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創業からのDAY200プランと、苦しかったコトをふりかえる

あたらしい旅行をデザインしていきたい令和トラベル篠塚です。本noteは、令和トラベルアドベントカレンダーの10日目です。実はアドベントカレンダーというものを書くのが初めてなので、ちょっとドキドキしてます。楽しかったらシェア頂いたり、他の記事もさまざまありますのでぜひ読んでくださったら嬉しいです!

令和トラベル、アドベントカレンダー開催中🎉

年始予想シナリオはワーストに着地

本題です。自らこの道を選んでおいてなんですが、とても変わった状態でスタートアップを経営していると思っています。コロナ以前から経営している先輩の皆さまは、大胆なピボットをしたりコストカットをして既にコロナ影響はだいぶ薄れてきている(正確に言うと戦略的に乗り越えた努力の賜物)のではと思いますが、令和トラベル社については未だに不確実性が高い海外旅行マーケットで、しかも全産業を見渡してもコロナのマイナス影響を最も受けている状態で飛び込んでいくというのだからそれはそうなのでありますが。

実はまだ創業を発表する前、今年一年間のシナリオをこんな風に予想していたのです。1月冒頭。

1年の頭に書いた予想。まだオリンピック方針すら決まっていなかった。

これは、海外旅行回復のシナリオを考えていたものです。

文字が多くて小さいので要約をしますと、
Best:春以降に順次回復する、これはローンチ急がないとやばい
Better:夏頃オリンピックと共に緩やかに回復するから、夏リリースしたい
Worse:夏も復活せず更に遅延、その場合は国内旅行事業も検討したいね
Worst:オリンピックが開催されず、年内もずっと海外渡航困難。国内旅行をメインに検討しつつ、海外旅行は虎視眈々と見ておく

なんて絵を描いていました。

実際の着地はオミクロン株も登場し、Worseに近いWorstシナリオというところでしょうか。実は昨年より3倍超は回復していますが、昨年があまりに小さいので誤差の範囲です。欧米社会を中心に「コロナ慣れ」し始めており、確実に各国の内需回復は見受けられます。また瞬間的にですが、年末年始は日本人のハワイ旅行取り扱いも大幅に増えたのですが、オミクロン株によってキャンセルもドタバタと出たりしました。コロナ前に創業している皆さまにおいては既に何度も体験して乗り越えてきたことを、僕たちはまだ渦中ど真ん中で振り回されつつ、その後の回復に全ベットしているような状況となります。隣の芝は今まで以上に輝いて見え、早くプロダクトを出したいという思いは増えていくばかりですが・・・

で、今日はそんな僕たちが1年間どういうことをしてきたのか整理整頓し、苦しかったことなんかを少し紹介できたらと思いました。

DAY1〜100:春の取り組み

まず一番最初にやったことは、創業の狼煙をあげることでした。こちらのエントリーは大変多くの方にご覧いただきました!適当につけた名前のダサさが拡散してくれて、良い方に働きました。笑 最初の3〜4ヶ月で徹底的にやろうと決めたテーマは3つありました。1つ目は新しい船の乗組員となる仲間を集めて組織体制を創ること、2つ目は海外旅行業は安全管理が最も重要であるためそれに足るガバナンス体制や法務体制を築くこと、そして最後は戦い抜くために必要な軍資金を集めることです。この3つにのみ全集中した3〜4ヶ月でした。

採用について:
今日現在ではおよそ20名の社員が採用できましたが、この創業3ヶ月で準備しきったことがが功を奏しました。CHROの田村を中心にチームを組成し、非常に難しいとされてきた強靭なプロダクトチーム(エンジニア、PM、デザイナー、マーケなど)の採用ができ、また世界各国の旅先に詳しいコンシェルジュチーム、バランス感の取れたBizdevチーム、そして秘書や管理チームなどなんとか小さな1つの形までは到達できました。さらに年明けにも素晴らしい方々の入社が決まっており、1年でほぼ体制が整ったように思います。
仲間の紹介は今動いているアドベントカレンダーや、日々の採用PRによって小出しにしていますが、とてつもなく優秀なチームになっていると自負してます。しかしやっぱり全然足りないので、まだまだ募集中です!
実は初のカルチャーデックも完成したり、D&Iのポリシーを策定したので是非ご覧ください。

