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『意味のメカニズム』①

軽井沢の朝。
木漏れ日の中、
セゾン現代美術館まで歩いて1時間。
いい散歩だ。

朝はタートルにジャケット、肌寒い

開館時間10時には到着し、
閉館までめいっぱい作品と向き合える至福の時間。
 
今回の展示の良いところは、
荒川とマドリンが体系化した流れに沿って、
作品と向かい合えることにある。

簡単に言うと、
第一展示室で準備体操をし、
第二展示室で複雑な意識のメカニズム
を考えることになる。

第一展示室は、
1 主観の中立化
2 位置特定と移動
3 あいまいな地帯の提示
4 意味のエネルギー
5 意味の諸段階
が展示されている。

二階に続くスロープの壁面に、
10 意味のテクスチャ(質感)
6 拡大と縮小
7 意味の分裂

そして第二展示室に、
8 組み立て直し
9 逆転可能性
11 意味のマッピング
13 意味の論理
12 意味の感情
14 意味の記憶の構築
15 知性の意味
が展示されている。

16 検討と自己批判は、
『意味のメカニズム』の習作として
スケッチがサンルームに展示されている。


〈どんな具合に作品と向き合うかの一例〉
~僕の体験から~

第一展示室のまんなかの柱に
1 主観の中立化
のコーナーがある。

『意味のメカニズム』(リブロポート、1988年)より

「Xのことは考えず、・についてだけ考えよ」
というのが最初の課題。
Xはたくさんあり、・はひとつしかない。

『意味のメカニズム』(リブロポート、1988年)より

次の課題は、
「指ささずに、これらの線を数えよ」というもの。
 
左はたくさん、右は一本だけ。
図録の小さな画像をみたとき、
左を数えることは無理だと思った。

しかし、実物大の図式絵画を前にすると、
指をささずに目で追えると思った。
たくさんある線は、微妙に横位置がずれているので、
それを目印にして数えることができる。
無理ではない。
10分もかからずに数えられた。
一見すると馬鹿馬鹿しい課題に時間をかけて取り組む。
これが、『意味のメカニズム』を理解する第一歩になる。
  
  

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