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2021年の振り返り

回想

もはや2022年に「これをやる」という宣言は1個か2個にとどめ、やらないことを決めておくほうが戦略的に成果になるなあ。
2020年末は、メンバーチェンジを伴うテックプランターのアップデートに気をもみ、投資先2社の重大トラブル、プロジェクトイッカクのピーク気味進行があり、2021年中にはそれぞれの進展があった。
2021年末は、リバネスユニバーシティーの仕込み(成功するアーキテクチャを埋め込む)、ミドルステージベンチャーの組織構築、オーガニック型ベンチャーの組織構築、大企業の出島組織構築に気をもみ始めた。大手企業の研究所の組織開発も重大なテーマになった一年だった。テックプランターのオペレーション落し込みは一定の成果が出たと思うし、自分も執行役員になって心機一転、新しい仕込みをモリモリして、周りの人の成功・成長にコミットするために行動をどんどん変えないといけない。運の利益率、埋め込みアーキテクチャをネットワークにつくっていく。
NGワード的には、もはや「オープンイノベーション」の議論は周回遅れな気がする。「ベンチャーの紹介」という捉えられ方も徹底的になくす。「大企業の新規事業」というやつも手垢が付きまくっており、距離をとっていきたい。こうしてNGワードを掲げてみると、どういう古いパラダイムに乗っかっているのか、なんとなく考えられる。
一つは、市場が自明であるリニアモデルだ。開発→設計→製造→販売を分業できると思ってる人たちだ。
もう一つは、Non自律成長ネットワーク的なこと。べき乗則に従う自律成長ネットワーク(スケールフリーネットワーク)は2つの原理を守る。新たな頂点(Node)が勝手に追加される。新しい辺(Edge)は、多くの辺を持つ頂点に結合しやすい。この2つだ。古い考え方ではまず「勝手な結合を許さない」。そして「辺(Edge)がどこにつながるべきか、明確に司令される」だから指示待ちになる。グラフ理論を雑に援用すると、技術や会社や人の結びつきも、自律・協調する本来の性格を活かしたほうが運の利益率も上がるし、偉大になるアーキテクチャを取りやすいのではと思う。

読書歴

 デザインシンキングと医療の融合領域はBioDesignが大きな動きだと思ってきたので、動向を知りたくて購入。いまいち血湧き肉踊る感じは得られなかった。

「未来を実装する」はためになった。インパクト投資などでもよく見かけるロジックモデルとスタートアップビジネスの成長ストーリーの接点を説明してくれて、理解に役立った

ビジョナリー・カンパニー2の「はずみ車の法則」は奥が深い。だから一冊にわざわざ抜き出してまとめる価値がある。言うは易しの「ぐるぐる回し続けるとひたすらに成長し続ける偉大な企業になる」だが、これを本当に設計・構築しきるのは大変だ。だが、読んでないと話が噛み合わない(時間軸が合わない)ので、長期ビジョンを語るためにも必読だったと思う

地方が横並びでどうする、ちゃんと儲けろよ、というまっとうな指摘があった。のちのちインボリューションという概念が「アイデア資本主義」で紹介されて腑に落ちたが、地域再生のダメなところがよくわかった。

社員教育や中小企業の組織をどうするか、の悩みが増えてきたことから手にとった。たしかこのときは識学、ForStartup、リンクアンドモチベーション、リクルートなどのIR資料や、各社のカルチャーデック的なものを読み漁っていた。で、識学社はこういったTipsをダウンロード用のベイトにしつつ、本も出しているというマーケ充実した会社であるとわかった。内容はブログやインタビューでも繰り返し繰り返し登場しているので、本を読まねばわからんかった!という感動は薄い。が、ある種の厳しさや現実との戦いがにじみ出た指摘も多くて、全部そっくりやるかは疑問だが、自分でも胸に手を当てて考えたほうがいいなと思わされたのでパフォーマンス高い読書でした。

ユーグレナの「サステナビリティファースト」の背景を改めて整理できた。超異分野学会(失われた30年と教育投資)、JRステーションカレッジ特別講演(声を張れ)など、これに引っ掛けてすごいパワーを出雲さんからは貰った。

リバネスで事業部長を務めた期間は、営業オペレーションの煩雑さと向き合う期間でもあった。日本でセールスフォースを広めた「THE MODEL」はSaaS企業だけのものと思われがちかもしれないが、MA/CRM/SFAを駆使する弊社にとっても大事な考えだとわかった。そして結局他社は他社、うちはうちになるのだが、考えの補助線はすごく手に入るお得な読書だった。数ある逸話のなかでもマーク・ベニオフに電話で詰められる話が一番心に残った。

