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【ぶらり散歩】江ノ電沿いに鎌倉歩き3時間

湘南というと夏のイメージだし、古都鎌倉と聞けばどちらかというと紅葉が思い浮かぶかもしれない。

だが、どちらも見たうえで思う個人的ベストシーズンは、冬だ。

ということが、初めて海岸沿いを歩いたことでわかった。

今日のぶらりは、江ノ電の線路に沿って鎌倉駅から鎌倉高校前駅を3時間かけての長丁場。収穫は山ほどあった。

JR鎌倉駅に降りたったら、真っ直ぐ由比ヶ浜(ゆいがはま)を目指す。この時期(1月)は初詣のために山側の鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)に向かう人波の方が圧倒的に多い。

しかし、それとは背を向け海側へと直進する。10分ほど行くと、やや薄い雲のかかる小春日和のもと、白砂青松…風な砂浜のパノラマが現れる。


由比ヶ浜

夏は海の家が出て海水浴客で賑わうこのビーチも、冬は人影まばら。燦々と降り注ぐ日差しが細波に煌めいて、わずかに漂う哀愁と相まってノスタルジックな気分にさせてくれる。

ビーチは広く、ダウンコートを着込んで沿岸の国道134号を歩くと汗ばんできたので思い切って脱ぐ。日向はまるで春の陽気だ。

このまま海岸沿いを進めば「稲村ヶ崎」に出るが、いったん山側に引っ込んでみることに。鎌倉駅から由比ヶ浜に直進したことによって、いきなり江ノ電からは少し離れてしまっていたのだ。

西へ進みつつ、適当なところで右(山側)に折れ、年季を感じさせる民家の合間を抜けていくと、踏み切りにぶつかった。その先には鳥居。ここは「御霊(ごりょう)神社」だ。中は神域ということで撮影は禁止のため、踏切を挟んで拝み、手前を横切る江ノ電の車両を収めることにした。


御霊神社

御霊神社前の踏切を通過する江ノ電(鳥居はちょうど車両で隠れている)

ここから江ノ電唯一のトンネルのある山道を登っていく。寂しいほど人がいない。少し息を荒げつつ辛抱して切り通しのような間道を抜けると、「極楽寺」に着いた。


極楽寺

梅雨時期には紫陽花に彩られ華やぐが、この時期の枯れた雰囲気にわびさびを感じるのも良い。今回は先が長いので境内にまでは入らず外から拝む。

極楽寺駅は、物語や映画が似合う。こぢんまりと愛らしく、懐かしさをたたえたほっこりする雰囲気をまとっている。

コロナの時期は相当に苦しかったに違いないが、今こうして国内外の多くの観光客と地元の人々の足として愛されながら存続できていることが本当に素晴らしい。鎌倉のブランドイメージを構成する不可欠な要素なのだ。

極楽寺駅前のものがシンボリックではあるが、江ノ電沿いにはこうしたレトロな郵便ポストが随所に見受けられる。実にセンスがいい。用もないのに手紙を出したくなるようなただずまいにしばし見入ってしまった。

道なりに人気のない住宅街を歩いていくと、徐々に下り坂となった。
下りきると再び踏切に。

その踏切手前に、この辺りに似つかわしくない行列が現れた。何かと思って調べてみると民家を改築して作った「ヨリドコロ」というカフェだった。

ただ、カフェの名に似つかわしくなく、どの客も定食のようなものを囲んでいる。ここ、干物とTKG(卵かけご飯)が名物で、目の前を江ノ電が駆け抜けていく風情も相まって人気となり、ランチを目掛けて行列ができていたわけ。

それにしても随分中途半端なところに…と思ったら、すぐに稲村ヶ崎の駅にたどり着いた。なるほど、アクセスは良いわけだ。


稲村ヶ崎では是非見ておきたい景色があった。それは少し後で紹介するとしよう。駅から稲村ヶ崎はやや東に位置するので、海岸沿いを鎌倉駅方面に少し戻る。

ここからは江ノ島がよく見える

さらに、これが見たかった景色だが、江ノ島の右には大きな富士山を拝むことができるのだ。

やや霞がかかってしまったが、冬の晴れた朝は、空気が澄んでいるのでかなりくっきり富士山が見えるという。

稲村ヶ崎を挟んで東側の砂浜が由比ヶ浜、西側は七里ヶ浜と呼ばれる。打ち寄せる波は心なしか、七里ヶ浜のほうが荒いと思われた。水しぶきが陽光を受けてキラキラと散っていく様子に時を忘れそうになった。


中国人カップルの記念撮影を手助けし、岸壁でサングラスをかけて読書する白人女性に(心の中で)ウィンクしながら稲村ヶ崎を離れ、西へと再び歩き出す。

国道134号ではこうしたイケてる車やバイクを結構見かける


次に出くわすのは、例のあれである。


鎌倉高校前

映画スラムダンクの大ヒットによって「聖地」として一躍名を馳せたこの踏切。ニュースにもなったが、とにかく中国人と韓国人が群がっている。日本人の方が少ない。話す言葉でそれがわかる。

