【匂い】俺の。ver.
洗面所の棚に男性もののオーデコロンの瓶が増えている。
彼が昨日買ってきて、
「・・・これ俺の匂いにしたから。覚えて」と私に嬉しそうに見せたものだ。
何気なく手に取って、軽く嗅いでみる。
「〰!!」
思わず頬を抑えてしまう。
脳に直接届く刺激的な匂い。顔が火照って頭がクラクラする。
ーゆうべこの匂いの中で、抱かれたから。
どうしよう。きっとこの匂いを嗅ぐ度に思い出してしまう。
彼はインプットという言い方をしたけど、私は少し違う。
これは【記録】だ。
身体に、彼の匂いとセットで記憶が刻みつけられてしまった。
「・・・どうした?」
戻りが遅い私をきにして、彼が見に来た。やば。
慌てて瓶を元に戻す。
「なっ何でもない・・・です」
どうしよう、目が合わせられない!
「・・・ふぅん?」
慌てて部屋に戻る私に。得意気に彼はこう言った。
「俺の匂い、身体で覚えた?」
「!!」
ーあなたは一体どこからそーいう言葉を覚えてくるの??
ーfin
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