shinichiro tanabe

「レストランTera」オーナーシェフ。青森市在住。

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「レストランTera」オーナーシェフ。青森市在住。

マガジン

  • チャクラAomoriチャクラ

    • 54本

    青森県在住の和尚とシェフが、チャクラな青森チャクラをご案内しつつ、過去と未来を彷徨います。時にエッセー、時に小説、時に〇〇と縦横無尽に表現します。

最近の記事

北へ、とにかく北へvol.46

『ギミギミシェーク ラブゲームで〜♬』 気づくと船内にカラオケが流れ、滝沢カレンたちが歌い始めた。 そしめ微妙なカクカクとしたダンスで、竹田に2体近づいてきた。 『セックシーィー』 『ギミ シェイク』 と言いながら、コスチュームを脱ぎ始め、ラメのスパンコールのボディコン姿になった。 「到着するまで楽しいことしましょう」 竹田のからだにお尻をこすりつけたり、手をほっぺから首筋に這わせたり 『セックシーィー!!』 『ギミ シェイク』 と、また言っている。 「

    • 北へ、とにかく北へ vol.45

      「ウゲッッ!!」 後ろの滝沢カレンが、躊躇なくミカの喉をグッと絞めてきた。 「なっ、やめろ!やめろ!」 竹田はその手を払いのけた。 「殺すな!コロイド、頼む。この子を殺さないでくれれれよ。」 れれれと噛みながらも竹田は滝沢カレンに懇願した。 「なんで?」 滝沢カレンがキョトンとした顔をした。 周りの滝沢カレンたちも、「エッ、うそ、なんでだろうね」とコショコショ話をしている。 「なんででも、ダメ」 竹田は小さな子供に言うように言った。 「ワッカリマシター。じ

      • 北へ、とにかく北へ vol.44

        「え、え、?豊、いったいこれはなのなの?どういう、、フガッフガッ」 JAL149便 18時30分発 青森行き 機内はほぼ満席。乗客で埋まっていた。 突然現れたミカに竹田は動揺したが、これまでの経緯を1から説明するのも大変すぎるので、流れで機内まで連れてきてしまったのだ。 乗客は全員、滝沢カレンだった。 そして、全ての滝沢カレンが2人をジッとみつめていた。 (コロイドが、さっきまで一般客のふりをしていたんだ、、) 「お、おう。まあ、おいおい説明するから、まず座ろう」

        • 北へ、とにかく北へ vol.43

          「JAL149便 青森行き ご搭乗最終案内をお知らせします」 アナウンスが流れ、並んでいる乗客の1番最後尾、竹田はゆっくりと搭乗カウンターへ向かった。 ピッ スマホの2次元バーコードをかざした。 「行ってらっしゃいませ」 (この声は、、) カウンターに『スチュワーデス物語』のコスプレをした滝沢カレンがいた。 少し恥ずかしそうにモジモジしている。 「滝沢、いや、コロイド、、」 「はい。オヒサシブリです」 「なんで、ここに」 「はい。お迎えするように言われまし

        北へ、とにかく北へvol.46

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          北へ、とにかく北へ vol.42

          2週間後、竹田は青森へ行くことにした。 ミカまで殺されるのは忍びなかったのだ。 いらないものを整理したり、実家へ荷物へ送ったり、webの仕事を一旦ストップさせてもらったり、結構忙しかった。 『たいめいけん惨殺事件』は不思議とニュースにならなかった。 なんでですか?とLINEでジュリーレッドに訊ねると 「タケダって掃除する?」 と返された。 「アナタが掃除するとき、どれくらいの微生物が死んでいるか知ってる?除菌スプレーなんか使ったらもっと殺してるわよ。そんなのいつ

          北へ、とにかく北へ vol.42

          北へ、とにかく北へ vol.41

          『たいめいけん』は穴から全ての血液を出し尽くし、現代アートみたいになった。 「これで、ロンダキのしごとできるね。」 シュウトは椅子から降りて、ヨイショッと『こどもバットマン』を隣の椅子に座らせた。 シュウトがバットマンの後頭部で何かをすると、その頭がパカッと割れた。 タラコがでてきた。 (おひさしぶりです。タケダ。) (、、ひさしぶりです。) 「タケダはコレでバイトがなくなりました。 ワタシタチとしごとできます。」 (まだ、しごとするとは言ってないけど、、)

          北へ、とにかく北へ vol.41

          北へ、とにかく北へ vol.40

          「ジュリーちゃんって言うんだー。 なに人なの?えーー、教えてよーー。めちゃんこカワイイじゃん。カレシいるの?いないの?オレ大好きなタイプよーー。付き合っちゃう?って早いか! マンモスきゃっほー」 西麻布のBAR 『Gatsby』 今夜は竹田たち以外、客はいないようだ。 「たいめいけん」は自分のグラスに並々と「黒霧島」をついで 「君の瞳にカンパイ」 「君の瞳を逮捕する」 などと、止まらない。 白い歯だけが宙に浮いてカタカタいっている。 はじめから竹田とシュウト

          北へ、とにかく北へ vol.40

          北へ、とにかく北へ vol.39

          六本木 『御膳房』 ・冬虫夏草入りのスッポンスープ ・鮑とフカヒレの煮物 ・スペアリブと大理梅の土鍋 ・過橋米線、、etc... (雲南料理は優しいお味で美味しいなぁ) 竹田はあんなに怒っていたくせに、いまは3人(1人はバットマンのフィギア。椅子に座ってお茶が置いてある)と一緒に食卓を囲んでいる。 「とりあえず、なんか美味しいもの食べに行こうよ。いい店知ってるからさ。奢るよー」 とシュウト(10歳)に言われ、 ふくれっ面で、ノコノコ付いてきたのであった。 これはま

