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【ライフシフト】マルチステージの歩み方

3ステージからマルチステージへ

リンダ・グラットン著「LIFFE SHIFT」では、人生100年時代に向けた新たな人生戦略として、「教育→仕事→引退」という3ステージからマルチステージへの移行を提唱しています。

マルチステージとは、複数のキャリアを持ち、多様な人生を歩むことです。
転職でステージを変えたり、複業でステージを増やしたり。ボランティアや地域活動を始めること、時には自分探しの期間を設けることも、新たなステージへの取り組みとなります。

実は、このマルチステージと同様の考え方は、20年ほど前にも提唱されています。
それは「パラレルキャリア」です。

パラレルキャリア

パラレルキャリアは「本業を持ちながら、第二のキャリアを形成すること」です。
第二のキャリアの定義は広く、ボランティアや転職、自営業の開始も含まれます。
このあたりはマルチステージと同じですね。

パラレルキャリアを提唱したのは、経営学者のピーター・ファーディナンド・ドラッカー氏。1999年に発表した著書「明日を支配するもの」でのことです。
氏が提唱した背景には、時代の変化に伴う企業寿命の減少がありました。
かつて50年といわれていた企業寿命は、2017年には23.5年まで減少しています。

本業だけに頼れないから、第二のキャリア形成が必要、と説いたわけです。

パラレルキャリアとマルチステージの違い

この2つの違いは「1つの本業を軸にするか否か」という点です。
しかし、「企業寿命の減少」に加えて「平均寿命の増加」を考慮すると、本業+アルファでのキャリア形成では人生設計がおぼつかない。

だから、ライフシフトで提唱した「マルチステージ」は、本業の変化(シフト)も視野に入れ、与えられた仕事をこなすだけの受け身の人生ではなく、自らが意識的に人生を選択して、幾つものステージを創造し続けていくよう説いているわけです。

マルチステージの恩恵を最大化するためには

では、どのようにしてマルチステージに向けた複数のキャリアを形成してけばいいのでしょうか。
リンダ・グラットン氏はライフシフトで次のように述べています。

【引用:LIFE SHIFT―100年時代の人生戦略】
マルチステージ化する長い人生の恩恵を最大化するためには、上手に(ステージの)移行を重ねることが避けて通れない。柔軟性をもち、新しい知識を獲得し、新しい思考様式を模索し、新しい視点で世界を見て、力の所在の変化に対応し、時には古い友人を手放して新しい人的ネットワークを築く必要がある。こうした「変身」のためのスキルをもつためには、場合によってはものの考え方を大きく転換し、未来を真に見通さなくてはならない。

なんだか、大変そうですねー。
ここでくじけてしまわぬよう、別の側面からマルチステージを考えてみます。

1万時間の法則

ノンフィクション・ライターのマルコム・グラッドウェル氏は、世界の成功者の共通点を分析した著書「天才! 成功する人々の法則」で、1万時間の法則について述べています。「1万時間の法則」とは、1万時間練習すれば、誰でも、どんな分野でもプロフェショナルになれるという理論です。

1%の人になる

この「一万時間の法則」を踏まえて、元リクルート社フェローの藤原和博さんは、著書「藤原和博の必ず食える1%の人になる方法」で、次のことを述べられています。

【引用:藤原和博の必ず食える1%の人になる方法】
世界をまたにかけて活躍するグローバル・スーパーエリート以外の人たちが生き抜くための極意。それは1%の人、すなわち100人に1人のレアな人になることです。
(中略)
「100人に1人」までは誰でも1万時間を投じればなれますが、高い頂点をめざすほど世界レベルの強者がひしめいていて、熾烈な競争になってきます。
(中略)
だったら、ひとつの分野ではなく、2つ、3つ、異なる分野で「100人に1人」になり、あとは分野そのものを掛け合わせればいいというのがポイントです。
(中略)
「100分の1」×「100分の1」×「100分の1」=「100万人に1人」と同じだけの超レアな人になることができるのです。

ものの考え方を転換させる

どのようにしてマルチステージを形成してけばいいのか。それを考えるにあたり、ライフシフトからの引用には以下の記述がありました。

こうした「変身」のためのスキルをもつためには、場合によってはものの考え方を大きく転換し、未来を真に見通さなくてはならない。

「1万時間の法則」と「100万人に1人」の激レアな人になる方法は、この「ものの考え方を大きく転換する」ことに使える手法です。
3つの分野でキャリアを形成し、そのキャリアを掛け合わせ、超レアとなったキャリアを再度3つの分野に還元しても良いし、新たな分野の足がかりにしても良いでしょう。

激レアな人に至る道のりは、20代で「100分の1」、30代「100分の1」、40台で「100分の1」という方法もありますし、ある分野で「100分の1」を目指しながら、別の分野で「100分の1」を目指す方法もあるでしょう。
(ちなみに、10年かけて1万時間を費やす場合、1日あたり2.7時間、1週間あたり19時間を費やすことなります。終業後や休日でまかなえる範囲ですね)

複数の肩書きを目指そう!

まとめると、「人生100年時代に向けてマルチステージを歩むなら、幾つもの肩書きを持つ超レアな人を目指す」ということです。
「100万分の1」を目指すために複数の肩書きをどう掛け合わせるかは、最初は気にしない方が良いでしょう。まずは、1万時間を費やすほど、情熱を傾けられる何かを見つける方が肝心です。

1万時間かけたくなることが見つからないという人は、自分の生い立ちを振り返る「人生の棚卸し」をやってみて下さい。
若い方の中には「20代で人生を振り返ってもねぇ」と思う方もいるかもしれません。しかし、生まれてから今日まで何らかの行為に費やしてきた時間は、全て1万時間を支える「無形資産」なのです。

もちろん、ただ1万時間かければいいというものではありません。
マルコム・グラッドウェル氏はこう言っています。

【引用:日経ビジネスONLINE
この1万時間は、方向性を持った、分析を伴う1万時間だ。私は、deliberate practice(熟考した練習)という表現を使うことにしている。外に出て、ゴルフボールを打つだけでは上達しない。弱点を練習する、練習方法を分析する、など常に長所と弱点に集中する1万時間だ。

それでも、子供の頃にはできない分析ができますし、費やした時間の分だけ分析の精度が上がります。
人生の棚卸し、ぜひ試してみて下さい。

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