「君たちはどう生きるか」雑感想

なにか、言いたいことを言うために他のことを言うでもなく、周りの現象を提示して考えさせるでもなく、言いたいことをほんとのほんとに言おうとするとこういう支離滅裂で、苦しくて悲しくて不自由で、でもものすごく自由な世界が生まれるんだと思った。

宮﨑駿が言いたかったことは
「平和はたった1人の正義(傲慢)でこわれてしまうということ」
「丁寧に慎重に、つみかさねた積み木のような世界(平和)であるということ」
「お母さんに会いたいよお」
「死にたくないよ」
「この世界で残せるものは本当に少なく、人は弱い」ということ。
設定が戦争がはじまって2年目、というのが。

とにかく悔しそうだった。悲しそうで切なかった。
そうだろう。「トトロ」もいなくなってしまい、「もののけ」も首をきられ、海はよごされ「ポニョ」も消えた。
そう悲しむ自分も、悪を含んでいるから、
この世界で(物語のなかにこもり、救いをもとめ)生きていくしかなかった。
彼の自伝でもあり、遺言でもあり、怒りでもあり、でも諦めきれない人への愛、(なぜなら彼が一番愛していたのはきっとお母さんで。)
死ぬのはしょうがないけど、諦めきれないなにかのようなものを、混ぜこんで、
こんな傑作を産んで、
これ以上を想像できない今、彼は何を思っているんだろう‥。
ということで開始五分から号泣、最後まで号泣。
たしかにわけわからない、たしかに説教くさい、たしかにマザコン。
でもそれが宮﨑駿という1人の人間そのもので、1人の89歳の、人間(男の子)なんだなとおもった。

ちなみに、いつもジブリはその時代の悪をうまく表現しているな、と思っていたけど「千と千尋」のときのカオナシ→欲の象徴・さみしさ から、
「インコ」→幸せそうなのに、正義があり、でもアホの、大群(今回は数々の、脳のなさそうな大群をよりきもく表現していたのは今の世の中そのもの) その王様(彼は「これでは世の中が滅んでしまう」と言い、自分の正義で、逆に世を滅ぼす。これは戦争をはじめる大義そのもの)
に変化していたのは素晴らしく、悲しい。

人間の醜さがカオナシから、インコという鳥になってしまったよ・・。

魂をたべてしまうペリカンでもなく、
嘘つきのアオサギでもなく、
アホなインコが積み木をくずす。

あーーー

ああ、音楽(米津ふくめ)超いい。

あと、絵がすきなんだなと。
あと、エヴァみて、こうしてもいいんだ!って思ったんだなと。
多分村上春樹にも影響うけてる。
そういうのわかるけどやばい。
やばすぎ。

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