【はじめまして】Found you.ver

あれから2週間。
ただ生活するための最低限の事しかしなかった。
職場では、通り魔に襲われたショックでやつれたと噂されている。スマホは、修理は無理と言われた段階で、
新しい機種をその場で契約したけど。
何も登録してないから誰からも連絡もこない。からっぽだ。

壊れた機器は・・・
ジップロックにいれて持ち歩いてる。意味のないことだけど。
そして、彼のいない機器を持って昼休みの公園散歩だけは行く。

桜はもうすぐ満開のようだ。
平日の昼間なのに花見客でごった返す。ああ、うるさい。
できるだけ人を避けて、桜並木から すこし外れた道を行く。
そこには。明らかに規格外で並木道には植えられなかったのだろう、桜の木があった。さすがにここまで花見客はいないと思ったら。

1人。細身のクリームイエローのパーカーを着た大学生っぽい男の子が桜を見上げている。

あの服の色には見覚えがあってー。
身体が動かないというのは、まさにこの事だ。

「あ。・・・見つけた」
人の気配に気づいたらしく、振り返った彼は少し照れくさそうに笑顔でそう言った。

「・・・な、んで」自分の声が掠れて上手く出ない。

「実体化プログラム申請許可がおりた」

「・・・というより特例で。」

頭に言葉が入ってこない。彼が目の前に普通に立って存在してるということが理解できない。

「ホントはもっと手続きがあったけど、機器が壊れたから慌てて俺だけ回収して、急いでプラグラムを実行した。らしい。」

「・・・だから。これからもよろしくね?」

何も反応しないままの私を訝しげに見る彼。

「どうした?・・・聞いてる?」

「あ。こっちの世界に来たから、改めて『はじめまして』って言った方がいい?」

「〰!!」

その言葉で。持っていた鞄も。
掛けたかった自分の言葉も放り出して。
彼のところに駆け出して思い切り抱きついた。

・・・やっとこの世界で彼を見つけられたー。

ーfin.




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