令和トラベル社初のカルチャーデックも完成!
コロナが落ち着いてきて、全社キックオフもリアルで開催できた🎉

管理体制について:
スタートアップの良さを徹底的に取り入れつつも、メンバーにとって負が発生したり、重大なアクシデントが起こらないラインを試行錯誤しながら作ってきました。資金移動ルール、稟議体制、労務体制、経費ルール、などなどを一気に整備していきました。前職のときは何をしたらいいか、どんな目的でやるかが全く分からなかったものの、KDDIグループで学べたことが創業以後もフルに生かされた形となり、改めてやりきってよかったなと思いました!

あわせて、先んじて取得に動いていた第一種旅行業者登録も完了し、これで晴れて法律上も海外旅行代理店と認められ、サービスを提供できる状態にはなりました。通常半年から下手したら1年近くかかると言われていたのですが、コロナ下で一種旅行業に新規申請する会社なんてのはあまりいなかったようでスルスルいけました。笑 逆張りの恩恵ここにありけりでした。

資金調達について:
詳細は以下のnoteに譲りますが、22.5億円の増資を行うことができ、3年間を戦うには充分な資金を調達することができました。よくある誤解は「令和トラベルすごいですね」というコメントなのですが、本当にまだ何も一切生み出していないので全く何もすごくないのです。今回のラウンドで最もすごいのは、投資家皆さまのリスクテイクだと強く思っています。多分ですが最も不安な投資先 of the Yearですが、大きな期待に応えられるよう全力で取り組んで行く次第です。


ここまで書いたことで春頃からのおよそ3〜4ヶ月を要しましたが、チームみんなのおかげで万全盤石な強い基礎工事が完了できてきました。プロダクトは当初予定からは遅延しつつも着実に完成していきます。

DAY101〜200:夏の取り組み

さて、最初のシナリオに戻ってみたいと思いますが、6月あたりからはもう「オリンピックは開催をすべきではない!」みたいな声がより社会全体に広まっていた時期であります。今となっては懐かしい気持ちになりますが・・・ そして結果的に無観客という形での実施となり、スポーツ選手にとっても日本国民にとってもなんとも残念な不完全燃焼感あるお祭りとなってしまいました。

そんな中、私の次なるテーマはクライアントリレーションとプロダクト開発へのコミットメントの2点でした。次の3ヶ月ではこれに集中するため、まずはいきなり私自身がハワイへ行くことを決断しました。決して遊びに行ったわけではないのですが、写真だけ見ると完全に遊んでてつらいです。こちらも詳細は以下のNoteに譲りますが、1ヶ月強ほど滞在し、ほぼすべての宿泊施設に挨拶をさせていただいたり、アクティビティ施設をまわったり、離島にもお邪魔したりしました。この体験によって、今では現場感や課題やオペレーションシステムなどのラーニングができ、また何より日本人がほぼ誰もいないタイミングに行けたことで、素晴らしい皆さまとたくさんゆっくりと話せたことがとても大きな価値になりました。

ハワイの旅行がどうやって行われているのか、システムはどうなっているのかなども理解でき、続いてのテーマであるプロダクト開発にうつっていきます。もちろん基本的な部分はもう既に設計ができていましたので、どちらかというとより先のビジョンの解像度を徐々に高めていきます。

そしてもう1つの重大テーマであるプロダクト開発です。現地にいる間もずっとミーティングを重ね、まなびを共有しあいつつ、毎月の1on1や、毎月の締め会、そして個別にはプロダクト合宿、経営合宿、マーケティング合宿などなど各部署メンバーとの理解深堀をどんどんと行っていき、メンバーみんなの脳内を統一する作業につとめていきました。

そうしてついに完成したアプリがNEWT(ニュート)です(※公開はまだしていません)。Shopifyのような便利なSaaSはまだ旅行業にありませんので、会員登録から検索からツアー造成システムから決済までを全てありものは使いつつもゼロベースで組み込みながら開発。わずか半年ほどという短いプロジェクト期間で、ここまでの水準にできたことはとても良かったと本当に思っています。旅行スタートアップの皆様にも、旅行業界の皆さまにも驚かれる高品質であるという自慢のサービスです!と言いつつお見せできないのが心苦しいのですが・・・

令和トラベル NEWT(ニュート)
先日発表したNEWTの概要。サービスリリースは延期中….

