土曜日ラプソディー


6月は仕事がたてこんで、ついにきょうは普段は休みの土曜に出勤だったけれど、ちょっと追いつけてなかった仕事を整理できてスッキリ。
てこてこ歩いて帰っていると、通り道の町工場兼家のようなとこのガレージのはじっこに置いてある、長方形の大きな青いたらいのなかで飼われているけっこう大きめな亀がじたばたがりがりしていて、あれ、いつも2匹いなかったっけ。今日1匹だよね?それに、いちお、レンガみたいの2つでおさえている網が半分ずれてるけど、もしかしてもう一匹脱走した?うちもマンションのベランダで、プラッチックの衣装ケースに亀2匹飼ってたけど、脱走して5階だというのにベランダの隙間からジャンプして行方不明になったなあ…と思いつつ、青いたらいで、上の娘が赤ちゃんのときにたらいで洗っていたのを思い出した。

いまどきだったらベビーバスなんてのあるけど(いや当時でもあった)、上の娘を産んだ21歳のとき、相手は46歳でしかも、昭和初期な生活している相手の実家だったから、子どもの沐浴は水色のまるいたらいだった…。それも、いい思い出です。

買物して帰宅して、焼酎がぶがぶ飲みながら晩御飯食べてひさしぶりに映画でも観ようかと、
Mission: Impossible - Ghost Protocol

もう、いろんな映画でロシアがらみやロシア舞台が多くてたのしいです!そして、外国人俳優のへたくそなロシア語も~。
しかし、時間を見誤って、夫がF1の予選みる時間になったのでTVをゆずり、にゃーにゃーいってくる猫のブラッシングにはじまり、毛がいっぱいこびりついている書斎に置いてあるトルコ絨毯の掃除をひさしぶりにはじめました。頭の中で、真空管アンプメーカーで働いていたときの、音楽に詳しい同僚に教えてもらった楽曲、Persian Rugが頭の中で鳴りながら。

このトルコ絨毯は、伝統的な草木染の糸で、その民族に伝わる模様で織られたという精巧なものです。どうやって手に入れたかというと、もう13年も前になるのですが、当時ベリーダンスを習っていて、トルコで国際合宿があるというので参加して、その際に有名な恋愛商法のトルコ絨毯売りに売りつけられたのです。

「バカな日本人女が、騙されやがって」と実際、わたしが当時あげてたブログを読んで2ちゃんねるに書き込んでいたひともいましたが、いい経験をしたと思っています。恋愛商法の実際を目の当たりというか体験させてもらったし、これは立派な商売、ホスト的に女を楽しませての対価だと思います。それに、彼とプレゼントしあってもらったネックレスも日本にはない、素敵なデザイン、色合いのものですし、彼の友達のところに連れていかれて買わされた綺麗な色の貝で作ったピアス、首飾り、指輪も、日本では手に入れられないかわいい色、デザインのものです。絨毯にしたって、まあ割と高値で買わされましたけれど、ほんとによい出来のもので高品質です。年を経るごとに、味わい深く、よくなると思います。それにまつわる物語とともに、よい買物をしたと思っています。

以前あげたブログはまた、折を見てこちらにアップしたいと思っていますが、わたしは「実践者」だなあと思います。
あるひとと話をしていると、
「飛び込んで生きるひとなんですね。ぼくは所詮、野次馬だから…」
と言われて、そういやあ、自分にとっては当然だけれど、ほかのひとはしり込みするようないろんなことに、アホなことを含めて(だって、アホなことってたのしいじゃないですか!)自ら飛び込んで経験しているなあと思いました。

「しないでもいい苦労を、なんでわざわざするのか」
「不幸なのに、じぶんが幸せと思い込んでいる、可哀そうだなあ」
などというひともいましたが、幸せって思ったもの勝ちじゃないですか。

根本には、「ヘラクレスの道」があると思うんですよね。

子どもの頃から、ギリシア神話が好きで、山室静の「ギリシャ神話」を読んでいました。それはのちのち、ギリシア神話が強く影響している西欧文化を学ぶうえでも非常に役に立ちましたが、なかでも「ヘラクレスの道」と自分で名付けている生き方がわたしの根幹をなしていると思います。

知ってるひとはご存知かと思いますが、ギリシア神話の英雄、ヘラクレスは最高神ゼウスの子であったにもかかわらず、ゼウスの妻のヘラの嫉妬もあり、羊飼いとして過ごしていました。そんなヘラクレスのもとに、あるとき二人の乙女がやってきて、どちらの道を選ぶかと問うのです。
ひとりはけばい女で、「わたしの道を選んだら楽に、富とか名声を得られるわ!」と言います。もうひとりの質素なほうは「わたしもひとつの道をあなたにすすめます。(中略)努力と労苦なしでは、ほんとうの喜びも幸福もありませんよ」それにけばい娘は反論しますが、<徳>と呼ばれる質素な娘は言います。
「ではヘラクレスさん、わたしたち二人のどちらに従うのか、おきめなさいな。あの人の道はたいらでやさしくて、みなが求めるのだけれど、つまらない喜びしかあたえません。わたしの道は苦しくてつらいけれど、ゼウスがあなたにのぞんでいるのは、きっとわたしの道ですわ。」(山室静著「ギリシャ神話」より)

ヘラクレスが質素な娘の道を選んだことは、いうまでもありません。

大学時代、カナダ人の詩人の先生の講読をとっていて、ヨーロッパの昔話や民話の心理学的アプローチや、アメリカに渡ってどのように変化したかなどの授業を受けて面白かったのですが、そのなかで「自分の好きな民話・昔話に沿った人格形成がなされるが、もともとそういう素質があったからそういう物語を好んだのかもしれない」というのがありましたが、わたしの「ヘラクレスの道」好きも、もともとそういう素質があったからかもしれません。

兎も角、いろんなことに飛び込んで、実体験して納得してきたからこそ得られるもの、これは自分の大事な財産です。
ヘラクレスは結局、妻の勘違いな嫉妬から悲惨な最後を遂げるのですが、彼の歩んできた人生には後悔していないはず。わたしもそうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?