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起業の罠 1

TANPENSが乗っ取られた?……!!


BEKKOBOOKSは当初わたしが隔月誌BEKKOを、ファンシーコウ(以下Fという)がTANPENSをそれぞれ編集・発行する、という形で発足した。
Fのコロナ罹患による休刊を経たのち、2022年5月、有料版として新創刊(リニューアル)を目指すと聞いていた。
年が明け、4月になっても何も話がない。
誰とやるのかと聞いたところ、新しく三宮の飲み屋で知り合った若い人たちとやっているということだった。
はい? わたしは? 当然わたしにお呼びがかかると思っていたのにちょっとびっくりした。
「どんな人たちなの?」
アートディレクターに起用したフォトグラファーのS氏は「純猥談」の企画や「ADO」をプロデュースしたひとで、起業家でパーソナルトレーナーのO氏(代表)、それから神戸のグルメを紹介するインスタグラマーー1万人のフォロワーをもつインフルエンサーーーというフレコミの若い子ふたり、という話をききだした。
平均年齢をとればおそらく20代になるくらい若いひとばかりだった。
Fの口が重いのは、言えば反対されるだろうと思ったのかもしれない。
たしかに、わたしはこいつらのフィットネスジムがCBDを扱っていることにも不快感と危惧を覚えた。CBDというのは簡単に言えば、大麻から麻薬成分を抜いたもので、健康には無害と言われている。だがしかし、抽出しそこなって多くの麻薬成分が残り、裁判になっている例もあった。そんなものを無料で広告まで作って載せているのだ。ばっかじゃないの? わたしの印象は「利用されている」に大きく傾いた。
S氏がみせてくれたというポートレートをデジタルデータ(要するにFに送られてきたスマホ写真)で見たが、完璧な出来栄えで非の打ちどころがなかった。しかしデジタルデータだけで、紙(印画紙に焼いた写真)は「絶対に渡せない」と言われたらしい。
まかろんKさん(今や神絵師)の素晴らしいイラストを表紙にいただき、コラボビールの企画をTwitter(現X)で流して、一号は順調に滑り出した。素敵なショートショートを選び、ラベル作成はわたしも神戸に行った際に見せてもらった。ビールもおいしいのができあがった。がしかし、このころからトラブルに見舞われていたことにわたしは気づいていなかった。

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