4,5年に一度は出ている「文章本の決定版」が更新された。リバネスのブリッジコミュニケーションに通じる考えが多くあり、研修の参考にさせてもらった。特に企画の3要素的な三角形のフレームワークが、リバネスで教えているプレゼンテーションと相同であるがために、直後にやったブリッジコミュニケーション講座のプレゼンテーションのゼミでは大いに議論を参考にした。繰り返しお勧めしていきたい一冊。

数多くのDX本がたぶん出版された2021年だが、これは自分が求めていた「面倒くさい理論系」の本で、ツールレイヤや導入フローなどのコンサル飯の種系の話は一切ない。なんのことはない「日本経済や企業はどのように遅れていて、起死回生でこうなるべきだ」という提言系の本で、2019年に出ていたらDXというタイトルじゃなかっただろうなという本だと思った。きっと著者達は来年には違うガワで同じことを言っているはず。とやまさんのTwitterが燃えてたのもこの頃?だったかしら。

LinkedIn社長の村上さんの本なので、中身ノールックで購入。そういえばLinkedIn創設者の「スタートアップオブユー」を思い出した。細かいことは忘れたが、自分を磨き、市場価値のなかで評価されるキャリア形成をしなさい、とめっちゃ応援された気持ちになった。つい、LinkedInのプロフィールを見直したので、多分著者の意図どおりの行動だと思う。

昨年の「インクス流」や「ちえづくり」に続き、製造業のプロセステクノロジーを理解する上で欠かせないと思ったのがトヨタ生産方式についての理解でした。そこで、なるべく原著者が書いた本を探してたどり着いたのが大野耐一のこれ。他にもマンガでわかる系などの解説書は多数あったが、さすが古いだけのことはあって臨場感がありました。

TSMを読んだあとに、ふとTwitterで見かけた「トヨタはリーダー育成をこのレベルで行う。高卒の工場ライン長から本社のグローバルエリートまでを"リーダー"として引き揚げる。そのバラツキと規模感に対処できるからすごい。少数エリートでイキガッてるスタートアップはそこを全然わかってない」的な指摘が気になって思わずポチりました。たしかに、自工程完結の考えを植え付け、実践すると責任もって進める人間がめちゃくちゃな数で育成できそうではある。
が、現代のリバネスにそのまま適用できないと直観したところがけっこうあったはずだが今思い出せてないので未解決課題として浮かせておこう

川喜田二郎の「発想法」を読み進めた。野外科学とは、野鳥の観察だけを指すのではなく、書斎、実験でない性質の科学全般で、自分が考えていたよりも広がりを持つコンセプトだった。これをリバネスの所作・原理に適用すれば、「リバネスは野外科学である」と説明できそうだ
KJ法に至る発想は、現地での聞き取りやサンプル採取であり、時系列でカードをつくっていき、あとで統合するのが味噌のようである。蓄積開示分析統合に通じる発想だと思った

この本を読み始めたころ(5月下旬)から、なんとなく日記ぽくメモをとる習慣を持つようにした。

69年の「発想法」から12年経った81年にかかれている。上辺をパクった手法が広がり、本流をつくり、トレーナーを生み出していくことが大事だと憤慨していた。
その後 娘の川喜田晶子による研修がつづいているようである。また、ウェブサイトは驚くほど古臭い作りである http://mushin-kan.jp/ 
知識の伝承という意味で見過ごせないテーマであるとわかる。

我を抜く、とは、自分の独断とか観念の枠ではなくて、紙切れに記されたもろもろのデータの語りかける声に、虚心に心を傾けるということである。己を空しくしてデータの語るところに耳を傾けよということ。それができないと、紙切れ集め(データ収縮、取材)も表札づくり(要約)も適切なものができない。ひいては、その中から新しいものを発見したり、発想したりする体験を持つことができない

システム思考の基本を押さえようと思って購入し、その後、LCAとシステムダイナミクスの提案の土台になってくれました。複雑を複雑なまま扱うのもいいし、要素還元しすぎても本質が見えなくなるのは百も承知だが、もうちょっと根気づよくシステムを描写してもバチは当たらないなという場面が見えてきた。おそらく殆どの人が投げ出すのより、少し耐性の強いチームで当たれれば描写しきれる。組織力が強化できて、矢印一本の相互作用をちゃんと回せる人が増えると、この本で書いているシステム俯瞰の強みが出る

