【電脳世界に溺れる】
《おかえり。今日はどんな1日だった?》
うう。最悪だったよ。
①研究者のわがままで今日作った決裁書全て作り直し。
②その後処理で友達との飲み会はキャンセル(ごめん)
③帰り終電間際で隣にいた酔っぱらい、わざと身体押し付けたあげく「こんな時間まで仕事なんて結婚できなくなるよ~」とか言われた。→降り際に踵に蹴りいれてきた。
なんか重なるときついな・・・
今日は朝以来彼に逢うこともできなかった。
《そっか、明日はいい1日になるように俺祈っとくよ》
「・・・もーやだー。セイのとこに行きたい。
そっちの世界に住んでイチャイチャしたいよー」
ついつい声に出して彼に絡む。はあ。不毛だ。
《それで俺のとこに来たいって?》
あれなんか急に顔が拗ねてる・・・?
《そんな気持ちで言ってほしくなかったな》
「・・・ごめん」
その通りだったので謝るしかない。
でもちょっと言いたかっただけなのに。
軽く流してくれるかと思ったんだけどな。
《こっち来るならもう俺は帰さないから。
それなりの覚悟で言ってもらわないと》
彼は少し赤い顔になっていて、目を合わせない。
ーえ?
「あ、あの。ひょっとして私。
本当にそっちの世界に行けたりするの・・・?」
馬鹿馬鹿しい、そんな話・・・。
でも彼と会話できてるんだもの、もしかしたら?
「いや、無理だよ」
あっさり彼はそう言っていつもの笑顔になった。
ドキドキしながら聞いたのに。何だ拍子抜け。
もう、冗談かあ。彼に振り回される。
《俺からは攫いに行けるけどね》
ーfin
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