募集型企画旅行(いわゆるツアー)は国家指針や業界団体の方針で感染症危険度レベルが下がらない限りは販売が推奨されません。また、我々としても感染症危険度があるエリアへの渡航はパッケージでは対応しづらいしおすすめできず、二度に渡ってリリース延期という苦渋の決断を行っています。そのため現在は、個別の旅行手配サービスと、らくらくパックといった渡航予定がある方向けの周辺領域から提供をスタートしております。また遅延のお詫びもかねて、210万円の旅行クーポンが当たるキャンペーンも開催中です。

https://newt.net/hello


まだサービス名の発表しかできていないのですが、この半年でも色々なキャンペーンを開催したり、SNSでは徐々に海外旅行の情報を発信したりと、きたるべきその日に向けて準備をがんばっています!是非「令和トラベル」で検索して、フォローいただけたら嬉しいです。


SNSの更新をじわじわとがんばっています。無風では困ります。

1年を通して苦しんできた5つのこと

さて、ここまで順風満帆風にたくさんのことを書いてしまいました。なるべく先に良いことを伝えてみました。しかし実際のところはもがき苦しみながら経営をしており、とても大変でした。何が大変だったのか、ちょっと書いていきたいと思います。

#1. アンラーニング
まずは個人的な話しですが、真っ先に思うのはここからです。
いままでReluxというサービスを長らく運営してきたゆえ、様々な成功例も失敗例もあり、どうしても過去に成功したほうをやろうとしてしまう癖・バイアスが強く残っていました。またメンバーが何かをやろうとしているのに、「それはこういう理由で失敗する気がする」なんてことを思ったり、時にはこんなにストレートには言わないけれど伝えてしまうこともしばしばあるわけです。これは大変良くないし、前回以上の成功には到達できないことを意味します。なので、たくさんの方から学ばせて頂いたり、私の役割自体も今までとは違うものへ再定義していきました。そして到達した3つの役割です。大きなビジョンを打ち立てる。正しきKGI(1つの指標)を設計する。エコノミクスモデルを確立し、OKRとして責任を渡し合う。CEOの仕事はこの3つのみです。令和トラベル流の経営戦略はこちらのnoteを参照。


#2. プロダクトがない状態での採用活動
続いてはチーム全体としてですが、大変苦労しましたし今も苦労中です。
ゼロイチを生みたいリスクテイカーは多くいるが、マーケットに対してリスクテイクしたいわけではないということの理解が遅れました。冒頭の通り不確実性が非常に高いマーケットにいるため、海外旅行マーケットがどうなるかというフォーキャストのすり合わせ、また我々自体のプロダクトもほとんど何もアウトプットしていない状況下で採用活動を行っていたことによるロスは少なからずあったように思います。今は徐々に中身を出したり、働く仲間の顔を出しながら伝えていますが、創業から何度も悔しい思いや伝達の仕方での失敗なども数多くしてきました。もっとうまくやっていたら、もしかすると違う結果を持てたかもしれませんが、そこはこれからの改善につなげて行く所存です。

#3. MVPがあるのにリリースできない状況
同じく、チーム全体でなかなか悩ましいことです。今なおかなり変わったシチュエーションにいますし、これは私というより作っているメンバーみんなのほうがつらいかもしれません。本来のセオリーでいえば、ミニマムなプロダクトを早く出してしまい状況を見ながら改善を繰り返し、PMFを目指すのが間違いなく正しいのです。しかしそれが今はできないため、MVPという名からどんどん機能が膨らみむしろかなりしっかりしてきてしまっている。これには大きく2つの危惧があります。
1つ目はセンスに依存した改善計画になっており、それが市場に受け入れられるのか謎であること。さもなければこの期間の技術投資は損になりえるし、リリース後の無駄な巻き戻しが多くなってしまう可能性がある。2つ目はいつになれば出せるのかわからないし、外部環境にとことん左右され続ける暗闇のトンネルにいる感覚。正直誰にもわからないし、海外旅行はやはりあくまで「遊び」の1つなので、当然に社会の優先順位自体は低くても仕方ないとは思っている。来年春はどうか? 来年夏はどうか? 全く分からない中を経営するのは大変むずかしいし、メンバーともどうやってモチベーションを維持していくべきかを考えなくてはならないし、来年もあまりにダラダラとするようなら大胆に方向を変えなくてはならないかもしれない。

