マガジンのカバー画像

ブログセレクション

40
ブログ「KHAKI DAYS」から選んだエントリを載せています。加筆・修正あり。
運営しているクリエイター

#日記

20220525 アルバイト・ヒストリーNo.2

その1からの続き。 ヒーローショウの着ぐるみ僕がその頃通っていた専門学校の同級生にHがいた。彼とは家も近い事もあったが、来るものを拒まない独特の空気を持っており、僕はそのうちにHの家に入り浸って遊ぶことが多くなった。Hは高校時代の同級生Iと家賃を折半して2DKの部屋に住んでおり、その広さが僕を気軽に遊びに行かせる後押しとなった。ある日、Hがアルバイト情報誌で面白そうなバイトを見つけてきた。それはヒーローショウの着ぐるみに入るというもので、バイト料は非常に安かったが、その内容

20220525 アルバイト・ヒストリーNo.1

今日は、学生時代にしていたいくつかのバイトについて。ちょっと長くなるけど、思い出してみようと思う。 スーパーのバックヤード最初は高校卒業前の冬休み、家から比較的近めの横手市のジャスコ(!)で、総菜をパックしたりラベルを貼ったりする仕事をした。言うところの「刺身の上にタンポポ(豆菊)をのせる仕事」に近かったかもしれない。これが今思っても違法なくらいに時給が安く、なんと430円だった。本家の長男として蝶よ花よと甘やかされ放題で育てられた僕に、安い時給でこき使われるような水回り仕

一言。

いまさらながら、「一言」の重要性を思う。 たった一言が相手の心に響いて、 その人のことを好きになることもある。 逆にたった一言で、 誰かのことを決定的に嫌いになることだってあるだろう。 気持ちを射抜く言葉。 心を切り裂く言葉。 たった一矢、たった一言で十分なのだ。 たった一言。 思いつくのは一瞬でも、 相手に伝わって残るのはほとんど永遠ということもある。 怖い。 放った言葉は自分の思惑を離れ、 まるで自分とは関係ないもののように作用する。 そう思えば言葉というのは、 実

夢。

夢を見た。 古い友人であるYさんは、永田町に住んでいる。 永田町というのは日本の皇居に接しており、 地理的にも東京の中心と呼ばれてしかるべき場所にある。 要は、一般人が本来住むような街ではないのだが、 彼はここに風変わりなマンションを借りて長いこと住んでいるのだ。 「ここに住んでもうずいぶん経つけどね、すごく気に入ってるよ」 Yさんは言う。 久しぶりに訪れたYさんのマンションはあまりにもクールで、 住まいというよりもまるで…まるで…何だろう? Yさんの部屋は地下にある。

ガンダムの脇腹と団地のおばちゃん。

「ガンダム者 ガンダムを創った男たち」という本があって、制作者たちのインタビューによる構成の本なのだが、面白かった。 ミノフスキー粒子を考案した脚本の松崎健一。見事なコロニーのセル画を下描きなしで5分で描いてしまう美術の中村光毅。僕も子供の頃から名前を知っていたメカ・デザインの大河原邦男、そして富野由悠季の強固なポリシーを感じるインタビューなど、ボリューム・内容ともに読み応えのある一冊である。 でも、なんだか一番印象に残っているのは、アニメーション・ディレクター安彦良

イケメン考。

【イケメン】日本語で美男子を指す俗語。広辞苑第6版では「いけ面」という表記もある。一般的に美形で、顔が格好いい男性のことである。Wikipedia「イケメン」の項より 我々が日常よく使っている流行り言葉の中に、「イケメン」がある。上記のリンクによればすでに広辞苑に登録されており、「イケメン」はもはや流行語にとどまらない普遍性を獲得した。たまゆらではない、立派な日本語としての認知を得たという事だ。 私がこの言葉を面白いと思うのは、「イケメン」という言葉自体の持つ響きの不

