忍者は世の大半の人にどのように認識されているのか

僕はもっともっと日本の伝統文化である「忍者」を、人々にとって何らかの価値あるものにしていきたいと思ってきました。その思いを行動に起こしたく、前の会社を退職して、大学院に通う傍ら忍者普及を目的とする団体の職員として働いています。数ヵ月が経って数々のプロジェクトを推し進めていますが、やはり忍者を日常に持っていくまでには道のりは長く、「まだまだだな〜」というのが現状の所感です。

みんな嫌いではないのにもう一歩奥までには行こうとしないというか...。忍者にはミッキーと同じくらいの存在になれるポテンシャルがあると信じているのですが、このようなニッチな存在についてどうやったらもっとエンゲージメントを高めることができるのか。忍者をもっと人々にとって価値あるものにするためにどうすればいいのか。思考の整理も兼ねて今の忍者を取り巻く環境などについて考えてみたいと思います。

世界でのNINJAの捉えられ方

日本忍者協議会が行った調査によると、忍者の認知度は世界中で98.7%なのだそうです。世界の各国における忍者の認識は様々で、暗殺者だったり、スパイであったり、創作作品上のヒーローであったりと、その人の置かれた環境によって享受できる忍者の表現の違いからか、百者百様です。忍者に触れてみたいくらいのライトな興味の人から、「修行を積んで忍者になりたい」などと考えるコアな人まで様々な人がいますね。

濃淡はあれども世界の人々は何かしらの忍者作品に触れていて、様々な印象を持っており、ある種「自分だけの忍者像」を持っています。そして、そのほとんどが「そこまでは興味ないが、好きかと聞かれればまあ好きですけど」くらいの温度感でしょう。普段忍者イベントなどをやっているときの外国人の反応を見ても思いますし、以前台湾に忍者体験を提供するお供に行ったときにも強く感じました。肌感として忍者のコアなファン層は全人口の1%もいないと思います。

日本での捉えられ方

日本においては、忍者と聞くとだいたい半笑いの反応が返ってくるのが現状です。僕が合コンで「忍者好きなんすよ」とか言ったもんなら、その場はすっごく盛り上がります。が、男としては見られず、ある種のキャラクターとしか認識されません。お陰様で独身です(笑)

忍者がこうなったのは、創作の影響によって本来の忍者からかけ離れた荒唐無稽な忍者像が確立されたためだと思っています。忍者がそのようなある種の嘲笑の対象になってしまう位置付けであることは、歴史的に見ても江戸時代から実はそうでした。藤堂藩に仕えた「忍びの者」という名称の役職も、世間からその名前だとナメられたり盗賊と思われたりして体裁が悪いという理由で「伊賀者」という呼称に変えるくらいだったんですよね。まぁ形はどうであれ、その名前を出せば誰もが知っていて、人の興味をそそる対象であることは、全く誰にも知られずに話にも上がらないよりもむしろ喜ばしいことだと思います。

多分今でも「忍者なんて大嫌いだ!」という人はあまりいないんじゃないでしょうか。ある種パンダみたいな存在で、広く薄く人気があり、たまになら触れてみたい。そんくらいの存在なのだと思います。

現代において人々の忍者像を決定づけるものはなにか?

これはひとえに様々な忍者作品や作品中の忍者キャラクターが魅力的で、みんなが小さい頃からそれらの忍者に触れてきたことが原因なんだと思っています。昔ツイッターで「#忍者で何を連想するかで年代がバレる」というハッシュタグが流行ったことがありました。これは現代の忍者像を把握する上ですごく貴重なデータだと思って集まったツイートを集計したところ、そこに出てきたのは「忍たま乱太郎」や「タートルズ」などのアニメ、「カクレンジャー」「ハリケンジャー」などの特撮、NARUTOやハットリくんなどの漫画であり、結構中年に差し掛かった人であっても、その人が幼少期に触れたであろう作品が多かったのが特徴的でした。

これはつまり、小さい頃に触れた忍者がその人の人生における「忍者観」を作り上げるということなのだと思います。これはおそらく海外の人たちもそうで、世の大半の人々は小さい頃に見た忍者が如何に自分の中で強烈な印象に残ったのかどうかによって、その後の忍者に対する憧れや心酔度が変わってくるのでしょう。多分世界で一番人気のあるコンテンツ「ディズニー」も結局は子供の頃に多くの時間触れていることが一番のアドバンテージなんだろうと思うわけです。

でもディズニーはさすがに大人になって、家族ならまだしも、個人としてなかなかどっぷりハマるというのも少ないですよね。それとの比較でいうと、忍者は子どもも大人も個として楽しめるポテンシャルを秘めているような気がしてきました。

自分もいい歳になってもこれだけ忍者にハマっているのは、忍たまの原作である「落第忍者乱太郎」に出てくる本格的な忍術解説の影響が強いです。その後、小学生では「烈火の炎」や「タートルズ」、中学生では「NARUTO」、高校生では「天誅」「山田風太郎忍法帖シリーズ」など、人生のステージごとにバイブルとなる忍者作品に触れていました。そうやってできあがったのが、こういうコアすぎる忍者オタクなわけです。

年代によってその年代にふさわしく斬新な忍者をあてがっていく。そうしていくことで老若男女すべての人が一緒になって楽しめるコンテンツになる。忍者にはディズニーさえも超え得る存在になるのではないかと思ってやみません。これだけでは足りずにもっといろんな事をやらないと行けないとは思いますが、忍者に関するあくまで1つの考えとして、書いたら少し整理できました。そんな世界の実現に向けて明日からも頑張って行こうと思います!

最後まで御読み頂き忝く存じ奉り候。 忍者のことしか書いてなくてすみませぬ。 更に忍者の詳しい情報はこちらでどうぞ〜 https://ninjack.jp