いた家の事件をプロローグに、初源的な家の構成があらゆる住居に現れるプロセスを解明し、さらに近代的設備に内在する家の新たな神話体系を描いた原論である第一部。建築家アドルフ・ロースの装飾−身体制度論に端を発し、近代住宅デ

アナザーユートピア─「オープンスペース」から都市を考える【NTT出版】

「都市の余白」から、夢を描く!  槇文彦の問いに、分野を超えた17名の論者が応答する   建築家・槇文彦は近年の論考「アナザーユートピア」で、これまでのように建築から都市をつくるのではなく、「オープンスペース」――広場、路地、道、空き地、原っぱ、等――を中心につくることが、都市の未来、賑わい、人々の交流をつくるのではないかと主張し、都市・建築分野を超えて、多分野の人に取り組んでほしい課題として問題提起をした。 本書では、槇の問題提起を受け、さまざまなジャンルで活躍する

生態多様性と市民参加を両立する─エコロジカル・デモクラシー まちづくりと生態的多様性をつなぐデザイン【鹿島出版会】

ランドルフ・T・ヘスター 著 土肥真人 訳 菊判/520頁/5,500円+税 エコロジーとデモクラシー、どちらも単独では問題を解決できないが、両者が組み合わされたとき、都市の新たな希望が生まれる。世界をつなぐ15の原則に導かれた、都市デザインへの圧巻の大著。 著者は,現代都市がその場ごとに異なる自然(植生,水循環など)を無視し,経済性重視で紋切り型の成長を遂げてきたと指摘.同時に,インフラなど技術的専門家主導の都市づくりは,従来からの住民コミュニティを弱体化させ,彼ら

非統一的な個人主義が生み出した都市─日本の醜さについて 都市とエゴイズム【幻冬舎】

井上章一 著 新書判/235頁/800円+税 個人主義で自己主張の強い欧米人とくらべ、日本人は集団主義的で協調性があり、「和をもって貴し」とする民族だと言われてきた。しかし、ひとたび街に目をむければ、それはまちがいだと気づく。 利権まみれで雑多な東京。くいだおれ太郎やかに道楽など人形だらけで幼稚な大阪。“千年の都”と称されながらスクラップ・アンド・ビルドをくりかえす京都。 ローマと東京、ヴェネツィアと大阪、フィレンツェと京都――街並をくらべるかぎり、近代化に成功し、本

身を委ね建築をつくる─隈研吾という身体 自らを語る【NTT出版】

大津若果 著 四六判/296頁/2,600円+税 「負ける建築」の隈研吾は、なぜ勝ち続けられるのか?   隈建築の思考回路に迫る、ノンフィクション的建築論。   《新国立競技場》 や 《山手線新駅》、パリ《サンドニ・プレイエル駅》をはじめ、国内外で数多くのプロジェクトを進行させ、現在、もっとも脚光を浴びている建築家、隈研吾の建築とその思考を読み解く一冊。 一般的には、建築家という職能は、パワフルで能動的(安藤忠雄)、アーティスティックで前衛的(磯崎新)、といった風に認識

理論と現実,建築と都市─プロジェクト・アウトノミア 戦後期イタリアに交錯した政治性と建築【鹿島出版会】

ピエール・ヴィットーリオ・アウレーリ 著 北川佳子 訳 四六判/220頁/3,200円+税 アウトノミアとは戦後期イタリアで興った自律運動である。そこに身を投じたミリタント(闘士)たちは政治的な考え方によるイタリア建築理論を繰り広げた。そしてA.ロッシ、アルキズームを建築史の中に位置付ける。 アウトノミアは,1970年代のイタリアで労働者運動の後に訪れた知識人階級の政治運動.戦後資本社会に立脚し,権力からの自律を求めた態度は建築思潮にも影響を与えた. 著者は,当時の

地形から見る団地─団地図解 地形・造成・ランドスケープ・住棟・間取りから読み解く設計思考【学芸出版社】

篠沢健太 吉永健一 著 B5変型判/140頁/3,600円+税 団地はどれも同じ…だなんて大間違い。地形を生かしたランドスケープ、コミュニティに配慮しつつ変化に富む住棟配置、快適さを求め考案された間取りの数々。目を凝らせば、造成から植木一本まで連続した設計思考が行き届き、長い年月をかけ育まれた豊かな住空間に気づくはず。あなたも知らない団地の読み解き方、教えます。 建築やランドスケープの設計者である筆者が地形に着目して団地を解説した本書. 多くの団地が建設された高度

アイリーン・グレイ 建築家・デザイナー【みすず書房】

ピーター・アダム 著/小池一子 訳 A5判/320頁/5,400円+税 「家は住むための機械ではない。人間にとっての殻であり、延長であり、解放であり、精神的な発散である。外見上調和がとれているというだけではなく、全体としての構成、個々の作業がひとつにあわさって、もっとも深い意味でその建物を人間的にするのである」(アイリーン・グレイ) 「あなたの家で過ごした二日の間に、その家の内外のすべての構造に指令を出している、類い稀な魂を称賛する機会をもつことができてとてもしあわせで

中山英之 1/1000000000【LIXIL出版】

中山英之 著 A5判/ 160頁/1,800円+税 中山英之は2006年のデビューから現在まで、「世界」とは何かを問うてきました。彼は作品を通して建物の建つ「土地」やあたりまえの「生活」に対する人々の認識を超えて、これまでの世界をつくりかえる新たな空間を提示しています。 本書では、図面上にあらゆる世界を描くことができる「スケール(縮尺)」の考え方を軸に、小さな石から住宅、都市、地球とさまざまな大きさを行き来し、建築が世界を変えうる可能性について説いています。 《円と弧

T_ADS TEXTS 02 もがく建築家,理論を考える【東京大学出版会】

東京大学建築学専攻 Advanced Design Studies 編 新書判/304頁/1,500円+税 ふたつの東京オリンピックのはざまで,時代の大きなうねりのなか形作られた現代日本建築の多様性を「理論」「技術」「都市」「人間」という四相から見直すシリーズの第1弾,「理論編」.日本を代表する建築家自身による作品解説とインタビューによる現代日本建築入門. 本書では6名の建築家(磯崎新,香山壽夫,藤森照信,大野秀敏,妹島和世,隈研吾)の代表作に訪れて行なわれたインタビ

モクチンメソッド 都市を変える木賃アパート改修戦略【学芸出版社】

モクチン企画/連勇太朗・川瀨英嗣 著 A5判/ 192頁/2,200円+税 木造賃貸アパート(モクチン)は戦後大量に建てられたが、今老朽化と空き家化が著しい。建築系スタートアップ・モクチン企画はその再生をミッションに、シンプルな改修アイデア・モクチンレシピを家主や不動産業者に提供する。街から孤立した無数のモクチンを変えることで豊かな生活環境、都市と人のつながりをとり戻す試み。 都内を拠点に木造賃貸アパート(モクチン)の改修・再生を行うNPO法人モクチン企画による本書.

建築の条件 「建築」なきあとの建築【LIXIL出版 】

坂牛卓 著 A5判/288頁/2,300円+税 建築はいつの時代も「建築家」と「クライアント」と「社会」の関係のうえに成り立ちますが、21世紀の建築は特に「社会」の比重が大きいと言われます。建築は社会がつくる。 建築は、応答せざるをえない他者からの直接的な要求だけではなく、間接的あるいは無意識的なレベルの条件に規定されていると坂牛は考え、現在に至る歴史を、 人間に内在する問題系──「男女性」「視覚性」「主体性」「倫理性」──と、 人間に外在する問題系──「消費性」「階