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身を委ね建築をつくる─隈研吾という身体 自らを語る【NTT出版】

大津若果 著
四六判/296頁/2,600円+税

「負ける建築」の隈研吾は、なぜ勝ち続けられるのか?  
隈建築の思考回路に迫る、ノンフィクション的建築論。  
《新国立競技場》 や 《山手線新駅》、パリ《サンドニ・プレイエル駅》をはじめ、国内外で数多くのプロジェクトを進行させ、現在、もっとも脚光を浴びている建築家、隈研吾の建築とその思考を読み解く一冊。
一般的には、建築家という職能は、パワフルで能動的(安藤忠雄)、アーティスティックで前衛的(磯崎新)、といった風に認識されているが、「負ける建築」を標榜する隈の建築思想の大きなキーワードは「受動性」である。隈においては、建築が受動的な行為であるのだが、その思考は一般の建築家イメージと真逆であり十分に理解されていない。
そこで本書では、隈研吾の今日までの来歴と、数ある著作と建物とを結びつけて検討し、さらに隈自身にインタビューすることによって、隈研吾の旺盛な活動の中にひそむ受動的なバネを明らかにする。

建築史,建築研究を行う著者が,著者自身によるインタビューをベースに,これまで隈氏が書いた文章などを引用しながら,その姿を描き出す.
木造平屋で過ごした幼年時代,バブル崩壊で借金を背負い,東京での仕事をなくすなど,さまざまなエピソードを交えながら通時的にパーソナリティを追っていく.右手の怪我をきっかけにスケッチを描くのを止め,コンピューターを積極的に取り入れ,所員と密に話し合いながら設計を進めるようになった,と自身に起きた悲劇をプラスに語る姿からは,地域の素材に身を委ね建築をつくる隈氏の設計への姿勢との共通点を感じる.(fkd)


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