なおこの状況下で幸いすぎたことは、少しづつ焦る私をよそに、VCや社外取締役のみなさまのほうから「急いでやる必要は無いんじゃないですか。」「磨くチャンス期間でもあります。」とストレートにおっしゃってくださったことです。これは大変心強かったですし、より中長期目線での成功を強くコミットしようと思えました。

#4. 関連法案や遵守すべきルールの多さ、複雑さ
海外旅行事業というものを誤解していたところも含めて、これほど多くの規制やルールがあるというのは驚きました。
スタートアップで直接ツアーを造成&販売している会社というのは実はほとんど全くありませんが、なぜなのかがわかってきました。たとえば販売までに必ずやらなくてはならないことは、旅行業一種免許取得、資本金条件、旅行業約款の遵守整備、緊急事態への対応、各省庁との連携、ツアー販売の規定・ルール、国家資格ホルダーの人員要件、各国とのやり取り、各国ホテルとのシステム連携、飛行機会社のシステム連携、ツアーアクティビティとの連携などなど。思っている以上にやらねばならないことがたくさんありました。
また、現在はコロナ下なので毎日のように各国ルールがコロコロと変わるため、渡航者の方との連携や方針が変わった際のサポートなどもとても難易度が高いものでしたし、1つ1つがとにかく泥臭く大変でした。しかし逆にいうと、渡航者の方から見れば、自分だけで調べきるのは相当難易度が高いゆえにわたしたちの介在価値を出しやすい時代だということにも気がつけました。調べれば調べるほど、安心安全面から必要なことばかりですし、多くの旅行代理店さんらと足並み揃えてすすめる必要があるのだとわかり、1年間はとてもラーニングが進みました。

すいません。5つのことと書いていたのですが、5つ目が思い浮かばなかったので4つになってしまいました。笑

まとめです

以上、1年間の振り返りをしてみましたが、いつも以上に激しい波にもまれ、本当に良いことも悪いこともたくさんあった1年間でした。

2回目の起業というだけで期待やプレッシャーがあったり、たくさんの信じてくださる投資家の方や仲間や応援団の方が集まってくださったり、新しく出会ってくれた友人や旧知の今や錚々たる会社になっている仲間たち、ようやく目に見えるプロダクトが完成したり、多くの雑誌やメディアに取り上げて頂いたりなどなど色々なことがありました。一方、令和トラベル社としては全くまだ何の価値も出せておりませんので、驕らず、油断せず粛々と来年度も取り組んでいきたいと思っています。

来年こそはマーケット回復に合わせて、どんどん投資していければと考えていますのでこれからも令和トラベルのことを応援くださったら幸いです!ぜひ、海外旅行の際は令和トラベルを思い出していただきつつ、ローンチ予定のNEWT(ニュート)も可愛がっていただけたら幸いです。

最後になりますが、1年間お世話になった皆さま本当にありがとうございました。みなさまにとっても良いお年になりますように⛄

最後にいろいろなURLまとめ

当社のことがわかりやすいURLを最後にペタペタと張っておきます。よろしくお願いします。

採用サイト:https://www.reiwatravel.co.jp/recruit
おすすめ度:☆☆☆☆☆
カルチャーデックや、募集職種などまとめていますので是非ご覧ください!

NEWT紹介ページ:https://newt.net/hello
おすすめ度:☆☆☆☆☆
先行リリースの案内や、特別なキャンペーンなどをスタートしています。

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海外旅行の情報や、見ててワクワクするコンテンツを発信中です。

Bridgeさん記事:スマホで買える海外旅行D2C
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この60年で一番の参入チャンス
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当社が実現したい世界観をとてもきれいにまとめてくださいました。

シノ社長のYouTubeチャンネル:こちら
おすすめ度:☆ x 10
2022年こそ風が吹くはずなので、よろしくお願いします。

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