          北へ、とにかく北へ vol.39

          北へ、とにかく北へ vol.38

          満月の夜 20時17分 急いでミカの部屋を出て ハーモニーの出所を探した。 エントランスを抜けて右 マンションの駐車場だ。 そのど真ん中には 異様に巨大なルイヴィトンのトランクケース そして、横に小さなバットマンがいた。 仮面で顔は隠れているが 見たことのあるシルエット。 「シュウト、、」 シュウト ミトク (10歳)に間違いない。 「おい、何やってくれてんだよ」 竹田は怒りながらバットマンに近づいた バゴーーン ルイヴィトンのトランクがバッカリと開いた。

          北へ、とにかく北へ vol.38

          北へ、とにかく北へ vol.37

          竹田豊と島袋節子の関係は95パーセント終わりを迎えた。 大ゲンカの《黒乳首事件》 ミカはビックリするくらい ワンワン泣いていた。 竹田は慌てて 「うそうそ、そんなに黒くないよ。 普通よりちょっとだけ色が付いてるかなー、 くらい。 それに、俺は黒いのもホントは嫌じゃないし」 ミカは《小2》が転んで膝を擦りむいたみたいに、さらに激しく泣いた。 そのあと何日間かは、同じ部屋で生活した。 竹田もミカも、お互い言い過ぎたと謝罪した。 しかし、心は次第にヨソヨソしくなり、

          北へ、とにかく北へ vol.37

          北へ、とにかく北へ vol.36

          「誰のお金だと思っているのよ」 東京 ミカのマンション 「なんで、写真がこれだけなの? 豊、アナタ、ちゃんとスピリチュアルスポット巡ってきた? 私、ちゃんと言ったはずよね。 恐山とか、キリストの墓とか、どこも行かなかったってわけ? 信じられない。なに、梵珠山? ここしか行ってないってこと?」 さっきからミカは怒り狂っている。 「チャクラの覚醒のこと真剣に考えてる? なんで、さっきから黙ってるのよ なんか言いなさいよ。」 「三内丸山遺跡には行ったよ」

          北へ、とにかく北へ vol.36

          北へ、とにかく北へ vol.35

          火曜日 午前 01:35 携帯の画面を見るともう真夜中だった。 ミカからのLINEが6件。電話も3件。 ロンダキとハーモニーで会話をした。 その後のことはボンヤリとしている。 いや、本当は覚えているのだろうが、竹田の脳は思ったよりショックを受けていた。 「じゃあ、今はこれくらいにしておこう。タケダも疲れちゃうし。また来るしさ」 シュウトがロンダキの部屋でそう言ったのは覚えている。 それから、どこか別の部屋に連れていかれ、気づいたら透明なピラミッドの前にいた。

          北へ、とにかく北へ vol.35

          北へ、とにかく北へ vol.34

          (はい、温泉はスキですけど、) (なんで?) (、、温かいから、、気持ちいいから?、、) (あらそう) ロンダキのハーモニーは不思議だ。 シュウトやジュリーレッドのハーモニーは、いかにも人間が喋っているように聴こえるのだが、タラコのせいか、性別もなにもわからない。 世良公則と大貫妙子を混ぜたような、不思議な音階を奏でる。 溶けた滝沢カレンの液体がグニョグニョ動いて、ピンクのタラコを持ち上げているのも、なんだかイヤラシイ。 (タケダ、温泉のしごとしてみない?)

          北へ、とにかく北へ vol.34

          北へ、とにかく北へ vol.33

          タラコ ロンダキはタラコだった。 シュウトとジュリーレッドと、9人の滝沢カレン(ちゃんと数えてみた)に連れてこられた部屋にそれは存在していた。 タラコはゲル状の物質に持ち上げられて、フニャフニャ浮かんでいた。 9人の滝沢カレンは、真顔のまま床に溶けていった。 「彼がロンダキだよ。タケダ挨拶して」 とシュウトに言われたが、タラコに挨拶をしたことはないので、まごまごした。 「ハーモニー使って。ロンダキは口がないから。」 竹田は念じた。 (うーーんと、、はじめま

          北へ、とにかく北へ vol.33

          北へ、とにかく北へ vol.32

          「素粒子、、あの、ニュートリノとかの、、?」 「おっ、タケダ知ってるんだ。頭いいねー」 シュウトがプリクラの女子高生みたいに「うさちゃんピース」を決めてきた。 ゼンゼンカワイクナイ、、 「はい。ニュートリノもその1つです。 素粒子はこの世の中の最小の単位です。原子よりもかなり小さいです。 先程、アナタには素粒子になってもらいました。そして、6400km下のここへきていただきました。」 (さっきから、地表って言ってるから、そうだとは思っていてけれど、やっぱ、地下な

          北へ、とにかく北へ vol.32

          北へ、とにかく北へ vol.31

          「タケダ、案内してもらった?楽しんでる?」 「ロンダキも準備できたようです。そろそろ行きましょう」 シュウトとジュリーレッドが現れた。 竹田は少しホッとした。 (とは言っても昨日会ったばかりの、怪しい2人なのだが、、) 「何が何だかよくわかんないんですけど。 この2人の女性は人間じゃないようだし この乗り物は《雪見だいふく》だって言うし、 そもそも、梵珠山のあそこから自分がどうやってここに来たのかわからないし、 それに、」 堰を切ったように、言葉が次々と溢

          北へ、とにかく北へ vol.31