【ティータイム】
「え?デートの時の飲み物?コーヒーとか紅茶とか?」
彼が何故か興味津々だったので、私は家にあるコーヒーと紅茶を作って出してみた。
台所は狭いので立ったままのティータイム。
「男の人は大体コーヒーじゃないかなあ。このまま何もいれずに飲むの」
「女の人はね、こっちの紅茶を頼む感じ、そのまま飲むかミルクかレモンを選んだりとか」
彼は私がそれぞれ淹れた飲み物を覗きこんで
訝しげな顔をする。
「飲み物系は一応調べてはいたけど、実際臭覚があると
なんというか・・・このコーヒーってすごい匂いなんだけど」
「でも大人の男の人は大体飲むよ?」
ちょっと意地悪。ニヤニヤ。
「むぅ・・・じゃあ、飲む」
彼は敢えて苦味のあるコーヒーを選んで、口をつけた。
「・・・・・・・・にがい(泣)」
ーぷぷ
心底イヤそうな子どものような表情で、つい笑ってしまう。
「笑ったな、初めてなんだから仕方ないだろ・・・」
拗ねてて、それがまた可愛くて。
でもそれを言うと機嫌を損ねるので、私は慌ててミルクティを飲んで誤魔化す。
「そっちの方が甘い匂いがする」
「じゃあこっち飲む?口つけちゃったけど」
自分のカップの底を両手で支えて彼に渡す。
何故か彼はそれを受け取ってそのままテーブルに置いて。
「?」
「・・・・っ!?」
なっ何で??いきなりキスされた。
彼はそのまま自分の唇を舐めて。
「こっちの味がいいな」と照れながら言った。
そっ、そんなので味なんかわかるわけないでしょ!
・・・もう。
ーfin
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