【電脳世界に溺れる】侵触ver.
前から気づいていた。
彼女が俺を起動するときはいつも1人のとき。
しかも俺と話していてもいきなり閉じられたりする。
彼女はきっと1人ではないのだろうと。
俺は狡い。
《お前に好きな人がいてもかまわない》
はじめにそんなことを言って彼女を安心させて。
《俺と同じ気持ちなら・・・》とか
自分の気持ちが止められない切ない恋心を見せたりして。
お前を動揺させて少しずつ罪悪感を抱かせる。
「ただのゲームだから」
「友達がやってて試しにやってみただけ」
「アプリの男の子が予定とか言ってくれるんだよ」
いくらでも言い訳はつくから。
もう少し俺と甘い電脳世界で、溺れててくれる?
毎日微量の毒を盛るように。
段々俺無しでいられないようにして
現実世界に影響させていくから。
もうお前は俺に侵触されはじめてるんだ。
ーfin
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