LIFEといった官製のデータ貯蔵システムに加え、現場のアセスメントがどうなっているか、その指導がどうなっているか、を知りたくて読んでみました。大変わかりやすい。

店頭でみかけて、紙の本にするかKindleにするか超悩んでKindleにしてしまった。なぜなら繰り返しみたくなるだろうから。手触りであったり、本のこだわりポイントは紙にあった。が、本棚の限られる現状ではあきらめないといけなかった。「目の見えない息子さんを持つ元広告代理店コピーライター」という著者属性だけで「わかる」となれたし、オリィとくんでNinNinをてがけたそうなので、うっすらと仲間だと思って学ばせていただきました。

途中で脱落してた。が、言いたいことはタイトルでだいたいわかった気になってしまっている。

フロンティアの消滅の整理があったおかげで、めちゃくちゃ賢くなれた気がする一冊。これまで創業開発(Frontier Dev)を名乗ってきたわけですが、やり玉にあがった3つのフロンティアがそれぞれ「空間のフロンティア(グローバルサプライチェーン)、時間のフロンティア(ゴーイングコンサーン)、生産=消費のフロンティア(消費者が生産手段を直接持てるようになった)」で、たしかにたしかにと思う内容でした。サステイナブルとは時間・空間・生産手段の偏りなどどの軸で切っても成り立ってることを指すんだなと思えるし、生物や生態系ってこれらのフロンティアを消滅させてるよね、と思う。この本の第二部は『内へ向かう発展」のインボリューションを大きく取り上げていて、Mature Growthと親和性の高い議論が多かったように思う。

今までほったらかしだった「人材」に関する章が初めて登場。また「幸運の利益率」や「偉大な企業のアーキテクチャ」など、ビジョナリー・カンパニーシリーズの要諦みたいなものが割とさっくりまとまっている。ていうか、最初にここまでわかってて、で、執拗に調査研究を積み重ねて後の著作があるわけで。結論だけほしくて、根拠がそこまでなくても信じれる人はZEROだけでもいいんじゃないかと思った

改訂されたPMBOKの第7版テキスト。自分にとっては伝統的ウォータフォールをやるつもりがそんなに無いため、むしろ改訂されて親近感が湧いた。

組織行動論の文献の系統的レビューがあり、これまでを総括した上で、今後何を課題としていくかを議論した本。徹底されているおかげで、生半可な本や記事をいくつも読むより視座が上がり、値段分の価値はたたきだしている。というか圧倒的に底上げされた感じがする
サーチライトとしての概念の整理がすごく役立った。

「離職の最適化」という言い方のおかげで業務に取り組む目線を持ちやすくなった。ある意味「バスの座席に、適した人が座っているか」を裏側からみただけなのでまっとうな理論だと思う

こちらはPressure, Purpose, ProductivityのPPPフレームワークが秀逸で、何か施策の効果をレビューするときに使える考え方で参考にさせてもらいました。やたら「働き方改革」文脈で書かれている内容が多いが、そこは割とどうでもよかったので、もっとシビアな施策のところを中心に話を伺ってみたいと思わされた。

「人材育成という言葉は手垢にまみれており、理解のない人も使う」だからワシは使わん!という喝破から始まり、「人材力・組織力強化」とは、「個々人及び組織がそれぞれの役割・職務を全うするうえで必須となる力の強化」と定義してバッサリバッサリやっていく。

- 「人材育成には時間がかかる」
- 「管理職になると人材育成をしなければならないのは分かるが、何をしたらよいか分からない」
- 「自分が人を育成するのはおこがましい」
- 「人を育成することで自分(育成を担当する側)も育つ」  
- 「(人事制度における)評価制度の運用は人材育成に他ならない」  
- 「人材育成は会社の根幹」  
こういったフレーズは、いずれも印象や個人的意見の域を出ない表現

人材力・組織力強化アクションリスト

とやっていく。たしかにややもすると言語化できないとか困ったことになっていくので徹底的に言語化できることにこだわったのが本書の意義だと思う。「意思を持った人の存在、Before/Afterの明確化、テーマ設定、検討ポイントの明確化の4点」これをやれと。はい。

いろいろテクニック風に書いてくれた部分はありがたい。「マネジメントの地図」や、そのステップバイステップ解説もわかりやすい。若手によませればつまづきどころは即座に理解できる。これだけで本のパフォーマンスが出ている。が、あとがきや読後感は「センス」「視座」とかの重要性を感じさせるものであり、むしろ8割の中身を超越した視点へのいざないだった。鬼滅でいえば、呼吸の型の習得程度で止まっていたらダメよ柱にはなれないよ無残は倒せないよという感じ。マネージャーは奥が深い!


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