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【詩】バスのなか

(はじめに)

 こちらは先の美濃加茂市文芸祭に送付しま
した作品の2編の内のひとつになります。選
ばれなかったほうと言ってしまえば、そうか
もしれませんが、2編とも思いを込めて書き
ました。応募時のまま載せようかと迷いまし
たが、noteに掲載するにあたりまして、作品
の内容が変わらない程度に修正しましたこと
を記しておきます。
 ひと月ぶりの詩作品になります。文章が鈍
っていないことを願いつつ。

  では、どうぞ ───────────


 バスのなか

しずかに点滅を繰り返している
くたびれた信号機のそばへ
湿った思考を置いて行こう
夜が飲み込んで
消してくれるのを望んでいる

海沿いのちいさな町に帰る
バスのなか
外回り営業でお得意様を怒らせてしまった
昼間のミスが頭をよぎる
薄暗い照明の下
前頭葉に明かりを灯す
先輩が
場をおさめてくれた出来事を
あおい眼差しでとらえながら
何度も筆を重ねるように
同じあやまちはしないとえがく

ぽつりぽつり落ちてくる
滴が季節を変えてくれるなら
そのあいだに感情を整えようか
ぎこちない、
言葉の他に相応しい
表現があるだろうか


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    イラストお借りいたしました。
     ありがとうございました。

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(ちょっとだけ解説)

 私の二十代の頃の実話をもとに書きました。
営業職に就いておりまして、微力ながらも会
社のために頑張っていました。(会社のため
に、というところが時代を感じさせるかもし
れません)
 ミスをしてしまい、その場はどうにか過ご
したのですが、帰路のバスの中、くやしさが
込み上げてきたのを覚えております。あやま
ちは、許されることではないのかもしれませ
んが、そうした経験もありまして、人は成長
してゆくのでしょう。
 年齢を重ねてより理解できる出来事のひと
つに、先輩を始めとして、まわりの大人たち
の存在があります。若い頃は自分自身で精一
杯な部分もあって理解に及びませんでしたが、
間違いをしてしまった後、まわりの大人たち
が助け舟を出してくれ、その間違いを受け入
れ後始末をするためどれだけ動いてくださっ
たことでしょう。


 お読みくださいまして、ありがとうござい
ました。



#ウェルビーイングのために

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