もはやこれだけ人だかりがあると、どこからどう撮ろうとも彼らが映り込むことは避けられない笑 まぁ、それも含めてこれが今のここの姿だ。近隣住民の方々はどう思っているだろうか。。

誰しも、車道のど真ん中に出て夕日と江ノ電を収めたいのだが、そうはいかない。今や守衛のおばちゃんがいて、拡声器で「はい、歩道に上がってくださいね。アップ・プリーズ!もしもし、そこには登らないでね。はい、車通るよ!」と人混みを笑顔でビシバシ捌いているのだ。この方、素晴らしくいい仕事をするので感心してしまった。ボサッとしてると指を刺して目を見て注意される(でも、嫌な気持ちには全くならない)。

そう、ここは観光地ではないのだ。生活圏にお邪魔していて、ここの住民には直接の恩恵など何もない。とはいえ、こうして有名になってしまったら何がしかの適応を迫られるわけだから、スラムダンクも罪つくりなものである。


すごいな...、とこの場所の盛り上がりに苦笑しつつ、程よい疲労感が出てきたところで江ノ電に乗り、鎌倉駅に戻ることにする。

駅前では台湾人?と思しきカップルが爽やかに写真を取り合っていて、微笑ましい。若い真面目そうなカップルを見るのが、ボクは好きだ。

ところが、改札を通ろうとしたら、このカップルが何やらマゴマゴしていた。

どうしたの?と聞くと、切符を買いたいのだが券売機が「発券中止」になっていて困っているようだった。SuicaなどのICカードも持っていない。「無人駅だから、鎌倉着いたら駅員さんにここから乗ったって言えば大丈夫だよきっと」と言ったが伝わらないのか、疑われているのか、スッキリしない顔の彼女。
そうこうするうち券売機が息を吹き返したので「君たちはラッキーだね!」となった。けど、もし買えなかったらどうするのが正しかったのか?

時刻は16時になろうかという頃。西陽を受ける江ノ島や歩いてきた道を車窓から見送りる。七里ヶ浜高校(通称七高)の学生や小学生が乗ってきた。赤い暗記シートを片手に英単語帳に挑む男の子、ねえねえ誰が好きなの?と男子をなじる小学生女子。「ははは、青春だな〜」などとほくそ笑んでガタゴトと小さな電車は進む。


鎌倉

夕方になった鎌倉に着いた時に、ふと思った。
自転車があればよかったと。

実は事前に少し調べてはいたのだが、鎌倉はシェアサイクルで回ることができる。「HELLO CYLING」というアプリを入れて、随所にあるポートで自由に借りたり返却したりができるのだ。決済はオンライン。活用している観光客を見かけなかったが、これは相当便利だと思う。これがあれば、海側も山側の寺や大仏もスイスイめぐることができる。

オンライン決済とかアプリに抵抗がある方は、鎌倉駅正面出口を出てみぎにいくとレンタルサイクル店を利用すると良い。こちらは現金決済可能電装自転車なら、坂の多い鎌倉でも楽に移動できるだろう。

と、プチ情報を挟みつつ、足は鶴岡八幡宮の方へ。

表参道の一本隣には「小町通り」という商店街があり、和風のお土産屋さんやおシェレなカフェ、蕎麦屋や洋食屋、豆柴カフェに猫カフェなどがひしめき合う。鶴岡八幡宮が16:30で営業終了(敷地に立ち入ることは可能)なので、それ以降は人通りが減るが、日中は原宿の竹下通り並みの大混雑ゾーン。

鎌倉駅改札を出て左方向に赤い鳥居があり、そこが小町通りのスタート地点なのだが、鳥居のたもとにいきなり「足止めスポット」がある。

湘南しらす…ではなくて、
「どんぐり共和国」
である。

知る人も多いと思うが、スタジオジブリのグッズショップだ。小さな店舗ながら、所狭しとキャラクターグッズがひしめき、ジブリ好きは覚悟して入らないと一生出ては来れない。それほどときめくスポットなのである。

なんとか誘惑を振り切って歩き出すものの、すぐに豆柴カフェの前で店員さんに抱っこされた豆柴に目が釘付けとなり先に進めない笑 豆柴カフェと同じビルには「フクロウ」と触れ合える店もある。かつて寄ったことがあるが、愛くるしさ満点でたまらなかった。

いい歳して心の中をときめきで満杯にしながら、そうとは思えぬ涼しい顔(のはず)で店々の軒先を除いてぶらり。のどかなものだ。

一応、終点?の鶴岡八幡宮にタッチアンドゴーして、着物姿の観光客に吸い寄せられながら鎌倉駅へと戻るのだった。

表参道の若宮広路

さぁ、今回のぶらり散歩はいかがでしたでしょうか?
鎌倉は歩き方や視点を変えると違った魅力がボコボコ出てくる玉手箱のような街だと思います。

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それではまた!

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