一番いいジブリ映画。

「ジブリの映画の中で何が一番ッスか?」 会社での他愛もない会話のひとコマ。 ジブリ映画ねえ。 「やっぱり『カリオストロの城』とかになるんじゃないの?」と僕。 「それは確かに宮崎駿だけど、ジブリじゃないッスよ」と同僚。 「なんかさ、駿で『カリオストロの城』がいいって言うのって、 スピルバーグ映画で『激突』がナンバーワンって言うのと似てんね」 「そうッスね」 「なんだろうね、『ナウシカ』とかになるのかな、一つっていうと」 「ジブンにとってはダントツでコレ、っていうのがあるン

29歳変動説。

いろんな方の話を聞くと、かなりの確率で…というかびっくりするような確率で、29歳で人生の転機を迎える人が多いのである。29歳には何かある、とつねづね思ってきた。そういえばブッダが出家したのだって29歳だった。この29歳の転機というのは、その人の天職というものと非常に深く関わっている。29歳で、自分の価値観や、携わっている行為に対して疑問を持ち、そして疑問を解決すべく行動した人はその後、32歳の時に別の転機と遭遇するのだ。で、この32歳の時の転機が、自分の天職を決めていく。その

ご相席。

いつかのランチ。 ひとりでぷらっと、会社の近くの親子丼の店。 店員「いらっしゃいませー、お座敷のテーブルでよろしいですか?」 あ、いいすよ。 店員「混んでまいりましたらご相席になっても大丈夫ですか?」 や、かまいませんよ。 店員「お一人様ごあんないー」 6人がけのテーブルに僕ひとり。しかし店員の予言(?)どおり、直後に店は混んできたのだった。 店員「5名様、奥のテーブル席ごあんないー」 ○…僕 ●…団体客(20代男性)    ● ● ○   ---

おばあさんが座っている私に背中を向けて立っている!!

会社からの帰り道というか帰り電車というか、丸ノ内線も中野坂上を過ぎた頃。なんかあのへんは地名があやふやでナントカ中野とかナントカ高円寺とか、ナントカ阿佐ヶ谷とかあるわけですがその中のどれかと言えばどれかの駅で、小さいおばあさんだかおじいさんだかが乗ってきたわけですよおばあさんですが。 その頃私は本を読みながら新宿三丁目で得た空席に座ったり立ったりしたというか席に立つわけはないので無論座っていたわけですがおばあさんが来たのですよ。おばあさんは席を探す様子もなくて入ってきてすぐ

TAXI.

「すみません、実は私この仕事始めて3ヶ月なもんですから、道がちょっと分からなくて。ナビを使ってよろしいでしょうか?」 淀みのない言い方だった。きっとこの運転手は3ヶ月間、客を乗せるたびに、まったく同じセリフを繰り返してきたに違いない。ナビに沿って走るなら別に問題はないかと思ったのと、その運転手の声の調子がとても朗らかだったので、僕はそれを了承した。いいですよ、気をつけて走ってください。 「ありがとうございます」ゆっくりとタクシーは走り出した。 深夜タクシーに乗ったのはい

ある課長の告白。

数年前の4月の夜、僕は西麻布にある「かおたんラーメン」に夕食を食べに行った。「かおたんラーメン」は青山墓地の近くにあり、僕の勤める会社からも徒歩で行ける。およそ10分くらいかな。歩くのにちょうどいい距離と、夜風がさらさらと吹き、確か桜も咲いていた。青山墓地は桜の名物だからね。夜の散歩がてらとしては悪くない。ラーメンを食べよう。食べたらまた歩いて会社に戻り、仕事の続きを少しだけやろう。 久しぶりの「かおたんラーメン」はそこそこ混んでいて、僕は奥のテーブルで他の客と相席すること

MY TIME.

(この文章は筆者が35歳の頃に書いたものである。) 僕は今35歳なので、少々気が早いのかもしれないが、「老い」のようなものをイメージするようになった。老いというか、「残り時間」といったほうがいいかもしれない。それはいわゆる人生の終わりという意味ではなくて、「今のような感性で物事をずっと楽しめるわけではないかもしれないな」、そういう意味での「残り時間」である。 僕の感性というか感覚は、20代の前半からあまり変わっていない気がする。すなわち「持たざるもの」としての感性だ。もっ