忍者の現代(いま)はビッグウェーブそのもの

以前のコラムに書いた通り、忍者はフィクションによって現代までその存在を伝えてきました。この功績は大変大きく、僕たちに夢を与える存在として、忍者はずっと生き延びてきたのです。

そんな状況がずっと続く中、ここ数年で忍者に関する新しい動きが出てきました。

それは「忍者を学問する」という動き。

今ではメディアに引っ張りだこの磯田道史先生や、三重大学の山田雄司先生をはじめとした教授陣により、忍者を歴史学や文学、その他のあらゆる観点の学問から追求していこうとする取り組みが数年前から始まりました。これにより、謎に包まれた忍者の実態がかなり明らかになってきています。忍者研究が密かなムーブメントを起こしたのです。

これに伴い、各地域もこぞって「私達が住む地域にも忍者がいたのではないか?」と調べ始めるようになります。忍者研究が始まってからというもの、東北・九州・信州・関西などの地域では歴史上実在した新たな忍者が発見され、それらの地域は忍者で観光産業に力を入れるようになるのです。実際に、今までは忍者と全く結びつかなかった佐賀県の嬉野で忍者が発見され、国際忍者学会が開催されるまでの盛り上がりを見せているのです。

またフィクション界でも、大河ドラマ「真田丸」で寺島進さんが演じる実在の忍び「出浦昌相」がフィーチャーされたり、黒船を探索するという重大任務を行なった伊賀忍者「澤村甚三郎」を題材とした漫画「シノビノ」が少年サンデーで連載されるなど、実在はしたけど今までほとんど知られてこなかった忍者が数多く出てくるようになりました。これも真実の忍者に価値を見出し、創作意欲をかき立てたからでしょう。

そして極め付けはビジネス界です。これはほとんどが訪日観光客の増加に伴うおもてなし市場の拡大に伴うものだと思いますが、ここ数年で全国に忍者の里や忍者体験施設、忍者ショー団体が爆増しています。10年前にはほとんどなかむた忍者施設や団体が、今では毎月立ち上がっているほどです。外国人に日本文化を提供しようと思ったら、キャッチーでわかりやすい忍者はビジネスのタネとして非常に扱いやすい素材ですものね。ここにも最近明らかになった忍者の研究成果をエッセンスとして取り入れて、サービスを展開する事業者が後を断ちません。

このように、忍者研究の動きと訪日外国人の増加に伴い、今、忍者をとりまく環境は激動の時代と言って良い状況となりました。長年忍者が好きで施設やら団体やら作品やら忍者本を幅広くチェックしてきた経験から考えると、学問・観光・文芸・ビジネスの分野が横一列に底上げしながら盛り上がっている事象は、忍者界にとってはじめてのケースなのではないかと思います。

忍者のビッグウェーブの影には忍者研究があり、これが発展すればするほど、他のニンジャプレイヤー達が盛り上がってくる。こんな相関関係を見出してからというもの、やはり忍者研究をして新たな忍者を発見していくことこそが今後の忍者界の発展につながるのだと確信しました。これが僕が忍者研究に情熱を燃やす理由です!

最後まで御読み頂き忝く存じ奉り候。 忍者のことしか書いてなくてすみませぬ。 更に忍者の詳しい情報はこちらでどうぞ〜 https://ninjack.jp