12月というのは、ぶらり散歩も忙しいものになる。
なぜといえば、この時季、紅葉本番とイルミネーションという２大イベントが同時多発するからだ。

ついでになぜか仕事まで忙しくなるもんだから、時間の捻出には苦労する。そこがまた楽しかったりもするのだが。

通勤経路に近い都内のイルミネーションはおおよそ観てきたが、今年は横浜がなかなか凄そう、と聞いていた。

昨冬は、あまり事前に調べたりせずに突撃していたが、時間の限られている今冬サクッと調べてみると、横浜だけで、大きく３つのイルミネーションイベントが催されている。

これに加えて、赤レンガ倉庫ではクリスマスマーケットがあったり、ワールドポーターズ（大型ショッピングモール）や中華街も独自のイルミネーションを催していたり。いやはや、目移りするばかりである。

全てを追い切れるかは分からないが、ひとまず第一弾となる今回は、山下公園周辺の「イルミーヌ・ヨコハマ」に行ってみることにした。実は山下公園としてイルミネーションを実施するのは初めてということで、かなり気合いが入っているようだ。

余談だが、何度見聞きしても各イベントの名称は覚えられない。主催者たちが一生懸命考案したのだろうが、場所を行ってくれるのが一番わかりやすくてありがたいんですけど。「山下公園イルミネーション」とかでいいのよ。

まぁ、戯言はともかく、実際に足を運んでみると、それはもうひっくり返りそうになる程美しかった！！！

暗闇の中で燦然と煌くカラフルな彩りを見つけては吸い寄せられてカメラを向ける自分の姿は、まるで街頭に群がる夏の虫じゃないか。。

ホテル ニューグランド

地下鉄みなとみらい線の終点、元町・中華街駅改札から5分くらいでたどり着いたのは、横浜きっての老舗ラグジュアリーホテル、ニューグランド。

「異人さん」がたくさん訪れたこの街らしく、欧風の建築がとてもロマンチック。山下公園との間を隔てる道路沿の街路樹は艶やかにライトアップされ、その灯り越しに眺めるホテルのたたずまいは、さながらパリにでもいるような気分にさせてくれる。

ご存知だろうか？
ドリア、ナポリタン、プリン・ア・ラ・モードは、このホテルのシェフが考案したって。

お腹の調子が優れない客や、特別な女性ゲストを悦ばせるために発想された独創的な一皿が話題を呼び、全国区となって人気を博したのだとか。一流ホテルらしいおもてなしが発明の原点にあるわけだ。

そんな名門ホテルの中庭。ここは本当に、ため息が出てしまう。

すぐそばにはこの時期限定のゴールドにライトアップされたマリンタワーがそびえ、極彩色の絵画の中に入り込んだようだ。

最近、風景や建物だけでなく、「人」を撮りたいという熱が高まっている。これまでは邪魔だな…と思ってなるべく人がフレームに入らないよう気を配っていたのだが、それだとなんだか物寂しいと思うようになった。

というわけで、「撮影する人を撮影する人」になってみた。

山下公園

ホテルニューグランドで撮影に没頭していたが、向いの山下公園の方からドンジャカ・ズンジャカとリズミカルな音楽が聞こえてきたので、向かってみる。

ちょ、ちょっと面白いことになっているではないか！
いわゆる普通のイルミネーションとは趣向の異なるディスコみたいなレーザービームが闇を切り裂くように飛び交っている。

音楽に合わせて踊り狂うように「のたうちまわる」レーザービーム。これはご機嫌だ！好き嫌いは分かれるかもしれないが、インパクトがあって面白かった。

ひとしきりレーザービームのシャワーとどんちゃん騒ぎが収まったところで、ふとマリンタワー見上げると、こちらも灯台のようにビームを照射していた。

園内をみなとみらい方面に歩いてみる。

嫌が応にも目に入るのは、日本郵船の「氷川丸」だ。
シアトル航路用に造られた戦前の日本で建造され現存する唯一の貨客船で、太平洋を254回横断した強者。今は博物館のようになっており、水色のライトアップでクールに決めている。

遠方にみなとみらいのコスモクロック21を臨む広場には、チカチカとうるさく色の変わる光るベンチが据えられており、子供たちが突撃したり、カップルがじゃれあいながら写真を撮ったり、おばちゃんがひと休みにと腰かけては「硬っ」「冷たっ」と苦笑いしている。

公園の端こにはレストランがあるが、その一角は「足湯」になっており、みなとみらいのロマンチックな夜景を眺めながら足を温めるというシュールな光景が見られた。気持ちいいだろうなぁ〜

ホテルニューグランド周辺で15分、山下公園を端から端までだらだら撮り歩くこと1時間弱と言った具合で、元町・中華街駅に戻った。駅に降りる直前、中華街の灯が「もうちょっとどう？」と甘い誘惑を仕掛けてきたが、「また今度！」と別れを告げて地下へと潜っていった。

山下公園の「イルミーヌ・ヨコハマ 2023～横浜の未来が輝く～」は2023年12月1日(金)から12月31日(日)まで。

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