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【道元と宇宙】 14 道元研究の師との出会い


 茶そば屋の老婆の提案にのって
木幡に向かおうとする、
京阪電鉄宇治駅の切符売り場で、
携帯電話が鳴った。

 「大谷ですけど、
道元が只管打坐を教えていないことには、
僕もびっくりした。」

といきなり話が始まって10分ほど、
質問1への回答をくださった。

 ファックス(質問1)は、
道元は廣録のなかで、
只管打坐を説いていない。
只管打坐は道元の教えではないのでは?
というものだった。

電話の主が
『道元読み解き辞典』の著者
大谷哲夫老師であることは
理解できたが、
なぜ総合研究センターに送ったファックスが
大谷先生のもとにあるのか、
理解できなかった。

なんと、大谷先生は、当時、
曹洞宗総合研究センターの所長だったのだ。

これがご縁となり、翌年7月、
御成門にある曹洞宗総合研究センターへ伺った。
道元の著作の話から僕の仕事の話に移り、
防衛衛星通信にかかわっていることを話すと、

自宅の隣が防衛省の敷地であるとのことで、
防衛論議にも話がはずんだ。
帰るとき、大谷先生が書かれた
『永平の風』という道元の伝記をくださった。

荒川修作のことはご存じないというので、
その年の秋に上京した際、
荒川修作の図録や写真集をいくつか持参した。

 荒川修作のことをまとめて本にしようと思っているのだが、
なかなか荒川の考えていたことがみえてこない。
道元を読めば何かヒントを得られないかと思って、
僕は道元の著作を読み始めた理由を説明した。

 道元を学んだ仏教者が
道元の露柱と荒川のTUBEを見たら
何を思うかを聞きたかった。

 残念ながら、露柱とTUBEの関係については
お話を伺えなかったが、
養老天命反転地の昆虫山脈の
山頂にある素焼きの甕をご覧になって

「これは棺桶だよ」と言われた。
「うちの玄関にも陶製のを飾ってる。
このあたりは江戸時代、紀州藩のお屋敷で、
寺を建て替えたときに、

立派な棺桶がいくつも出てきたんだ。」

養老天命反転地の
昆虫山脈と名づけられた岩山を上ると、
少しだけ平らなところがあって、
井戸と甕がある。
それが棺桶だったとは。

 
「深山の巖崖(ガンギ)、還(マタ)仏法有りや」
(深山の崖の大岩にも仏法は宿っているのですか)
という問いに、
道元は
「深山必ずしも岳(ガク)巖崖ならず、
上関(ジョウカン)を衝破(ショウハ)すれば、
閙聒々(ニョウカツカツ)」
(深山だからといって、岩崖だけとはかぎらない。
一線を越えれば、賑やかで楽しいものさ。)
という言葉を遺している。(上堂502)

荒川修作は、
階段も手すりもない岩山を
登り切ったところに、
棺桶を配置した。


階段も手すりもない岩山をひたすら登る

 
結局みんな最後はお棺の中に入る。
自分らしく、好きなように生きたらいい。
というメッセージだろうか。**************************************************************
【道元と宇宙】お話し会 日本縦断!!

≪臼杵≫ 2023年7月9日(日)14時~ 自然ヨガ道場
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≪富山≫ 2023年7月18日(火)13時30分~ マイルストーンアートワークス
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