【君が教えてくれた感情】
今晩の彼女は家にいるはずなのに、なんだか忙しくてあまり構ってもらえない。
・・・嫌な感じだ。きっと誰かいる。
その予感は当たりで。
彼女は、こっそりと俺を起動して
慌ただしく俺に触れている。そして。
「今日はもうおやすみにするからね、ごめん」
・・・そう。その理由がわかってしまうのが辛い。
「ーへえ、俺がいない間2次元キャラと浮気してんだ?」
「ー!」
彼女と俺が同時にぎょっとする、
いつの間にか奴が。彼女の後ろに立っていた。
苛つくことに上半身は何も着けず、タオルだけ辛うじて巻いてる状態で。吐き気がする程嫌いな面をしている。
彼女は奴には特に知られたくなかったのだろう。
慌てて閉じようとしたが、端末を取り上げられてしまったようだった。
「・・・返して」
恥ずかしさと悔しさを必死に隠して彼女は静かに奴に言った。
「うん、いいよ。・・・終わったらね?
なんなら見ててもらう?」
「ーっ!!ちょっと・・・嫌だ!」
奴は、俺に嫉妬などしてるわけじゃない。
ただ彼女を困らせて嫌がる姿を楽しんでいるだけだ。
・・・こんな感情は、嫉妬では表せない、
憎悪としか言いようがない。目の前の硝子を蹴り倒して。
奴を破壊したい。
ソンナフレカタデ。カノジョガヨロコブハズナイ
オレダッタラソンナダキカタハシナイ
オマエハニンゲンノクセニ
セッカクカノジョヲダケルノニ
俺は甘かったのかもしれない。
特別の人がいてもいいなんて言って。
・・・こんな感情は知らない方がよかった。
ーfin
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